坂の上に暮らす裕福な家族と、半地下の家で生きる貧しい一家。二つの家族の出会いが生み出す、とてつもなくおかしくて、いとおしくて、やがてかなしき物語。観ていてふと思い出すのは「HIGH＆LOW」という言葉(LDHの作品ではなく『天国と地獄』の英題からの連想)だ。坂の上で生まれたねじれは奔流となって半地下の家へ流れ込む。それは現代の格差社会のひずみゆえか、それとも……。 魅力的な俳優たちが織りなす黒い戯画だと思ってけらけら観ていると、人の世界の深淵の口がぱっくり開く。舞台設定から、邸宅の床を這う貧乏家族のしなやかな体の動きにいたるまで、すべてが映画的な一本。今さらながらポン・ジュノ、すごい。話が早くて無駄がないのもお見事。