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山崎育三郎、“テーマパーク”のような『I LAND』ツアー 昆夏美も登場した東京公演を振り返る

リアルサウンド

19/2/11(月) 20:00

 山崎育三郎が、1月12日よりスタートし、1万2000人を動員したライブツアー『山崎育三郎 LIVE TOUR 2019 ~I LAND~』を完走した。山崎のライブは、自身が作詞作曲も行なったオリジナルソングあり、出演ドラマにちなんだカバーソングあり、共演してきた歌姫たち(渡辺麻友、笹本玲奈、昆夏美、知念里奈、島田歌穂)とのミュージカルコーナーあり、さらには落語に、楽しいMCトーク……と、山崎の才能がギュッと詰まった、まさに「I(育三郎) LAND」と呼ぶにふさわしいステージ。

(関連:山崎育三郎が目指す“エンターテイナー像”と歌手活動への思い「どんな場所でも人を楽しませたい」

 以前、リアルサウンドのインタビューで、山崎はアルバムリード曲「I LAND」についてこう語ってくれた。「僕が〈ホーカスポーカス!〉と唱えれば、目の前の空間が夢の世界に変わっていく」ーーその言葉どおり「I LAND」から始まったライブは、私たちを夢の世界へと誘ってくれるものだった。訪れた全ての人が笑顔になり、何度でも足を運びたくなる、そんなテーマパークのようなライブを振り返る。(取材日:東京公演/1月26日@昭和女子大学人見記念講堂)

■歌手・山崎育三郎の新たなスタート
 開演時間になると、生バンドの迫力あるサウンドが鳴り響き、幕が赤、緑、青の順にライトアップ。山崎のシルエットが映し出され、指スナップと共にウィスパーボイスの〈ホーカスポーカス!〉が聞こえてくる。まるでピーターパンがネバーランドに連れていくように、山崎が「I LAND」の世界へと観客を誘っていく。

 観客が振る白いペンライトの光は星空を反射する夜の海原のように上品に輝き、山崎の歌声は流れ星のように伸びやかで清々しい。軸のぶれない華麗なターンをキメる姿は、華麗なミュージカルプリンスそのものだ。〈今この瞬間生きて行こう〉と力強く歌うロックサウンド「Get yourself」から、手を胸に当てながら丁寧に歌う「あいのデータ」と、序盤から豊かな表現力に圧倒される。

 また、王子の品格を持ちながら、バンドメンバーに目配せをしたり、2階席にも手を振ったりと、親しみを抱く一つひとつの所作に、山崎がなぜ愛されるのかが伝わってくる。客席から止むことのない「いっくーん!」の声に「はいよ♡ 聞こえてますよ(笑)」、そんなファンとの会話を楽しみながら、次に歌う「Turning point」について解説する山崎。

 この曲は、山崎がアメリカ留学時代に、引っ込み思案だった自分を変えようと奮起したダンスパーティーのエピソードがベースになっているという。踊ったことのないヒップホップにも関わらず、500人ほどが賑わうダンスフロアに1人飛び出し、美しいターンを披露した山崎少年を再現してみせる。こうして思い出を共有することで、この曲がより一層愛おしく感じられ、山崎自身のこともさらに応援したい気持ちが高まる。

 〈あの時の勇気が/あの一歩が僕を変えてくれた〉人生には、自分を大きく成長させる機会がある。2018年は、山崎にとって間違いなく大きな“Turning point”となる年だった。ミュージカルにドラマ、そしてオリジナルアルバム『I LAND』のリリースと、多忙を極める日々。MCでは、『第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で助演男優賞にも輝いた『昭和元禄落語心中』の助六役で身につけた落語を披露する一幕も。それぞれのジャンルで身につけたものが、このステージに集約されていく。それが歌手・山崎育三郎ならではの進化の仕方だ。

■圧巻のミュージカルコーナーも
 NHK大河ドラマ『西郷どん』で共演した鈴木亮平が観覧に来ていることを明かすと「亮平くんのことを想って」と、「西郷どん紀行~道しるべ~(大河ドラマ『西郷どん』)」を披露していく心にくい演出も。人が歌うには難しすぎるオーケストラ仕様の楽曲を、山崎は見事に歌い上げる。その姿は、さすがの一言。

 ミュージカルスター、歌手、俳優……と何足ものわらじを履き分ける多忙な日々を過ごしてきた山崎は「本当頑張ったの! 褒めてもらいたいの! “ワー(観客の歓声)“がないと頑張れない!」と、おねだりする可愛らしい一面も見せ、ファンの心を掴んでいく。観客も精いっぱいの愛情で応えると、山崎はさらに饒舌に。

 ニューヨークでのレッスンの様子、英語と日本語では同じ音の数でも伝えられる情報量が異なること、などミュージカル講座が止まらない。ヒートアップしていくトークに「長くない(笑)?」とツッコミを入れながら登壇したのは、山崎を「お兄ちゃんのような存在」と慕う昆夏美だ。

 昆が右も左も分からないときから、山崎はずっと味方になって成長を見守ってきた。そんな兄妹のような絆を持つ昆がミュージカル・映画『レ・ミゼラブル』の「オン・マイ・オウン」を、命を削るように独唱して、山崎のステージを盛り上げる。そして、再登場した山崎と共に「恵みの雨」、「ミス・サイゴンメドレー」を披露。さらに、この2人といえばディズニー実写映画『美女と野獣』の吹替版コンビということで、会場にベルと野獣の感動の歌声が蘇った。

■客席登場&熱唱で会場がひとつに
 ゴージャスなミュージカルコーナーの次に待っていたのは、作詞・作曲をした「ヒカリ」。ジャケットを脱ぐと椅子に腰掛け、ピアノ演奏。そして、初めて作詞を手がけた「Keep in touch」。ファンはもちろんスタッフや友人など支えてくれたすべての人たちへの感謝を歌う。続く「宿命」ではステージ上で彷徨い歩きながら歌の世界観を再現し、多才ぶりを発揮する。

 そしてバンドメンバー紹介の後「Congratulations」では、まさかの客席からサプライズ登場。ハイタッチしながら練り歩き、ファンを喜ばせる。ファンとの一体感を大切に、「みんなで空間を創っていきたい」と語っていた山崎の、まさに有言実行な演出だ。1人ひとりに目線を配りながら、伸びやかに歌う〈バージンロード〉は壮観だった。間近で豊かな声量を惜しげもなく披露する姿に、観客も大興奮だ。

 「みなさん、盛り上がってますか? 気づいたら、残り3曲になりました。こっから盛り上がっていきたいと思いますが、いけますか?」と、ラストスパートをかけるべく「イエーイ」「いっくん」のコールアンドレスポンスを繰り広げる山崎。続く「TOKYO」「生きてく強さ」では、飛んだり跳ねたり、のけぞってシャウトしたりと、アツいパフォーマンスで魅了する。「ラスト1曲いけるかー?」と、最後はタオルを振りながら「Wonderland」でステージを駆け回って、客席を楽しませる姿が印象的だった。

 アンコールを願う「いっくん」コールが巻き起こり、繊細なピアノの音色が会場に響く。再びステージに立った山崎は、先程のやんちゃな雰囲気とは打って変わり、「ひそかな夢 EVERMORE」ではベルを想って歌う野獣となった王子だった。威風堂々とした姿で感動を呼んだかと思えば、歌い終わるやいないや「過去最高に長い公演になりました、いやー楽しかった」と満足そうにはにかんで、客席の笑いを誘う。

 ラストソング「smile」の歌詞にある〈君らしく微笑んだらいつの間にか皆も笑ってくれる〉とは、山崎そのものに思えてくる。ミュージカルプリンスらしい立ち振舞いでドキッとさせる“かっこいいっくん”、好きなことに夢中になって話が止まらない“かわいいっくん”、コンサートグッズを紹介するバンドメンバーとワチャワチャな絡みを見せる“面白いっくん”……と、さまざまな“いっくん”を楽しめるのが、コンサートで会う歌手・山崎育三郎の魅力だ。“また、この楽しい空間に遊びに来たい”と、ここにいた誰もがそう思ったに違いない。再び、この夢の国・I LANDに誘われる日を楽しみに、2019年の山崎の活躍を見届けたい。(佐藤結衣)

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