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「導いてくれたこの日に感謝します」L'Arc-en-Cielが11万人を笑顔にした奇跡のラルクリ

ナタリー

18/12/22(土) 0:00

hyde(Vo)

L'Arc-en-Cielが12月19、20日の2日間にわたり東京・東京ドームにて単独公演「LIVE 2018 L'ArChristmas」を開催した。

バンドにとって約1年8カ月ぶりとなった今回の公演には、2日間で11万人が来場。全国の映画館でのライブビューイングも行われ、各地のファンがクリスマスをコンセプトにしたセットリストに基づく4人のパフォーマンス、演出、ステージを存分に堪能した。この記事では初日公演の模様を中心にレポートする。

場内が暗転するとステージ両脇に設置されたスクリーンには、水面に氷が張るシーンや真っ白なトナカイが駆ける様子、樹氷が広がる景色など冬を象徴する映像が次々と映し出されていく。続けて氷漬けにされたメンバー4人の姿が浮かび上がり、氷が割れる音と共に順番にステージに。最後にhyde(Vo)がステージ中央に現れ、息をひとつ吸い込み「winter fall」を歌い始める。そこに黒いシックなファッションに身を包んだhyde、ken(G)、yukihiro(Dr)、グレーのオリジナルロングジャケットを着たtetsuya(B)とクリスマスを意識した装いの4人がスクリーンに浮かぶと、観客はため息のような声を漏らした。カラフルなレーザーの演出を口火にライブの定番曲「Caress of Venus」が始まると、kenの弾く滑らかなアルペジオと、yukihiroの叩くダンサブルなリズムに合わせてドーム中が軽やかに揺れる。間奏の直前でhydeはいつものように客席に向かってひとつ投げキッスを送り、観客の心を鷲掴みにした。3曲目の「snow drop」では観客が装着したLEDリストバンド“L'edバンド”が一斉に青白く灯り、雪原を思わせる景色を描き出す。hydeは、tetsuyaが奏でるメロディアスなベースに乗せて、弾むような歌声を聴かせた。

hydeが「Thank you! Tokyo」と口にし、最初のMCコーナーに。彼は「皆さんこんばんは……」と口にしたのち、一瞬の間を置き「L'Arc-en-Cielでーす! どうですか、これ? 4人そろってる。1年8カ月ぶりにそろいました。どうよ。これはすでにクリスマスの奇跡が起こってるということではないのか」とおどけてみせる。「平成最後のL'Arc-en-Cielを最後まで一緒に楽しもうぜ。師走の平日にいらっしゃる皆様は、かなりのマニアとお見受けしました。今日はね、ひさしぶりの曲を用意させてもらいましたので、最後まで楽しんでください、東京!」と語った。そんな言葉に続き、シンフォニックなトラックと、kenのつま弾くアコースティックギターの調べ、hydeの柔らかな声が印象的なウィンターバラード「BLESS」を奏でた。

その後、「BLESS」の余韻を断ち切るように「接吻」が始まり、場内のムードは一変する。サングラスをかけたhydeは、マイクを握り締め挑発的に熱唱。続く「fate」では、むせび泣くようなkenのギターと、tetsuyaの重厚なベースのアンサンブルがシリアスな空気を紡いだ。一方で緊迫した場内のムードは、hydeが吐息のような声で歌い上げた「Dearest Love」でほどけていく。大サビでは火柱が上がり、狂おしく情熱的な愛をつづった歌詞の世界を演出した。一瞬の静寂のあと、kenが幽玄なフレーズを奏でスケール感たっぷりの「MY HEART DRAWS A DREAM」がスタート。hydeは歌いながらステージ中央から伸びるランウェイを歩き、サビではオーディエンスの合唱に合わせて自身の声を重ねる。ラストでは客席に視線を送り「降り立った彼方で 目を開けたら… 笑顔のままの君に逢えると良いな」と優しく歌った。一瞬の間を置いて、今度はパイプオルガンの音が響き、自然とクリスマスムードが高まっていく。そんな中、hydeがtetsuyaの肩を抱き、美しいハーモニーを聴かせながら「Hurry Xmas」を歌唱。その姿にオーディエンスは歓喜の声をあげた。いつしか曲にあわせてL'edバンドがカラフルに点滅し、ステージ上のツリーの電飾に光が点くなど祝祭ムードが会場に漂う。火炎と花火が飛び交い、観客が盛大にジャンプを繰り返した「Driver's High」に続いたのは「DIVE TO BLUE」。ステージの照明とL'edバンドが青一色で染まる中、yukihiroが叩くリズムに合わせて、hydeは伸びやかな歌声を聴かせた。

次のブロックで4人はアリーナエリアに設けられたセンターステージに移動。サンタクロースのコートを羽織り、サンタ帽を被ったhydeが姿を見せると驚きの声が沸いた。センターステージではMCが行われたのち、kenとtetsuyaのコーラス、鈴の音を加えたアレンジの「未来世界」が披露される。そのまま4人はL'edバンドが波打つように青い光を放つ中で「静かの海で」を演奏。yukihiroの叩くシンバルのリズムと共に、メンバーと観客の歌声が溶け合い一体感が生み出された。

一瞬の暗転の後、観客の目の前には、長方形のスライディングステージに乗り、ギターを抱えて背中合わせになった4人の姿が。そこから始まったのは、メンバーがリードボーカルを交代で務める「trick」。曲のクライマックスではメインステージに4人が横並びになるという、異例のフォーメーションがオーディエンスを驚かせた。さらにヘビーかつエロティックな曲調の「X X X」、グルーヴィでダンサブルな「Wings Flap」と近年リリースの楽曲を経て、ライブには欠かせないポップな「Link」へ。きらびやかな銀テープが発射され、巨大なバルーンがアリーナエリアを飛び交い、楽しげな空気がドーム中を満たしていく。その光景を前にhydeは、「なんか、みんな、ニコニコして楽しそうだね。きれい、すごく。キラキラしてて」と目を細めた。また今回の公演では2017年4月に開催したライブに向けてリクエストを受けつつ披露できなかった上位の曲の中から、「冬の曲」を中心にセレクトした旨を説明。「アマチュア時代からやってる曲でですね、この曲案外クリスマスっぽいなと思って……」という言葉に続き「White Feathers」のタイトルが告げられた。羽が舞う演出の中、4人は懐かしいナンバーを噛み締めるようにプレイ。穏やかな余韻を残してステージをあとにした。

インターバルを挟んでのブロックは、バンドの最新曲である「Don't be Afraid」で幕を開ける。白い衣装に着替えたhydeは鋭い視線をたたえ、激しい歌声を響かせた。その後のMCではtetsuyaが「おげーんき? ごぞおんじー?」とおなじみの挨拶を観客と交わし、「L'Arc-en-Cielとしては初めてのクリスマスライブらしいんですよね」「『ラルクリーム』とかダジャレのグッズ作ったりしてたのに、『L'ArChristmas』は初めてなんですよ」と口にしてひとしきり和やかにトーク。そして「続き、聴きたい?」と呼びかけ「twinkle, twinkle」につなげた。「twinkle, twinkle」が終わると、センターステージに歩みを進めていたhydeはアカペラで「Ring bell through the window」と「I Wish」のコーラスパートを歌い出す。その声に呼応するようにクラップとシンガロングが起きた。4人はオーディエンスの美しいハーモニーに耳を傾けつつパフォーマンスを展開。ドーム内を幸せな空間に変えていった。

最後のMCでhydeは「みんな近付くとニコニコするよね。かわいいよね。楽しんでもらえたかな?」「クリスマスをテーマにしたライブはそんなしょっちゅうやれないんじゃないかと思ってるんで」「また、あるかもしれないですけど、ちょっと珍しいライブだったと思います。楽しかったです」「みんなニコニコしてるからね、なんかこっちがプレゼントをもらったような気分。ということは、皆さんもサンタクロースになれたってことですね」とほほえむ。さらに「日本人って、いろんなところのいいところどりをしてきたと思うんですよね。僕はもうそれでいいなと思ってて。こんなキラキラした素敵なイベントだから、楽しまないともったいないじゃん? だって、ほら、クリスマスのおかげで今日僕たち会えたわけでしょ? 今日は本当にありがとうございました。導いてくれたこの日に感謝します」と真摯に語った。

4人がラストナンバーとして観客にプレゼントしたのは冬のバラード「雪の足跡」。包容力のあるhydeのボーカル、きらめくようなkenのギターフレーズ、低く穏やかなtetsuyaのベース、yukihiroの叩く鼓動のような凛としたリズムが一体になってドームに広がっていく。アリーナエリアに真っ白な紙吹雪が舞い、曲の終盤で楽器隊の3人は「きよしこの夜」のワンフレーズを奏でる。最後にhydeの「メリークリスマス!」の声が高らかに響き、「LIVE 2018 L'ArChristmas」の初日は終わりを迎えた。

2日目の公演はセットリストや演出などは初日とほぼ同じ内容となったが、メンバー全員の衣装が一新。開演するとhydeは真っ白でドレッシーな衣装とファー地の帽子姿、kenはノータイのスーツ、tetsuyaは赤を基調としたロングジャケットに白いパンツとファー付きのブーツ、yukihiroはリボンタイの黒いシャツに身を包みパフォーマンスを繰り広げた。2日目ということでメンバーのパフォーマンスにも余裕が見られ、カメラへのアピールや花道に繰り出す回数などが増えたり、曲のアレンジに手を加えたり、メンバー同士がコミュニケーションを取りながらプレイをしたり、前日からの変化が随所に見られた。

またhydeは終盤で「今日、実は朝起きたら声が出なくて……」と不調だったことを告白。さらに「いろんな人に助けてもらって、メンバーにも助けてもらって、なんとかいつものような声が出るようになりました」「みんなの笑顔を見れて、今日ここに立てたし。なんて言うんだろう、幸せとか、みんなからのプレゼントすごく感じたんで、自分も感動して泣きそうになっちゃって最初から。すごいでもよかった今日」「みんなが笑顔になるのが楽しいから、サンタクロースの気持ちがわかりました。僕たちからのプレゼントはみんなにちゃんと届いたかなと思います」と口にした。さらに、「クリスマスっていうことで神様っているのかな?って考えてました。神様がいなかったとしても、クリスマスってたくさんの人に夢を与えることができてるじゃないですか。あの信じるとか信じないじゃなくて、今日僕たちがこうやって出会えた奇跡、そして愛し合えた時間、これは確かに存在してた。とても重要なことだと思います。導いてくれたこの日に感謝します」と目を潤ませながら語った。hydeは涙をこらえるように「雪の足跡」を力強く歌い上げ、コーラスではtetsuyaが「そっと寄り添うみたいに もう少しゆっくり 一緒に帰ろう」と歌う。2日間にわたったクリスマスライブは、tetsuyaの「またね!」という再会を約束する言葉をもって終幕した。

なおライブの模様は2月23日(土)にWOWOWプライムにて放送されるほか、1月からParaviにて3カ月連続でその裏側に密着したドキュメンタリー番組が配信される。

L'Arc-en-Ciel「LIVE 2018 L'ArChristmas」2018年12月19日、20日 東京ドーム セットリスト

01. winter fall
02. Caress of Venus
03. snow drop
04. BLESS
05. 接吻
06. fate
07. Dearest Love
08. MY HEART DRAWS A DREAM
09. Hurry Xmas
10. Driver's High
11. DIVE TO BLUE
12. 未来世界
13. 静かの海で
14. trick
15. X X X
16. Wings Flap
17. Link
18. White Feathers
19. Don't be Afraid
20. twinkle, twinkle
21. I Wish
22. 雪の足跡

撮影:今元秀明、岡田貴之、緒車寿一、加藤千絵、田中和子

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