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いま、最高の一本に出会える

スピッツ、ヒゲダン、indigo la End、ザ・クロマニヨンズ、ピロウズ…独自の表現を突き詰めた新作

リアルサウンド

19/10/8(火) 7:00

 NHK連続テレビ小説『なつぞら』主題歌「優しいあの子」を含む約3年ぶりとなるスピッツのニューアルバム、シングル曲「Pretender」のヒットをきっかけにブレイクを果たしたOfficial髭男dism(以下、ヒゲダン)のメジャー1stアルバムなどを紹介。独自の表現を突き詰めた5バンドの新作を堪能してほしい。

(関連:スピッツ、『なつぞら』主題歌「優しいあの子」と「ロビンソン」の関係性

 前作『醒めない』から約3年ぶりとなる新作『見っけ』は、ちょっと信じられないことだが、キャリアハイ更新! と叫びたくなるような、素晴らしいギターロックアルバムとなった。スタジアム級のスケールを放つ煌びやかなバンドサウンド、場外ホームランを想起させる解放感のあるメロディライン、“流星みたいに駆け抜けろ!”とメッセージする歌がひとつになったタイトルチューン「見っけ」を聴いた瞬間、いきなりノックアウト。そのほか、心地いいサイケデリアと情緒的なメロディラインが絡み合う「ありがとさん」、圧倒的な疾走感をたたえたビートとともに思春期に聴いたラジオの思い出を描き出した「ラジオデイズ」など、瑞々しさとノスタルジーを共存させた楽曲が並んでいる。ロックンロールとギターポップの魔法をもう一度信じたくなる、新たな名盤に誕生であると言い切りたい。

 「Pretender」(映画『コンフィデンスマンJP-ロマンス編-』主題歌)、「宿命」(2019 ABC 夏の高校野球応援ソング/『熱闘甲子園』主題歌)、「イエスタデイ」(映画『HELLO WORLD』主題歌)などのタイアップソングが収録されたメジャー1stアルバム『Traveler』。ヒット曲を連発し、すでに幅広い層のリスナーを獲得しているヒゲダンは、本作によってポップクリエイター集団としてのポテンシャルを証明してみせた。メインコンポーザーの藤原聡(Vo/Key)だけではなく、楢崎誠(Ba/Sax)、小笹大輔(Gt)が作詞・作曲した楽曲も収められ、音楽性はさらに拡大。ソウル、R&B、ディスコ、ギターロックからハードロックまでを網羅しつつ、聴いた瞬間に“お、いい曲!”と思わせるクオリティに持っていくセンスと技術は明らかに向上している。大衆性と質の高さを兼ね備えた充実作だ。

 結成13年目の年にリリースされる13枚目のオリジナルアルバム『PUNCH』。1曲目の「会ってすぐ全部」の〈会ってすぐ全部 わかってたんだな〉というフレーズが聴こえてきて、“そういうことなんだろうな”と納得させられてしまった。甲本ヒロトと真島昌利は、自分たちにとって大切なものが明確にわかっていて、他のことはほとんど全てどうでもいい。しかもそれは試行錯誤の末に至ったのではなく、最初から“わかってた”のだ。大切なものとはもちろんロックンロールで、今回のアルバムでも徹底して、それだけをやっている。しかも圧倒的に瑞々しく、生々しいのが(いつも通り)素晴らしく、“なぜこんなことができるのか?”と不思議でもある。ベースとドラムの音量デカめのミックスも気持ちいい。

 山中さわお原案による映画『王様になれ』、初の横浜アリーナ公演『Thank you, my highlight05“LOSTMAN GO TO YOKOHAMA ARENA”』(10月17日)と結成30周年イヤーを飾るイベントが続いているthe pillowsからニューシングル『Happy Go Ducky!』が到着。表題曲は、バスケットボールを題材にしたTVアニメ『あひるの空』(テレビ東京系)オープニングテーマ。厚みのあるギターアンサンブル、しなやかなバンドグルーヴとオルタナの匂いをたっぷりと含んだアレンジメント、そして、“どんな状況であっても、なりたい自分を目指して進もう”というメッセージを掲げた歌が印象的なこの曲は、どこを切っても“これぞthe pillows”と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。30年目を迎えてもなお、瑞々しさを切実さを失うことがないバンドのあり方に、改めて心を打たれる。C/Wには、ストレンジなポップセンスを反映させた「Night owl」、さらに「ストレンジカメレオン」「Funny  Bunny」といった代表曲のライブ音源を収録。

 先行配信された「はにかんでしまった夏」、ドラマ『僕はまだ君を愛さないことができる』挿入歌の「小粋なバイバイ」を含む、indigo la Endの5thアルバム『濡れゆく私小説』は、川谷絵音のソングライティングセンス、メンバーの優れたプレイヤビリティなど、このバンドの特性が増幅された作品となった。軸になっているのは、繊細な叙情性をたたえた歌詞、洗練度の高さと斬新なアイデアが同居したアレンジメント、そして、高い技術と豊かな表現力を共存させた演奏。つまり本作には、高い音楽性と歌モノとしての奥深さが絶妙なバランスで融合しているのだ。さらに特筆すべきは、川谷の歌。自らが作り出す高難度の旋律をナチュラルに歌いこなし、そこに奥深い感情表現を加えたボーカルは、本作によってひとつの高みに達している。(森朋之)

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