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登坂広臣が語る、ソロで目指すエンタテインメントのビジョン 「LDHが太陽であれば、僕は月」

リアルサウンド

20/2/14(金) 18:00

 2020年1月にリリースされた登坂広臣(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)の2ndアルバム『Who Are You?』は、2018年8月にリリースされた1stアルバム『FULL MOON』と同様に、彼が愛するヒップホップをベースにしながら、さらに新しいサウンドを探求している作品だ。今回は、『Who Are You?』の新曲群、そして現在開催中のドームツアー『LDH PERFECT YEAR 2020 SPECIAL SHOWCASE RYUJI IMAICHI / HIROOMI TOSAKA』についても話を聞いた。取材は、その名古屋公演の本番前。テンションの高まりを隠さない登坂が熱くビジョンを語ってくれた。(宗像明将)

(関連:登坂広臣、アルバム『Who Are You?』レビュー 強烈なインパクト放つ楽曲揃ったソロ活動の集大成

■「僕が歌うことでJ-POPになる」

ーータイトルナンバーの「Who Are You?」は、今回も非常にヒップホップの影響が強いですね。

登坂広臣(以下、登坂):このアルバムを引っさげて今日みたいなライブを行うことが決まっていたので、やっぱりライブを想像してアルバムを作るとなると、「こういう曲がいい、こういうサウンドがいい」というイメージがあったんです。それを一緒にクルーでやっているUTA君をはじめ、プロデューサーチームに長文のメールで送りました。『Who Are You?』って、なんで「『Who Are You?』なの?」ってなるじゃないですか。ライブがこういう感じで、ジャケットも含めてこういう世界観で、こういうサウンドでやりたいというのを箇条書きで伝えて、スタジオに入って本当に一から一緒に作っていきました。

ーープロデューサーチームに送った文章は、具体的にはどんな内容だったのでしょうか?

登坂:今回は『Who Are You?』って自問自答しているアルバムにしたかったんです。僕もデビューして今年で10周年を迎えて、ソロ活動をして約3年になるんですけど、前回『FULL MOON』というアルバムを出して、日本全国をアリーナツアーでも回らせていただいて、数々の夢を叶えさせてもらいました。もっと言うと、「叶えきらせてもらった」と言っても過言じゃないくらいの活動内容をやらせていただいていたんです。たくさん夢を叶えた自分もいるし、グループで歌っている自分、ソロでやっている自分を俯瞰で見て、自分をプロデュースする自分というのもいる。かと思えば、映画『雪の華』(2019年に主演)をやっている自分もいるし。10年経って活動を振り返ってみると、「俺って何者なんだろうな?」って考えるんです。「臣くんってこういう人だよね」とファンの人が言っても、僕は「いや、全然違うけどな」と絶対なると思うんですよ(笑)。でも、この姿を見せて感じ取ってもらった意見だから、「それも俺だな」とも思っています。そうなると、「自分って何者なんだろうな?」とすごく考えるようになって、「だったらこの思いをアルバムにしちゃえ」と物語を作り、改めて自分自身を問うことにしたんです。

ーーそうなると多面性が出てくる部分はありましたか?

登坂:ありました。「俺ってこう思われてるんだろうな」とか「過去にやってきたことがこうだから、今やっても誰もなんとも思わないんだろうな」とか、自分自身を俯瞰で見ることで、「自分というキャラクターにはこういう面もあるんだけど、これをやったら違う」とか、たくさん見えましたね。

ーーご自身を俯瞰したサウンドの中で、「Nobody Knows」のエレクトロなダンストラックは新鮮でした。

登坂:本当に数多くの楽曲を聴かせていただいていて、もっとやりたい曲もいっぱいあったし、自分が作っていくなかでも「あっ、これ入れたい」とかあったんですけど、でも結局はバランスを考えてこういう構成になりました。聴きごたえのあるアルバムって、収録曲のバランスが良かったりするじゃないですか。自分が青春時代に聴いていたUSのアーティストとか、もちろん曲がいいんですけど、「アルバムを通してめちゃめちゃいいな」という感想が自分の中にあって。そうなったときに、ライブも考えると、あのエレクトロサウンドでお客さんが盛りあがるイメージが、「Nobody Knows」を聴いたときに湧いたんです。「エレクトロサウンドは今どうなんだろうな?」って自分自身もすごく考えたんですけど、自分がソロでやってきた過去の音楽を振り返ってみても、経緯からしても、僕が今エレクトロサウンドをやってもみんな不思議には思わないんだろうなと思いました。逆に言うと、「臣らしい」って言う人もいるんだろうなとも思ったので、自分らしい一面でもあるのかなと。ライブのことを想像して、採用させてもらった感じです。

ーーさらに「One Way Love」のようなバラードもありますね。

登坂:そうですね。さっき言った「こういうテーマだよ」とメールを送ったときに、プロデューサーのUTA君に、バラードを作りたいという話をしていたんです。「じゃあ明日スタジオに一緒に入って、ゼロから作ろうか」と言っていた前日の夜中に、いきなりUTA君が「このメロディどう?」ってピアノを弾いている動画だけ送ってくれて、「めっちゃいいな」と思って。そのままスタジオに入って、改めていい曲だなと。自分の周りにいる音楽クルーから見た「臣くんはこのレンジのキーが超合う」とか「一番きれいな成分が出ると思う」とか「こういう曲ってファンの人が好きでしょ?」みたいな感じではない自分を存在させたかったんです。ダンスミュージック、ヒップホップ、エレクトロだけをやっている自分じゃない自分も存在させたいと思ったんです。多方面のバランスを見ての「One Way Love」なので、自分の多面性が見えた感じはしました。

ーーアルバム全体を通して聴くと、登坂さんはトラックと自分の声の関係性に非常に敏感な印象があります。自分のボーカルのここを出したいというような意識はありましたか?

登坂:実はすごい不得意な曲もあるんですよ。どの曲とはもちろん言えないんですけど(笑)、三代目 J SOUL BROTHERS(以下、三代目)でも、アルバムを作ったりとかしていると、不得意な曲ってあって。「自分の声に合わないな」とか「自分のフィールドじゃないな」という感じの曲がありながらも、それをやることで、グループの曲になるのもわかるので、あえてチャレンジしているところもあります。だからそういうことも自分で考えて、トラックと自分の声の相性っていうのはやっぱりすごく気にはしますね。

ーー『FULL MOON』のときにもインタビューして、登坂さんがJ-POPシーンにないものを作ろうとしているのを感じましたし、『Who Are You?』でも感じたんです。登坂さん自身は、そうした点を意識していたでしょうか?

登坂:もちろんあります。まぁ、僕がどんなにヒップホップのサウンドをやろうとダンスビートをやろうと、結局僕が歌うことでJ-POPになるので。日本のアーティストが、日本をフィールドの主点としてやっているので、どんなにUSサウンドをやったとしても、UKロックっぽいことをやっても、それってJ-POPだと思うんです。それを変えたいというのは願望としてはありますけど、日本っていろんな音楽がびっくりするぐらいあるじゃないですか。バンドもアイドルもいれば、演歌も歌謡曲もいっぱいあるので。いい意味で多種多様な世界だから、もっと自分のやりたいことに挑戦していきたいという気持ちはやっぱり常にあります。

■「LDHで育ったからこそ、違うエンタテインメントをやりたい」

ーー『Who Are You?』がリリースされて、『LDH PERFECT YEAR 2020 SPECIAL SHOWCASE RYUJI IMAICHI / HIROOMI TOSAKA』も始まりましたが、今回のツアーをしてみて感触はいかがですか?

登坂:今回はアルバムを引っさげて、ショーケースのロングライブになるので、アルバムを作るときにライブもずっと想像して制作していました。だからライブのセットリストもすぐに決まったんです。今日は3公演目になるんですけど、福岡2days(2020年1月23~24日の福岡ヤフオク!ドーム)をやってみた感覚で言うと、抱いていたイメージとズレがなかったんです。「あっ、(お客さんが)こういう反応するんだ」とかが、いい意味でなかったというか。『Who Are You?』というアルバムを作って、「こういうセットリストでやったら、こういう風にライブが進んでいくんだろうな」っていうのが、イメージ通りに進んでいったので。『FULL MOON』のときのツアーは、1stツアーでもあったので、自分の思い入れのある曲をカバーさせてもらったり、自分のことを知ってもらうことも含めたツアーの内容だったんですけど、今回は純粋にアルバムをひっさげてのライブなんです。自分が楽曲を作って、アルバムを作って、「こういうテーマで、こういう映像で、こういうストーリーのライブに流れてきたい」って思い描いて制作した通りに進んだので、それがすごく自信にもなりました。

ーーそこまで理想通りにいったライブは今までありましたか?

登坂:なかったですね(笑)。三代目のライブを数多く死ぬほどやっていますけど、やっぱり三代目はあれだけ個性がの強いメンバーがいるグループで、それぞれの意見もあるし、それぞれ色もあって、それがぶつかりあって最高のライブになるんです。でも、それは100%自分の思い通りではないので。グループとしての100%を目指して、みんなで挑んで100%になるライブなんです。

ーー登坂さんがソロで目指すショーは、具体的にはどんなものでしょう?

登坂:EXILEも三代目も後輩たちも、自分から見たLDHは、太陽みたいに煌々と照っているエンタテインメントを繰り広げているイメージがあるんです。そこで育った自分が、ソロのときに最初からテーマを「月」にしているのは、LDHで育ったからこそ、違うエンタテインメントをやりたいというのがありました。LDHが太陽であれば、僕は月という、相反するエンタテインメントが、同じLDHという大きな傘の中に存在して、全く全然違う毛色のアーティストがいてもおもしろいんじゃないかなと僕は思っています。自分のソロの楽曲のミュージックビデオのエンディングに「CDL entertainment」というロゴを付けているんです。「CLAIR DE LUNE(クレールドルナ)」というフランス語で、「月の光」の意味を指しますが、 その頭文字をとって、「月の光のエンタテインメント」ということで、プロジェクトとして今後いろいろ進めていきたいです。

ーー登坂さんにとっての月とは、どういうイメージでしょうか?

登坂:月って毎日形が変わるじゃないですか。三日月もあれば、満月もあれば、半月もあれば、皆既月食もある。しかも、雲に隠れていたり月が見えない日もあるじゃないですか。姿を表さないときもあれば、堂々と大きく満月の日もある。月は、そういう不思議さ、妖艶さ、儚さを連想させる象徴だと思うんです。太陽とは真逆の存在のイメージが僕の中ではあって、日本にもLDHにもなかったようなエンタテインメントを今後作っていきたいなと思います。

ーーソロと三代目で差別化しているポイントはあるでしょうか?

登坂:グループの場合、楽曲を決めることも、ライブをすることに対しても、全員で話しあって全員で「イエス」にしてから始めるんです。でも、ソロだと自分の「イエス」だけなので、失敗したら自分自身僕に全部返ってくる。大きなグループを大切にしたいという部分もあるし、だからこそソロを大事にしたいと思うときもあります。ソロでいる自分と、グループでいる自分とでは、音楽性もマインドも全然違うなと思います。

ーー最後に「PERFECT YEAR」に賭ける意気込みを聞かせてください。

登坂:今年は「PERFECT YEAR」でもあるんですけど、三代目が10周年を迎える年でもあるんです。企画だったり、ライブだったり、いろんなものを今準備しています。「PERFECT YEARだ! わー!」って気合を入れてやるよりは、改めて10年間応援してくれたファンのみんなに感謝を伝える年にしたいなと思っています。「10年もついてきてくれてありがとう」という気持ちを改めて伝えたいですし、それがもしかしたら今までなかった活動になってくるかもしれません。そういった気持ちも含めて、ファンの方と一緒に楽しんでいける年にしていきたいなと思っています。

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