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「Perfumeのクールな表現は、熱い思いに裏打ちされている」佐渡監督が明かすアメリカ公演の裏側

リアルサウンド

15/10/31(土) 15:00

 Perfumeにとって初となるドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume –WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』が、本日10月31日より全国で公開されている。同作は、昨年リリースされたアルバム『LEVEL3』を提げて行われたアメリカ公演の模様に迫ったもので、これまでNHKの歌番組『MUSIC JAPAN』などでも彼女たちのライブを追ってきた佐渡岳利監督がメガホンを取っている。最新技術を用いて世界的にも高く評価されている彼女たちのライブはもちろん、その裏側の努力や、メンバーそれぞれのパーソナリティまで捉えた本作は、どのように制作されたのか。ライターのさやわか氏が、佐渡岳利監督に話を聞いた。

メンバーの個性に踏み込むドキュメンタリー

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――『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』は、Perfumeにとって3回目のワールドツアーを追ったドキュメンタリーです。なぜこのタイミングで映画が作られることに決まったのでしょうか?

佐渡 僕はもともとNHKの職員なので、Perfumeさんとは『MUSIC JAPAN』などで長いお付き合いがあるんです。テレビでは東京ドームでの初公演とか、ワールドツアー1stとか、カンヌの国際広告祭で賞をとったときとか、節目節目でドキュメントをやらせていただいていたんですね。今年はメジャーデビュー10周年で、しかも結成15周年という節目なので「何かやりますか」みたいな感じだったんですが、今まで映画ではやってないよねということで、企画がスタートしました。

――映画とテレビで、作り方に違いはあるのでしょうか?

佐渡 テレビは不特定多数の方がご覧になるので、Perfumeに興味のない方にも分かるように作らなきゃいけないですよね。でも映画だと、全く興味のない方は、多分観にいらっしゃらない。貴重な時間を使って映画館に足を運んでくださった方が満足できるようなものにするため、「皆さんPerfumeは知っている」という前提で、テレビで扱うより、もう少しメンバーの個性に踏み込んでコアな部分を出すことは心がけました。

――そこが「ファンの方ならここが見たいはずだ」というポイントだったわけですか?

佐渡 そうですね。そんな意識でいながら今回とった手法は、どちらかというと、ワールドツアーをかなり素直にドキュメントしたというか、あったことをほぼそのまま紹介している感じに近いんですよ。内容的にも、今までのドキュメントと大きく変わったことをやっているわけではないですね。車の中のオフショットみたいな映像とかも、もちろん前にテレビでもやらせてもらっていますので。だから、「コア」の意味は外面的な手法のことではなくて、今回のツアーでどういうことがあったかを、ちゃんとご覧いただこう。そこにこそメンバーのパーソナルがあるということですね。

――しかしたとえば街角に書かれた「LEVEL3」という文字がバッと出てきたりするのは、ファンの方が見て喜ぶサービス的なものですよね?

佐渡 あれは完全にファンサービスですね(笑)。分からない人は「なんでこんな意味の分からない看板が映されるのかな」と思うはずですけど、「おっ」って気付いてくれる人もいるでしょうし。『LEVEL3』は、Perfumeのアルバムとしては、海外で本格的にリリースした初めてのものなので、そういう意味もあってやってみました。

初めてのアメリカに挑むPerfume

――では、監督は今回のワールドツアーをどういう意味のあるものだと考えていらっしゃいましたか?

佐渡 今回大きかったのは、初めてアメリカでライブをするということだったと思います。もともとメンバーが海外で活動しようと思ったのは『カーズ2』が大きなきっかけだったので、彼女たちの頭の中に最初に浮かんだのはアメリカだったんです。三回目のワールドツアーで、初めてそのアメリカに行く。いきなりではなく、きちっと力を蓄えて、万全な体制で行くことになったわけです。アーティストとして本当に充実した上での「初アメリカ」というのは、大きかったと思います。そうでないと、飲み込まれてしまいますよね。

――過去の海外ツアーとの違いはありましたか?

佐渡 アジアやヨーロッパなら、行ったことがあって反応がなんとなく分かっているので、どこをブラッシュアップしていけば、お客さんが喜んでくれるかという肌感覚がメンバーにもあったと思うんです。でも、やっぱりアメリカではすごく緊張してましたね。お客さんがどういう反応をするのかとか、どういう空気感の会場か、手応えが分からないですから。現地の方も「大丈夫。問題ない」みたいに言うのですが、たぶん本人たちは、自分たちがそんなにイケてるとは思ってないんですよね(笑)。不安でいっぱいだったんじゃないでしょうか。彼女たちは、常にいい意味で謙虚なんですよね。

――ライブに同行するスタッフの雰囲気はどうでしたか? メンバーと同じように緊張感がありましたか?

佐渡 ライブのチームは、もうずっと長年一緒にやっている人たちなので、みんな自分たちの作業を淡々とやりながら、だけど内には燃える闘志があるみたいな感じでしたね。緊張云々ではなく、できる限り3人をサポートしたいという気持ちが強かったと思います。海外ツアーは、だいたい機材が遅れて到着するんですよ。最初からスケジュールが狂いますよね。そもそも言葉も通じないし(笑)。でも、うまくいかないことにも慣れていて、臨機応変に乗り切っていましたね。

――たしかにPerfumeのスタッフは長くやられている方が多いですよね。その団結感みたいなものをフィルムの中にうまく盛り込んでいこうという意図はあったのでしょうか?

佐渡 そうですね。もちろんメンバー3人が中心なんですけど、よく「チームPerfume」って呼ばれるように、スタッフ全体でPerfumeという気持ちがやっぱりすごく強いですから。そういうスタッフたちの気持ちも、表現したいなとは思いました。

現実と非現実を行き交うライブ映像

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――ドキュメンタリーのオフショットっぽい部分もありつつ、映画の冒頭はCGをバキバキに使いまくったカッコいいライブ映像になっていますよね。会場全体をカメラが縦横無尽に動き回って。

佐渡 あれは真鍋大度さんが手がけられた部分ですが、メンバーのダンスとか会場とかを3Dスキャンして、それがリアルタイムでトランジションしていくんですよ。現実と非現実が、継ぎ目なく行ったり来たりしてる感じで、もう、すごいとしか言いようがない(笑)。

――Perfumeはまさに、その現実と非現実が行ったり来たりする感じが面白いですね。ライブのシーンもただCGなどを多用するわけではなくて、わざとステージの裏側からとか、オフ気味に撮った映像もインサートされているように感じました。

佐渡 「SXSW」はYouTubeで生配信されていたので、ご覧になったファンも多いと思うんですよ。そして、実際のライブは、もちろん会場の客席で体験できますよね。だけど、舞台袖からみたいな別角度ていうのはなかなか見る機会がないですし、特に、照明があたる前、ステージで動き出す直前の、ぐっと気持ちの入り込んだ表情なんて貴重ですよね。たとえ背中から撮った映像だったとしても、メンバーの感情が入りこんでいるのがわかるから、そういうメンバーの息遣いが表現できるといいなあと思いました。

――いかにも無機質な感じを前面に出すのではなく、むしろ3人の感情であるとか、チームの熱意を表現する方がよいと思ったわけですね。

佐渡 そうですね。彼女たちのカッコいいクールな表現は、実はとても熱い情熱に裏打ちされているものであって、たゆまぬ努力であるとか、メンバーの想いとか、そういうものが内包されてこそ、あのグルーヴが出ていると思うんですよ。最先端のことだけをバンバンやってればいいやという考え方だと、あまり人に訴えかけるものにならないと思うんですよね。僕は長くお付き合いさせていただく中で、そんなふうに感じていましたので、その部分こそを表現したいなと思ったんです。

――のっちがミスをしたシーンもありますよね。有名アーティストのショーを映像化した作品では、ああいう映像は使わない場合も多いと思うんですが、それを見せるというのもPerfumeに血が通って感じられる部分ですね。

佐渡 そうですね。あまりにも面白いので編集のときに勢いでバーンって入れておいたんですが、試写でメンバーも大笑いして見ていましたからね。のっちは、複雑だったかもしれないですが、覚悟をしてくれましたね。肝が座ってますよ。ミスじたいも非常にワイルドだったし(笑)。ネタばれしちゃうので、この辺にしておきますが、ここは是非ご覧いただきたい(笑)。

にじみ出る15年の積み重ね

――Perfumeを長年ご覧になっていて、彼女たちのそういう部分は昔から変わらないと思いますか? それとも大きな変化を感じますか?

佐渡 人間的には全然変わらないですね。もう最初っから今まで、ずっと同じなので「なんか変わっちゃったなあ」なんてガッカリすることもないです。だけどアーティストとしての実力はいろんな局面で本当に上がってきていて、より客観的に、冷静に自分たちのショーを見られるようになってきていると思います。ライブの反省点とかも、微細なところまで気がつくんですよね。『MUSIC JAPAN』のMCをやっていたので毎週のように会っていましたから、彼女たちの実力が「あっ、また上がってるな」と思うことは多かったんです。だけど今回は特にそれを感じましたね。ライブ後のダメ出し会議なんて、僕も初めて撮らせてもらったんですが、すごく時間をかけてやっているんですよね。「マイクの位置についてだけでそんなに話すんですか……」みたいな(笑)。

――見ていると、かなり細かくセットリストも検討していましたね。

佐渡 そうですね。どれだけスムーズに、いい形で次の曲入れるか。だからセットリストやマイクの位置も重視するんですね。間を空けすぎてもいけないし、逆に空けなすぎてもいけない。そういう絶妙なお客さんの肌感覚みたいなものを、ものすごく考えているんです。もちろん、それ以外にも本当にいろいろなことを話すので、なんだかんだでずーっとやっていますね。

――演出・振付のMIKIKOさんが舞台進行を決めるというのではなく、ほとんどメンバーが、共同作業で作っているのように見えました。

佐渡 もう本当にそんな感じです。先生が「こうしなさい」と言うのでは全くないですね。4人で話し合いながら内容を詰めていく感じです。客席側でチェックしているMIKIKO先生と、舞台の側で、パフォーマンスをしているメンバーの意見を付き合わせて、お客さんのリアルな反応を、両方の目線から、濃密に分析していくんです。

――すごく高度なことをやっているのに、雰囲気はフランクというか、暖かい感じなのがすごいですよね。

佐渡 そうですよね(笑)。言ってみれば彼女たちは、もうセレブだと思うんですよ。だけど全然昔からの親しみやすい感じが変わらないですからね。そんな人間味溢れる愛すべき人たちが、一生懸命、心を込めてやってきたのがPerfumeなんだということを、映画から感じてもらえるといいなあと思います。

――監督にとってPerfumeの本質とは、まさにそこにあるのでしょうか。

佐渡 そうですね。Perfumeは、一朝一夕に出来たものじゃなくて、ちょっとずつ、ずっと成長を続けて、今ここにいるんですよね。結成15年でメジャーデビュー10周年ですけど、その間に積み上げて積み上げて、少しずつ少しずつ、実力を蓄えてきた。その年月みたいなものが、今回のツアーには表れていると思うんです。だから、映画では、今回のツアーの様子だけを描いているんですが、そこににじみ出る彼女たちの15年みたいものが、ふわっと届けられるといいなと思いますね。

(取材・文=さやわか)

■公開情報
『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』
10月31日(土)よりTOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー
出演/Perfume(a-chan、KASHIYUKA、NOCCHi)
監督/佐渡岳利
音楽/中田ヤスタカ(CAPSULE)
主題歌/Perfume「STAR TRAIN」(ユニバーサルミュージック)
配給・宣伝/日活
(C)2015“WE ARE Perfume”Film Partners.
公式HP:www.we-are-perfume.com

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