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ミスチル 桜井和寿、ナオト・インティライミや寺岡呼人らコラボ作品に見るボーカリストとしての信念

リアルサウンド

18/12/15(土) 13:00

 Mr.Childrenの桜井和寿が、12月12日に発売されたナオト・インティライミのアルバム『「7」』収録曲に「Amor y sol with 桜井和寿」として参加している。

参考:Mr.Childrenの魅力をミスチル芸人と長谷部誠が熱弁「人生に彩りやスパイスを与えてくれる存在」

 昨年、25周年ツアーを終えたミスチル。26年目となる今年発売したアルバム『重力と呼吸』は、バンドサウンドを重視しながら、“叫び”にも似た桜井のボーカルが響く、新たなミスチルの形を提示した作品だった。一方で桜井は、ap bankの可能性を広げるために小林武史とともに結成されたBank Band、GAKU-MCとのユニット・ウカスカジーとしても活動しており、またボーカリスト・桜井和寿としても、多くのアーティストの楽曲に参加している。ナオトへの楽曲参加を機に、これまで桜井がボーカリストとして参加した作品を振り返っていきたい。

■スガ シカオ「ファスナー<with 桜井和寿(Mr.Children)>」

 互いにリスペクトし、友としてライバルとして、切磋琢磨し続ける間柄の桜井とスガ。ミスチルの「光の射す方へ」「未来」はスガのソリッドな詞の世界観に感化され、桜井が作詞した楽曲だという。そして、2002年リリースのアルバム『IT’S A WONDERFUL WORLD』に収録された「ファスナー」は、桜井流のエロティシズムとサディズムによって“スガ節”が注ぎ込まれた1曲。2010年に公開されたミスチルのドキュメンタリー映画『Split the Difference』では、スガをゲストボーカルに迎え「ファスナー」を披露している。その翌年、今度はスガが桜井をゲストボーカルに迎え「ファスナー」をアルバム『Sugarless II』に収録。同年開催の『ap bank fes』でも2人の共演が実現している。さらに「ファスナー」のエピソードはこれだけでは終わらない。昨年開催された『スガフェス!』でも、ミスチルのアクトにスガが飛び入りする形で「ファスナー」をパフォーマンスした。まるでスガの持ち曲のように熟成しきったその日の演奏は、シングル『himawari』のシークレットトラックとして収められた。「ファスナー」には、桜井とスガの惜しみない経緯と愛が込められている。

■寺岡呼人「バトン feat.桜井和寿」

 JUN SKY WALKER(S)とMr.Childrenの関係には長い歴史がある。ミスチルがデビュー前から披露していた「星になれたら」(作詞:桜井和寿/作曲:桜井和寿・寺岡呼人)と、シングル『Sign』収録の「妄想満月」(作詞:桜井和寿/作曲:寺岡呼人)は桜井、寺岡による共作だ。寺岡主催のイベント『Golden Circle』には、幾度となく桜井がゲストとして出演しており、2016年に開催された20回記念には「~僕と桜井和寿のメロディー~」との副題が付けられていた。家からアマチュア時代の写真を持参しスクリーンに映す寺岡と、それを見て満面の笑みを浮かべる桜井。「星になれたら」で2人がステージを駆け回る光景はイベントの風物詩になっている。

 桜井が作詞を担当した寺岡の楽曲「これが僕の愉快なヒューマンライフ」「競争る為にだけ生まれた訳じゃねぇ」、松任谷由実とゆずを交えての「ミュージック」など、多くの共作がある中で、寺岡のソロ20周年の節目にアルバム名にも冠されたのが「バトン」だ。桜井、寺岡によって書かれた歌詞は、次の世代へバトンを繋ぐというメッセージが込められたもの。2016年リリースのアルバム『COLOR』には、ボーナストラックとして「バトン feat.桜井和寿」を収録。その『COLOR』に収録されていた「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー」が、今年発売の寺岡のアルバム『LOVE=UNLIMITED』にボーナストラック「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー feat.桜井和寿」として収められており、アルバムを繋ぐ桜井との“バトン”が続いている。

■Quattro Formaggi「Stand By Me」(TRICERATOPS+桜井和寿)

 TRICERATOPSが2014年12月にリリースしたアルバム『SONGS FOR THE STARLIGHT』の特典CDに収録されているのが、TRICERATOPSと桜井の共作・Quattro Formaggi名義での「STAND BY ME」だ。

 トライセラは『ap bank fes ’12 Fund for Japan』に出演。2014年4月にトライセラがSHIBUYA-AXで開催したイベント『DINOSAUR ROCK’N ROLL 6』のシークレットゲストとして桜井が出演し、その日はトライセラ「FLY AWAY」、ミスチル「Dance Dance Dance」、AKB48「ヘビーローテーション」のカバーなどを披露した。その中の1曲としてすでにあったのがQuattro Formaggiとしての共作「STAND BY ME」。CDの盤面に表されているように、バンド名が意味するのは“4種のチーズピザ”で、それぞれ4人にミドルネームが付いた遊び心溢れる作品に。お互いにボイスメモを送り合ってレコーディングに入っていたという。

 爽やかなバンドサウンドでありながら、楽曲の真ん中に熱量を感じさせ、桜井と和田唱のボーカルの相性は抜群だ。2015年に開催された『MIFA Football Park 1st Anniversary Party』では、桜井のソロステージに和田がサプライズで登場し「STAND BY ME」を披露したこともあった。酒の席での桜井の誘いから始まったQuattro Formaggi。活動は不定期で、分かっているのは彼らの演奏はいつも急に始まるということだけだ。お互いにボイスメモを送り合ってレコーディングに入っていたという。

■ナオト・インティライミ「Amor y sol with桜井和寿」

 ナオトは『ap bank fes ’08』や、ミスチルのツアー『Mr.Children Tour 2009 ~終末のコンフィデンスソングス~』『Mr.Children DOME TOUR 2009 SUPERMARKET FANTASY』でバックコーラスに抜擢され、2010年に3度目のメジャーデビューを果たす。2015年、ナオトは『輝きYELL!』(日本テレビ)に出演した際、「ここまで器用なのはお前だけだよ」という桜井の言葉で前向きになれたと語っていた。その後も2人で食事に行くなど交流は続き、ナオトが今年4月に開催した全国47都道府県 弾き語りツアーの石川公演には、桜井がサプライズ登場。そこですでに「Amor y sol」は披露されていた。ナオトと桜井による共作曲は、ラテン調のサウンドに人生の苦悩と葛藤が綴られており、タイトルはスペイン語で“愛と太陽”を意味している。

 2人が向き合い歌で呼応するMVも印象的だが、ここで注目したいのは楽曲が完成するまでの経緯だ。『輝きYELL!』出演時にナオトは、自信作だったというアルバムに対して桜井から「今回のアルバム、いまいちだったなぁ」と率直な感想をもらったと話していた。桜井にとってナオトは事務所の後輩。「よかったよ」の一言で済ませることもできるが、あえて厳しい言葉を選んだのは、ナオトへの愛情あっての行動だろう。時を経て実現した今回の2人のコラボから見えてくるのは、桜井のナオトに対するリスペクト。「1年経っても鮮度がある作品だと思う」という桜井の公式コメントは、ナオトに対するこれまでの姿勢があったからこそ深みの出る言葉。「もう感慨深いを超えてます」というコメントに、笑みを浮かべるナオトが想像できた。

 バンド名義のため今回は対象外としたが、1995年には桑田佳祐 & Mr.Childrenとしてシングル『奇跡の地球(ほし)』をリリースしたこともあった。1994年にシングル『innocent world』『Tomorrow never knows』『everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-』、ミスチル至上最も売れたアルバム『Atomic Heart』をリリースし、社会的な“ミスチル現象”を巻き起こしていた最中の桑田とのコラボ。172万枚の大ヒットを飛ばした、現在も語り継がれる名曲だ。2006年には『ap bank fes’06』、アミューズ主催の『THE 夢人島 Fes.』で再び披露されている。

 桜井のコラボ作品に共通してあるのは、互いに敬意を表した作品への姿勢と、そこから生まれる深い親和性だ。ナオトとのコラボはこれまでの作品と比べてもキャリアの若い相手であり、次の世代にバトンを繋ぐ意味合いも感じられる。『重力と呼吸』のリリース時には、後輩ミュージシャンに向け「音楽をやめたくなるような」アルバムを完成させたとコメントしていた桜井。シーンの第一線を走り続けるミスチルのボーカリストが、次はどのアーティストとコラボするのか。26年目、桜井はまた新たなフェーズに突入している。

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