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「僕らが組むのは時代を撮れるから」 『ヤクザと家族 The Family』藤井道人監督×河村光庸が語る

ぴあ

『ヤクザと家族 The Family』 ©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

日本アカデミー賞6冠に輝いた『新聞記者』のスタッフが再集結して新たに描く映画『ヤクザと家族 The Family』が、1月29日(金)に公開される。『新聞記者』の監督を務めた藤井道人と配給と制作を務めたスターサンズがタッグを組んだ挑戦について、スターサンズの代表取締役にしてプロデューサーの河村光庸と、藤井監督の言葉をたどりながら紐解きたい。

本作は1999年、2005年、2019年と変わりゆく時代に、ヤクザという生き方を選んだ男と、彼を取り巻く人々を、抗争ではなく、家族の視点で描いた壮大なクロニクル(年代記)だ。「組織=ファミリー」と「自らの家族」の間で揺れ動き、時代の波に流されながら激動の20年を生きた男が抱える家族への愛は、観る者の心を大きく揺さぶることになるだろう。

様々な問題をはらみ、反社会勢力として徹底的な排除に追い込まれた「ヤクザ」を描くことは、現代社会の矛盾と不条理さを浮き彫りにし、今の世に何かを突きつけるテーマとして、日本社会と日本映画界に一石を投じることとなる。

少年期に柴咲組組長の危機を救ったことからヤクザの世界へ足を踏み入れた男・山本賢治役に今回初のヤクザ役となる綾野剛。綾野演じる身寄りのない孤独な少年・山本に手を差し伸べ、“家族”という居場所を与えた柴咲組組長・柴咲博を、ヤクザ役は43年ぶりとなる舘ひろしが演じる。

本作の配給と制作を務めたのが、『かぞくのくに』(2012年)や『新聞記者』(2019年)、そして昨年公開された『MOTHER マザー』(2020年)などを送り出してきたスターサンズだ。日本社会に問題を問いかける社会派の作品を多く生み出し、今最も注目されている映画会社と言っても過言ではないだろう。

メガホンを取ったのは『新聞記者』でスターサンズと手を組み「第43回アカデミー賞」で最優秀作品賞、優秀監督賞など6部門受賞へと導いた藤井監督。『新聞記者』でも企画・製作を担当した河村プロデューサーとのタッグは本作で2度目となる。

「人間社会の矛盾と不条理が集約された形で今日まで残ってきたヤクザは、現代社会のリアルな縮図として、今こそ問題提起せねばならないテーマなのです」と河村プロデューサーは語る。スターサンズといえば『かぞくのくに』では在日問題、『新聞記者』では現在進行系の政治問題を取り扱う、まさに時代を見つめた題材選びが特徴的な会社だ。

藤井監督は「ヤクザはマンションも借りられないし、携帯電話も契約できない。本人ばかりではなくその親、妻、子供にまで影響が及び、人として扱われる権利を全て奪われてしまう。じゃあ社会からこぼれ落ちた人間はどう生きていけばいいのか?これは貧富の差が拡大しつつある今の時代に共通するテーマだと思いました」と社会のあり方について話し、モチベーションが合致したことにより、ふたりは新たな製作に向かう。

それに対して藤井監督は「監督としてスターサンズと組む一番の魅力は、時代を撮れること。今の時代に何が必要なのかを、その社会の一員として考えながら撮れる題材を、一緒に見つけていけるプロダクションなんです」とコメント。また「渾身の一作」と語る綾野をはじめとする、共演キャストからの「生涯輝き続ける色褪せることのない作品」(市原隼人談)や「俳優とは? お芝居とは? をもう一度考える機会を頂けた大切な作品」(磯村勇斗)などのコメントを見ても、その完成度に、いやが上にも期待が高まってくる。

『新聞記者』を日本アカデミー賞に導いた監督とプロデューサーの最強タッグ、そしてキャストとの共同作業から生まれた本作が、再び日本映画界の話題をさらう事は間違いない。

『ヤクザと家族 The Family』
1月29日(金)公開

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