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及川光博、『グランメゾン東京』で欠かせない存在に 人当たりの良さと父親としての強さ

リアルサウンド

19/12/1(日) 6:00

 “レシピ動画の貴公子”。そんな異名を持っていた相沢瓶人(及川光博)は現在、尾花(木村拓哉)や倫子(鈴木京香)たちに力を貸してくれる重要なメンバーの一人となっている。『グランメゾン東京』(TBS系)では、それぞれの人物が特有の強みや魅力を備えており、それらが掛け合わされることで、見事なチームプレーを生み出す。

参考:『グランメゾン東京』木村拓哉が寛一郎に示した“本物”を生み出す覚悟 味という絆で結ばれる料理人たち

 相沢といえば、基本的に人当たりがよく、どこか人を安心させる感じのよさを持っており、彼の持つ存在感や雰囲気は唯一無二のものである。クールな印象を醸しつつ、やや飄々とした印象を見せる彼の姿は、まさしく及川光博が演じるにふさわしい役柄であり、相沢というキャラクターに一定の信頼が集まるのもよくわかる。

 料理人としての相沢は、レシピ動画がかなりの人気を得ていたことからもわかるように、食材のアレンジにおいて卓越した才能を持っている。京野(沢村一樹)がかつて「相沢は昔からね、食材の組み合わせが上手いんですよ」と言っていたが、その才能は今なお健在である。例えば第2話で茄子のプレッセに組み合わされたチョコレート、あるいは前回の第6話で、サワラに合わせるソースに使った水晶文旦など、彼の食材に関するアイデアは、そう簡単に真似できるものではないのだ。第2話で尾花に「チョコレートのアイデアは俺にはなかった」と言わしめたように、相沢のアイデアは「グランメゾン東京」が提供する料理の大切な部分を支える役割を果たす。

 だが、本作において相沢という人物に奥行きと存在感を与えているのは、こうした彼の特質だけにとどまらない。相沢瓶人というキャラクターを語るにあたり欠かせない存在は、もちろん、娘のアメリーである。父親としての相沢という角度から光を当てると、また違った彼の姿が浮かび上がってくる。そこにはアメリーの父親として、自分にできることは何がなんでもやってあげようとする、相沢なりの強さがうかがえるのだ。

 エスコフィユ解散後の相沢は何かと苦労を重ねてきた。「アメリーを任せる」というメモを残して出て行ってしまった相沢の妻・エリーゼ。妻は会社も辞めてしまっており、実家に連絡しても行方が分からなかったという。フランスでは父子家庭で育てていくことはなかなか難しいということもあり、彼は娘を連れて日本にやってきたのだった。

 料理をしているときの相沢は、尾花や倫子たちのように、実にいきいきとしているが、その彼の心の中にはいつだってアメリーのことがあるのだろう。相沢は日本に戻った際、必ず自分が保育園の送り迎えをするという約束を娘としていた。「最近は泣かなくなったけど、きっといろいろ我慢して頑張っているはずなんだ。約束を破るわけにはいかないよ」。“いろいろ我慢して頑張っている”アメリーのためにも、自分も頑張らなくてはいけない。そんな思いがきっと相沢の胸の内にあるのだろう。一品一品に情熱を注ぐのと同じように、アメリーとの一瞬一瞬も精一杯父親らしくいようとする相沢は、どこか頼もしげな印象を感じさせるものだ。

 ただ、そんな風にして相沢が料理人としても、父親としても頑張り続けられるのは、ちゃんと周囲が彼の事情を分かってくれ、助けてくれる環境が備わっているからだ。相沢が「グランメゾン東京」で働くにあたり、倫子は「相沢さんとアメリーちゃんの大切な時間は私が守ります」と約束し、相沢の母・百江(木野花)もアメリーのお弁当作りなどで協力してくれると言ってくれた。だからこそ、相沢も自分の力を最大限発揮でき、職場の人々からの期待にも、そして娘のアメリーからの思いにも、しっかりと応えることができる。

 娘思いの父親としての“強さ”、人当たりの良さから、「グランメゾン東京」のメンバーも、視聴者も、思わず親しみを覚えるそのフランクな性格、そして食材の組み合わせについて聞けば、まさしく打てば響くように助言をくれる彼の持ち味は、きっと今後も存分に活かされていくことだろう。時に冷静に一歩下がって立つことで、チームの中でも絶妙なバランス感のある相沢の姿を今後も注視していきたい。

(文=國重駿平)

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