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新キャスト加わる劇場版にも期待 賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名ら『今日から俺は!!』俳優の飛躍

リアルサウンド

20/3/16(月) 6:00

 2018年の10月期に日本テレビ系列で放送され、大きな話題を集めた『今日から俺は!!』。80年代後半から90年代にかけて連載され、アニメ化やVシネマ化もされたことがある西森博之の同名ギャグ漫画を、『銀魂』シリーズなどの福田雄一監督の演出のもとで実写化した本作は、80年代の空気感の再現もさることながら、福田作品の常連俳優を中心とした個性の強すぎるキャスティングとゲストキャストの豪華さでお茶の間の視線を独占。とりわけメインキャストを中心とした、確かな演技力を持ちながらもなかなか飛躍の機会が巡ってこなかった若手俳優たちが、こぞって本作をきっかけにステップアップしていったことは見逃せない現象といえるだろう。

参考:【ほか場面写真多数】各俳優登場写真はこちらから

 まず主人公の三橋役を演じた賀来賢人といえば2007年の俳優デビュー以降様々な作品でバイプレイヤー的な存在感を発揮し、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』では沖田総司役を演じるなど、その演技力には定評があった反面、際立った特徴のある俳優ではなかったというのが率直な印象だ。しかし舞台劇を経て、『俺はまだ本気出してないだけ』や『斉木楠雄のΨ難』といった福田作品でコメディへの適性の高さを示すと、この『今日から俺は!!』でそれをさらに弾けさせる。もっぱら本作での弾けたキャラクター性が浸透したことによって、その後の『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)や『AI崩壊』で見せるシリアスな表情とのギャップが活きることとなり、名実ともに演技派俳優としての地位を確立したのである。

 また三橋の相棒である伊藤役を演じた伊藤健太郎も、本作での“伊藤”という役名を契機にそれまでの芸名から本名へと改名したほどの気合の入れようからもわかる通り、彼の俳優キャリアにおける大きな転機になったことは間違いないだろう。『先生! 、、、好きになってもいいですか?』や『アシガール』(NHK総合)などで、すでに2017年頃から頭角を現しはじめた伊藤は、本作の出演後には主演を務めた『惡の華』で挑戦的な演技を披露したり、この夏には出演映画が一挙に公開されるほどの人気ぶりだ。しかも最近では『スカーレット』でNHKの朝の連続テレビ小説にも進出したほど。

 朝ドラといえば本作出演前のNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』で、それまでのアクション女優としてのイメージからどことなく昭和的な清純派イメージを獲得した清野菜名も忘れてはならない。本作で見せたアクションと清純派のハイブリッド演技が光り、『やすらぎの刻~道』(テレビ朝日系)にも活かされると、再び日曜ドラマ枠の『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)に、今度は主演として返り咲くほどの成長を遂げた。そして『今日から俺は!!』以前から圧倒的な知名度と人気を有していた橋本環奈でさえも、『銀魂』シリーズと『斉木楠雄のΨ難』でイメージに囚われないコメディエンヌぶりに拍車をかけ、本作を節目に一気に女優としての出演作が増加。『キングダム』の河了貂役をはじめ、サスペンスからラブコメまで幅広くこなす女優として、たしかな成長を見せているのだ。

 他にも本作での怪演ぶりが評価されてコンフィデンスアワード・ドラマ賞の新人賞を受賞
した磯村勇斗や、子役時代から着実にキャリアを積み上げてきた矢本悠馬もまた本作以後出演作が相次ぎ、本作の放送中に乃木坂46を卒業して女優への道を進みはじめた若月佑美も2020年にさらなる飛躍が期待されている。そして賀来と同じように福田作品で演技の幅を拡張することに成功した仲野太賀(昨年夏に「太賀」から改名)は、NHK大河ドラマ『いだてん』もさることながら、とにかく映画俳優としてのめざましいほどの活躍が目立っており、この『今日俺!!』出演者の中でも群を抜いた貫禄を放っている。

 しかも今年の夏にはドラマ版のメインキャストがそのまま続投を果たす劇場版の公開も待機している。そこには新たな追加キャストとして、俳優としての確たる地位を既に築いている柳楽優弥をはじめ、賀来と共演する『死にたい夜にかぎって』(MBS/TBS)や伊藤と共演する『とんかつDJアゲ太郎』など話題作への出演が続く山本舞香。さらには多くのブレイク俳優を輩出した『表参道高校合唱部!』(TBS系)出身で、すでにNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』や『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)で頭角を現しはじめた泉澤祐希、オーディションを勝ち抜いてきた栄信と粒揃い。単なるギャグドラマとは一線を画し、多くの若手俳優たちの可能性を引き出した『今日俺!!』は、今後もいたる所で語り草になることだろう。 (文=久保田和馬)

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