Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

新人育成枠WAgg、メジャー目指すCARRY LOOSE……各グループが果たしてきた役割とは? WACK所属グループの特性を分析

リアルサウンド

20/8/15(土) 10:00

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、エンタメ業界全体が苦境に立たされるなか、困難に抗い、輝きを放ち続けているのが、BiSH、EMPiRE、BiSらが所属している音楽プロダクション・WACKだ。

 個性溢れる各グループがお互いに刺激し合い、高め合っていくことでWACK全体が盛り上がり、今や「WACK」という名のひとつのシーンが生まれつつある。

 そんなWACKが堅調を維持するうえで重要な役割を果たしているのがWAggの存在だ。

 WAggとは、即戦力となるWACKの次世代アイドル育成を目指して活動するために、2018年に立ち上げられたプロジェクト。WACKの卵(Egg)=WAggというわけだ。メンバー発表直後からツアーを敢行、さらにEMPiRE、BiSとのツーマンなどを経験してきたWAggは、先輩グループと同様にライブハウスで叩き上げられ、各自がグループ昇格を目指していった。

 実際に、ナルハワールドはGANG PARADEに昇格(現在はPARADISESに所属)、ウルウ・ルはCARRY LOOSE、ハナエモンスターは豆柴の大群、キラ・メイはPARADISESへと昇格を遂げ、WAgg出身メンバーは、WACKの即戦力として大いに活躍している。

 つまり、WAggでの活動を通してWACKイズムを培ってきたメンバーが、昇格によってグループに新たな風を吹かせたり、新グループ結成時には即戦力として活躍したりすることで新陳代謝を高めているからこそ、WACKには常に活気があるのではないだろうか。

 未来のWACKを牽引する可能性を秘めた現在のWAggは、ア・アンズピア、愛(ラブ)、ウタウウタ、サアヤイト、ナアユ、アイナスター、ユウドット・comの7人体制だ。基本的に彼女たちがライブで披露しているのはWACK所属グループの持ち曲。BiSHのように現役バリバリのグループの曲はもちろん、普段はなかなかライブで観ることができないWACK内のシャッフルユニット SAiNT SEXの持ち曲をはじめとしたレア曲から、分裂したGANG PARADE、第1期および第2期BiSといった、今はライブで聴くことができないグループの曲も披露される。これらの曲については、「オリジナルのグループが歌うことに意味がある」という意見もあるかもしれないが、築き上げてきた歴史や想いの詰まった曲たちが、いつまでも歌い継がれていくことにも必ず意味はあるはずだ。

 そして今年6月、そんなWAggにも待望のオリジナル曲「WAggの素晴らしき世界」が生まれた。「研究生」という側面にピッタリの、フレッシュでキャッチーなこの曲を契機に、これからWAgg自体がどこまで大きくなっていくのか、誰がどのグループに昇格していくのか。彼女たちにどんなドラマが待ち受けているのかに要注目。これはWAggに限った話ではないけれど、WAggとはメンバーの成長と成功までのドラマを追い続ける浪漫譚なのだ。

WAgg / WAggの素晴らしき世界[OFFiCiAL ViDEO]

 さて、今回はWACKの所属グループとしてもうひとつ、キャリルーことCARRY LOOSEを紹介したい。

 2019年6月にカレールーず(仮)として結成が発表され、同年9月にCARRY LOOSEとして始動したこのグループは、メンバー全員がステージ経験者で構成された4人組だ。松隈ケンタ率いるSCRAMBLES内のクリエイターユニット T.S.Iがサウンドプロデュースを担当。その音楽は、エモーショナルなバンドサウンドを軸としており、メンバーは感情をむき出しにして歌詞を届けていくことに重きを置いているという。時に寄り添い、時に背中を押してくれるその優しさで、聴き手に感動を与えたり、心をほぐしてくれたりする、エモくてカッコいいパフォーマンスが、CARRY LOOSEの大きな魅力だ。

CARRY LOOSE「CARRY LOOSE」Music Video

 メンバーそれぞれの経歴と注目ポイントについても触れていこう。

 パン・ルナリーフィは、解散した第2期BiSの元メンバー。“人生そのもの”として捉えている節すらあったBiSが解散し、悩みながらもWACKに残ることを決意した彼女の武器は、そのまっすぐな性格でひたすらに磨き上げてきた歌唱の感情表現。聴き手の心を突き刺すような彼女の歌声は、グループにとって重要な“エモさ”を担っている存在と言えるだろう。

 YUiNA EMPiREは、EMPiREと第2期BiS、ふたつのグループの変遷を経ており、WACKのグループとしてはCARRY LOOSEが3度目の挑戦となる。苦労人とも捉えられる経歴を持つ彼女だが、何度心が折れそうになっても前を向き続ける気高い精神、加えて、女性的でかわいらしい声質に、キレと安定感のある歌唱と、様々な面でファンを魅了している。

 先述のWAggから昇格したウルウ・ルは、一度聴いたら忘れられないウェットな歌声が魅力。作詞センスも素晴らしく、歌詞から浮かぶ情景、単語のセンス、視点の鋭さには感嘆するばかりだ。普段はクールだけれど、活動に対する姿勢はとにかくストイックで、内には熱い想いを秘めている。ライブ中に見せることの多くなった笑顔も人の心を惹きつけてやまない。

 天真爛漫で太陽のようなキャラクターのユメカ・ナウカナ?は、とにかく元気。もともと彼女は、カバー曲を中心にパフォーマンスするアイドルグループに所属していた。当時培っていたアイドルらしい歌い方と、WACKに入ってから磨いた力強い歌い方のハイブリッドは唯一無二。「たんたかたんたんたん」に代表される、独特すぎる歌詞の世界観も異彩を放っている。そして、とにかく元気。

 このように、異なるバックグラウンド、ストーリーを持つ4人の個性で届けられるエモーショナルな歌唱と歌詞、そしてT.S.Iの「T:トラック、S:凄く:I:いい」なサウンドが、CARRY LOOSEをCARRY LOOSEたらしめているのだ。

 先日、結成タイミングで言えば後輩グループにあたる豆柴の大群のメジャーデビューが発表され、WACK所属グループでメジャーデビューをしていないのは、新人育成枠のWAggを除いてCARRY LOOSEだけになった。そんな彼女たちは、この記事の執筆時点で『CARRY LOOSEのCARRY OF MAJOR 24時間まるみえです。メジャーデビューするまで帰れません!!!』と題した、メジャーデビューを目指す生配信を放送し続けている。実力は申し分なし、メジャーに向けて燃えている彼女たちの動向に熱視線を向けてもらいたい。

 CARRY LOOSEとWAgg、この2組がWACKシーンをさらに熱くしていく。

■宮﨑大樹
音楽メディア「激ロック」、「Skream!」のライター、インタビュアー、編集者。
バンド、シンガーソングライター、アイドルなどの記事を執筆。オフィシャルライターも務める。
Twitter(@daiki_miyazaki)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む