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BABYMETAL「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」ライブレポート(DAY-2)

ぴあ

20/2/4(火) 7:00

「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」DAY-2 Photo by Taku Fujii

ぴあが発行するエンタテインメント・ライブ・マガジン『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)』にて、大フィーチャーしているBABYMETAL。2020年1月25・26日にわたって千葉・幕張メッセにて開催されたBABYMETAL「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」のライブレポートをいち早くお届けしようと、この度、ぴあアプリに出張。1月26日[DAY-2]のレポートを届ける。

「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」2日目。前日に引き続き、2万5千人の観客で埋め尽くされた幕張メッセのフロアは、意外にも静かだった。以前は、BGMとして流れる数々のメタル名曲に合わせてシンガロングする光景が見受けられたが、新規のファンが増えたからか、はたまたこれから繰り広げられるショーに向けての緊張が高まっているからか、目の前にいる人の数には不釣り合いなほど静かだった。しかし、場内アナウンスにて開演が近いことが告げられると、次第に歓喜の波が広がっていき、BGMの曲が終わるごとに「もうはじまるんじゃないか」という期待が盛大な拍手となって場内を満たしていった。

そして、客電が落ちると、真っ赤に輝くスクリーンでフロアが照らされ、そこに浮かび上がる無数のフォックスサインのシルエットに出迎えられるように、BABYMETALと3人のサポートダンサーがステージに姿を現した。流れる曲はもちろん、Disc-2のオープニングを飾るインストナンバー「IN THE NAME OF」である。前日に目にしているとは言え、超巨大LEDスクリーンの威力はやはりすさまじい。

トライバル感あふれるビートとリチュアル感たっぷりのムードで観客をいきなり圧倒したあとは、「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」へ。初日と比べても、2日目は最初からサウンドがビシッと決まっている。シンセの上モノと腹の底から響くような迫力ある演奏が鼓膜を心地よく震わせる。もちろん、メインステージに立つ3人も前日の疲れなんてまったく見せていないどころか、SU-METALは意思の強さを感じさせる眼力でフロアを見つめる。間奏では指の動きだけでサークルピットをつくるように促し、ラストは「スクリーム!」と叫ぶ声が幕張メッセ中に響いた。メタルクイーンの堂々たる貫禄だ。

続く「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」ではいきなりのお祭り騒ぎ。3人が立つメインステージがフロアに向かって移動し、観客はそれを無数に振り回されるタオルで出迎えた。スクリーンに大映しになるタイを代表する国民的MC、F.HEROによるラップパートは3人のダンスの見せ場でもある。躍動感のある細かな動きから目が離せない。そして、曲終わりにはメインステージの通り道となっていた両サイドから盛大に光の粒子が吹き上がった。この室内花火の演出(ジャープ)は、[DAY-1]には見られなかったもの。てっきり、演目による違いは多少あるとはいえ、基本的な演出は両日共通していると思い込んでいたので、これにはたいそうびっくりした。「前日と同じようなことをやるつもりはない」というチームBABYMETALの意思をここではっきりと受け取ったのだった。

いつもなら終盤に披露される「KARATE」が4曲目に投入されたのも驚きだった。さらに「Kagerou」の前には、この日の演奏を担当した前日とは異なる神バンドの面々(「西の空の守護神」)によるソロパートが大きくフィーチャーされ、その技術を遺憾なく発揮。ダイナミックなプレイで観客を唸らせた。特に、ドラムの人間離れした手技・足技に大きな喝采が贈られた。

「Kagerou」本編は無数の炎が揺れる演出が定番となっているが、これをさらに効果的にしているのが3人のパフォーマンスをとらえるカメラワーク。曲のエンディングで、たったひとつで揺らめくフレイマーの向こうにSU-METALを映し出したのが実に幻想的だった。事前の計算通りであろう、ベストショットを届けてくれた。

この日は多くのハイライトがあったが、そのうちのひとつが初披露となった「BxMxC」。音源以上に邪悪で激重な演奏もすばらしかったが、それ以上に観客を熱狂させたのがSU-METALのボーカルだ。この曲は、ここ数年にわたってヒップホップ界で大流行しているトラップでよく用いられる高速のフロウ(節回し)を取り入れた歌唱がファンの間で話題となったが、この特殊な楽曲を彼女は見事に歌いこなしたのである。照明は極力抑えられ、リリックビデオのようにデザインされた歌詞が黒地のスクリーンに映し出されるだけというストイックな空気感のなかでのパフォーマンスは、今、改めて思い出すだけでも鳥肌モノである。SU-METALという歌い手の実力が、我々の想像のさらに上を行っていたことを実感した瞬間でもあった。

『METAL GALAXY』リリース以降に顕著なのだが、最近のBABYMETALのライブは文字通り目が離せない。レポート執筆のためにメモをとる時間すら惜しい。ちょっと視線を落としている間にメンバーがどんなパフォーマンスを見せるのか、どんな演出が展開されるのかと考えると気が気でない。これはもう、ひとつの名作映画のようなものだ。巨大スクリーンとメインとなる可動式ステージは当然離れたところに位置するものの、ステージの壁面もスクリーンになっているため、3人が画面のなかでパフォーマンスしているように見える。それも映画を観ているような錯覚に陥らせる理由のひとつになっていたと思う。BABYMETALのショーはもはや芸術作品――「何を大げさな」と笑うかもしれないが、あの場に居合わせた人間なら真顔でうなずいてくれるはずだ。

2日間の演奏を聴き比べて感じたのは、東の神は非常にタイトで正確なプレイが特徴的で、それに対して西の神は実にダイナミックな演奏で聴かせるという、甲乙つけがたい魅力があるということ。しかし、BABYMETALとサポートダンサーたちは、このタイプの異なるグルーブにきっちり合わせたパフォーマンスを完遂したのである。実はこの作業、かなり大変だったのではないか。今にはじまったことではないが、BABYMETALは裏での苦労をステージ上で見せることがまずない。PMCでのインタビューでも、「ステージに立って表現しているものがすべて」と話しているぐらい自分たちのライブに対して高い意識を持っている。そういった姿勢も今回の名演につながったのは間違いのないところだ。

最高の演奏で楽曲のポテンシャルを一段上に引き上げた「シンコペーション」に続いては、イントロが鳴った瞬間に大歓声が上がった「ヘドバンギャー!!」。何よりインパクトがあったのは間奏での煽り。SU-METALの片目のアップと、彼女のリアルタイムの姿がスクリーンに映し出される。何も言葉にすることなく、震え上がるほど鋭い視線だけで土下座ヘドバンをフロアの客全員に求めたのである。もちろん、MOAMETALもそんな彼女の行動をサポートすべくフロアを見つめる。観客が戸惑いを見せるなか、BABYMETAL初期のライブで大活躍した骸骨姿のBABYBONEの面々がフロアへ突入し、皆を煽りまくった。もちろん、その間もSU-METALは2万5千人を凝視している。この、儀式的な畏怖感と滑稽さが入り混じる感じも唯一無二。これぞBABYMETALというひとときに震えた。

そこから再び、ガラッと空気が変わったのは「Starlight」。銀河の中から放たれているかのような荘厳なロングトーンで場内が包まれ、「Shine」では強烈に発光するシングルの照明がフロアを照らすなか、SU-METALの慈悲にも似たボーカルがスッと胸に染みていくのだった。

この展開を引き取るメロディックスピードメタルナンバー「Arkadia」が本当によかった。

『METAL GALAXY』のラストを飾るこの楽曲は、あらゆる困難を乗り越えてきたBABYMETALを導く道標のように希望で満ちあふれているからだ。彼女たちの未来を思うと、グッとこみ上げてくるものがある。

しかし、さらに多くの観客の涙腺が崩壊したのはラストの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。以前はライブの定番だったBABYMETALを代表するこの楽曲が披露されたのは、なんと2年以上ぶり。SU-METALとMOAMETALのふたり体制になってからは初となる。しかも、[DAY-1]のラストと同様に、サポートダンサー3名と2組のバンドメンバーが勢揃いしたのだ。アレンジは少しだけ変わって、よりパワフルに。さらに、4人の凄腕ギタリストがソロを順々に弾くという夢のような演出や、間奏のセリフをSU-METALやMOAMETALとサポートダンサーが一節ずつ担当するというサプライズもあった。

言っておきたいのは、ただ久しぶりの楽曲を披露したから感動的だったわけではないということ。この曲をやったということから、BABYMETALが数々の試練を乗り越え、これまでの活動を肯定する姿勢を感じ取ったからこそ、多くの感動を呼んだのだ。エンディングでメンバー全員が満面の笑みだったこともその実感をより強いものとした。BABYMETALは本格的に次のフェイズへ向かって駆け出したのである。

ライブの最後には、結成10周年イヤーに何かが起こることが知らされた。具体的な内容は4月1日の〈FOX DAY〉に発表されるという。〈最終楽章〉と謳われたそれは、きっと我々がまったく予想していない、驚きに満ちたものなのだろう。期待して待ちたい。



阿刀大志=文 PMC編集部=編集 Photo by Taku Fujii Photo by Takimoto “JON” Yukihide

【公演概要】
公演タイトル:「METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN EXTRA SHOW LEGEND - METAL GALAXY」
(メタル ギャラクシー ワールドツアー イン ジャパン エクストラ ショー レジェンド -メタル ギャラクシー)
日程:2020年1月25日(土)DAY-1 、1月26日(日)DAY-2
会場:幕張メッセ国際展示場

【セットリスト】
【Release Information】
『LIVE AT THE FORUM』
5.13 release
(BD)¥7000+tax 品番:TFXQ-78181、(DVD)¥6000+tax 品番:TFBQ-18224ほか
BABYMETAL『LIVE AT THE FORUM』主要販売サイト:https://tf.lnk.to/H47RY
※商品イメージ画像添付(商品のジャケット写真とは異なります。)

3rd Album「METAL GALAXY」
now on sale
(2CD)通常盤 - Japan Complete Edition - ¥3,500 +tax 品番:TFCC-86687ほか

【METAL GALAXY WORLD TOUR】
2020/2/3(月) スウェーデン, ストックホルム / Fryshuset

2020/2/4(火) ノルウェイ, オスロ / Sentrum Scene
2020/2/5(水) デンマーク, コペンハーゲン / Vega Main Hall

 2020/2/8(土) ドイツ, ハンブルグ / Große Freiheit 36
2020/2/9(日) フランス, パリ / Élysée Montmartre
2020/2/11(火) オーストリア, ウィーン / Gasometer

2020/2/13(木) ドイツ, ケルン / Carlswerk Victoria

2020/2/14(金) ドイツ, ベルリン / Huxleys

2020/2/16(日) ベルギー, ブリュッセル / AB
2020/2/17(月) オランダ, ティルブルフ / 013

2020/2/19(水) イギリス, グラスゴー / Barrowland

 2020/2/20(木) イギリス, カーディフ / The Great Hall

2020/2/22(土) イギリス, マンチェスター / O2 Apollo

2020/2/23(日) イギリス, ロンドン / Eventim Apollo
2020/2/26(水) フィンランド, ヘルシンキ / House of Culture

 2020/2/28(金) ロシア, サンクトペテルブルグ / M1
2020/3/1(日) ロシア, モスクワ / Adrenaline Stadium
2020/3/20(金)千葉 / 幕張メッセ国際展示場 【KNOTFEST JAPAN 2020】
2020/3/22(日) バンコク / GMM LIVE HOUSE
2020/3/27(金) クアラルンプール / KL Live
2020/3/29(日) ジャカルタ / Basket Hall Senayan
2020/4/3(金) 台北 / NTU Sports Center 1F
2020/5/16(土) マニラ / MALL OF ASIA ARENA 【PULP SUMMER SLAM FESTIVAL】
2020/6/5(金)〜7(日) ドイツ /【Rock am Ring】
2020/6/5(金)〜7(日) ドイツ /【Rock im Park】
2020/6/8(月) ポーランド、ワルシャワ / Stodola
2020/6/10(水)〜 13日(土)オーストリア /【Nova Rock Festival】
2020/6/11(木)〜 13日(土)スイス /【Greenfield Festival】
2020/6/14(日) イギリス,ドニントン / Donington Park【Download Festival】
2020/6/17(水) オランダ, ユトレヒト / Tivoli Ronda
2020/6/19(金) ベルギー /【Graspop Metal Meeting】
2020/6/21(日) フランス /【Hellfest】
2020/6/23(火) スペイン, マドリード / La Riviera
2020/6/24(水) スペイン, バルセロナ / Razzmatazz

【関連リンク】
BABYMETAL Official Web Site

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