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BTSはアメリカのポップカルチャーの一部に ボーイバンド=男子アイドルグループの歴史から考察

リアルサウンド

19/4/18(木) 7:00

 4月13日(現地時間)、アメリカの長寿コメディバラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に音楽ゲストとしてBTS(防弾少年団)が出演し、4月12日にリリースしたニューアルバムのタイトル曲「Boy With Luv」を初披露した。韓国の音楽番組よりも先にアメリカのTV番組で楽曲を披露するのはこれで2回目だ。同番組の音楽ゲストとして、「MIC Drop」と合わせて2曲を披露した。

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 3月にはメジャーエンタメ誌『Entertainment Weekly』の表紙を飾るなど、アメリカにおいてBTSはすでに“人気のボーイバンド”として定着した感がある。今年開催予定のワールドスタジアムツアー『LOVE YOURSELF:SPEAK YOURSELF』ツアーでも10公演中3公演がアメリカ公演で、9万人収容可能なローズボウルスタジアムを含むチケットは全てソールドアウトしたとのことだ(10公演中4公演は日本公演で、ロンドン・パリ・ブラジルでも公演を行う)。また、Funkoやマテルといったアメリカの会社から本人達を模したセレブドールの発売も決定している。Funkoは2次元キャラクターなどポップカルチャージャンルのコレクターズ向けメーカーだが、バービーで有名なマテルは一般層向けの玩具メーカーだ。コレクターズ向けのバージョンではなく廉価版として発売されるとのことで、これも一般的に広く認知されている証拠だろう。また、2019年度の『BBMA(ビルボードミュージックアワード)』では「TOP GROUP/DUO」部門にノミネートされ、フィーチャリングに参加しているホールジーと共に「Boy With Luv」をパフォーマンスすることがアナウンスされている。

 このように、すでにアメリカのポップカルチャーの一部となっているBTSだが、特にそれを象徴したのが3月にリリースされたNew Kids On The Block(NKOTB)の新曲の歌詞に登場したことではないだろうか。NKOTBは1984年にデビューし全米で大ヒットを飛ばしたレジェンド級の“ボーイバンド”。30周年記念としてリリースしたのが「Boys In The Band(Boy Band Anthem)」だ。MVは年老いたNKOTBのメンバーが学校に招かれ、アメリカの“人気ボーイバンド”の歴史やMVあるあるを紹介してゆくというユニークな内容で、歌詞には歴代のアメリカでの人気グループや楽曲名が織り込まれており、ジャスティン・ティンバーレイクが所属していた*NSYNCや、Backstreet Boysと並んでBTSの名前が登場する。

 アメリカで人気のボーイバンド=男子アイドルグループーーアメリカにおける”アイドルグループ”の定義は曖昧で、主に若い女性に非常に人気のある、若い男性メンバーで構成されているグループを指すーーの歴史を紐解いてみると、その始まりの1つがイギリスのThe Beatlesであったように、実は過去の人気グループの多くが“アメリカ発祥のグループ”ではない。「Boys In The Band」の歌詞に登場するグループも、韓国のBTSを含め、プエルトリコのMENUDO(リッキー・マーティンが所属したグループ)、アイルランドのWestlife、Take That、One Direction(ともにイギリス)など、半数近くが海外のグループだ。アメリカが多人種国家であることも関係しているだろうが、The Jackson 5やB2Kなどメンバーが有色人種のアメリカ発グループも少なくない。つまり、アメリカの“音楽の歴史”ではなく“アイドル文化の歴史”において、“萌え”や“ときめき”というプリミティブな感情の前では、国籍や人種はそれほど大きな壁ではないのかもしれない。さらにインターネットの発達により、国境や言語の壁をも超えやすくなった現代において、BTSのような“母国語で歌っても世界的な人気を得ることができる”グループが登場したことは必然だろう。

 「Boys In The Band」の中にはBOYZ II MENやNew Editionのような、日本の基準では“アイドル”には分類されなさそうなグループの名前も登場する。つまり、ボーイバンド=男性アイドルグループは音楽的な技巧の面では他のアーティスト達と並列に見られる位置づけであるということでもある。この点では、事情は異なるが若い男性アーティストの多くが“アイドル”という括りで活動する韓国と似ている部分があるのかもしれない。

 BTSがアメリカで大衆的に認知されるきっかけとなった『BBMA』のソーシャルアワードに、今年度はEXOとGOT7もノミネートされており、女子ではBLACKPINKがK-POPグループとしては初めて『コーチェラ・フェスティバル』のステージに立った。BTSが新しい“アイドル体験”をもたらしたことで、K-POP自体がポップカルチャーの一部としてアメリカの市場から認識されやすくなったと言えるだろう。(DJ泡沫)

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