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春日太一 実は洋画が好き

「コナン」と言えば……『コナン・ザ・グレート』!

毎月連載

第17回

20/5/26(火)

シュワルツェネッガー主演『コナン・ザ・グレート』

名作テレビアニメ『未来少年コナン』の再放送がNHKで始まり、話題になっている。それで思い出すのが、「コナン」論争だ。

会話の中で「コナン」とだけ言った場合、それが『未来少年』なのか『名探偵コナン』なのか……。人によって受け止め方が違うようで、それをキッカケに「コナンと言ったら~だよ」と軽い言い合いになる現場に、たまに遭遇する。

で、そういう時、話の中に入っていけない自分がいる。というのも、その会話の間ずっと「いや、コナンと言ったら『コナン・ザ・グレート』に決まっているじゃないか!」と内心で思っているから。

『コナン・ザ・グレート』は、有史以前の架空世界を舞台にしたダーク・ファンタジーだ。本作で伝説の剣士・コナンを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーの出世作である。

1982年の公開作品だが、最初に意識したのは、それから数年後。80年代の後半になってからだと記憶している。小学校高学年になり本格的に映画にはまり出していた当時、『スクリーン』『ロードショー』の両映画誌を購読していた。両誌では、その月のテレビ洋画劇場の放送される作品紹介欄に結構なページ数を割いていて、目玉作品となると大きな写真とともに1ページくらい使っていた。

そして、ある号で1枚の写真に目が留まった。筋骨隆々の上半身を露わにしたシュワルツェネッガーが、大きな刀を振りかざして鎧の騎士と向き合っている……という写真だった気がする。

「これは観なければ!」目にした瞬間、そう思った。

『ドラクエ』の主人公が飛び出してきたような世界観に興奮!

時代劇にはまり始めていた頃なのでソード・アクションにときめくものがあったし、何より、テレビゲーム『ドラゴンクエスト』にどっぷり浸かっていた時期だった。そのため『ドラクエ』と同じく中世の西洋っぽい異世界を舞台にしたと思しき戦士の写真に心がときめいたのである。

当時のゲームは容量が少なかったためドット絵でしか表現できず、あとは想像で補うしかなかった。それが、具体的な映像として現れる。期待が高まった。

そして、テレビ放送当日、目の前に展開されたのは、その期待を遥かに上回る世界だった。

村落、城、洞窟……その荒々しくゴツゴツしたセットや背景や衣装や武器などの小道具。この世界の何もかもがイマジネーション豊かで、それでいてリアルに思える精巧な作り込みがなされている。それは『ドラクエ』のドット絵を元に勝手に想像していた世界よりも魅力的だった。

「有史以前の最強の戦士」という現実ばなれしたキャラクターも、シュワルツェネッガーが演じたことで「『ドラクエ』の主人公が肉体をもってゲームから飛び出してきた」ように思えた。そんな魅力的な主人公が、魅力的な世界で、めくるめく冒険とド迫力の戦いを展開する。しかも、『ドラクエ』にはないエロスのにおいも、ほんのり漂う。それはもう、子供心にはたまらなかった。

あの時の興奮はいまでも冷めていない。だから、誰がなんと言おうと、「コナン」と言えば『コナン・ザ・グレート』なのである。

関連情報

『コナン・ザ・グレート』発売中

フォックス・スーパープライス・ブルーレイ ¥1,905+税
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2017 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

プロフィール

春日太一(かすが・たいち)

1977年、東京都生まれ。映画史・時代劇研究家。著書に『天才 勝新太郎』『仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル』『仲代達矢が語る 日本映画黄金時代』など多数。近著に『泥沼スクリーン これまで観てきた映画のこと』(文藝春秋)がある。

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