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【re:START】キーパーソンInterview

春風亭一之輔(落語家)【前編】

特別連載

2-1

20/5/30(土)

(※この取材は、5/25にオンラインで行いました)

第2回は、落語家の春風亭一之輔が登場。もっともチケットが手に入らない、当代きっての人気落語家は、緊急事態宣言に基づく自粛により高座が中止もしくは延期となって以降、いち早く行動を起こしました。YouTubeチャンネルにて、4月21日から鈴本演芸場でトリとして上がる予定だった時刻に合わせて10夜連続生配信を敢行、5月21日から浅草演芸ホールでトリとして上がる予定だった時刻に合わせて10夜連続生配信を続行中、と積極的にオンライン高座を主宰。コロナウイルス拡大防止のための自粛状況を前に、実演舞台芸術の中で、最も果敢に配信という次善策へ打って出た落語家たちの中でも、わずかな期間のうちに、YouTubeチャンネルの累計視聴数100万超えを達成した春風亭一之輔。今日からは落語界の配信ラッシュの先頭ランナーがオンライン配信について語る、3回連続のインタビューをお届けします。

まずは、6月4日に開催されるオンライン落語会「よみらくご」の話から始めます。

── 今回の「よみらくご」で口演するネタは「鈴ヶ森」。ライブで何回か聴いています。最高の完成度です。

一之輔 はい、ありがとうございます(笑)。狙いは特にないんですが、この会全体のテーマが「わるいヤツら」ということと、出番が前の方ですし、じゃあ軽い噺をということで。悪者といってもドジな泥棒の噺。落語には、基本的に悪い人は出てこないですから。後半が「居残り佐平次」(古今亭文菊)、「黄金餅」(春風亭一朝)と強い噺ですので、前半はもう軽く。

── この会はオンライン配信の落語会ですが、普通の落語会に使うホールで、楽屋に演者のみなさんが集合して、それぞれ高座には上がるけど、いざ出てみるとお客さんがいなくてカメラのみ。そのパターンの落語会の経験はありますか。

一之輔 オンライン配信ではなく、TV用の収録として、3月の末、通常のホールで無観客というのをやったことがあります。

── そういうとき、楽屋で、集まった演者のみなさんでどんな話をしましたか。今から舞台に上がるのに、お客さんがいない状況で。

一之輔 楽屋での会話は普通ですけど、「どうやってやるのかなあ」なんていう相談はしていました。ネタ選びは考えましたよ。笑いの多い噺って、目の前のお客さんに演者も乗せられたりして、客席との間合いを測りながらやるところが大きいですから、そういう噺ではなく、人情噺の方がやりやすいのかなとか、いろいろと。

── 一之輔さんは、コロナウイルスの感染拡大防止の自粛がはじまってから、オンラインでの落語配信へ積極的に挑戦しました。手ごたえはどうでしたか。

一之輔 YouTubeで無料配信をしています。こういう状況では、お金を稼ぐことよりも、今まで落語を聴いたことがない人にも聴いてもらいたい、気軽に、ああ、落語っておもしろいんだって、この機会に知ってもらいたいと思ったからです。

── 十夜連続配信の第1回配信分は、21万再生!! 今までの配信の累計視聴は100万を超えました。すごいのひと言です。

一之輔 まあ、21万はアーカイブで観ている人が多いですけど、今、普通に、毎日生でだいだい1万人くらいが同時視聴しているということは、結構すごいことだな、と。生で配信するというのは、自分のためでもある。配信を始めるとき、自粛で中止にならなければ、鈴本演芸場のトリで、自分が上がるはずだった時間に、あえてスタート時間を設定しました。神保町の、らくごカフェという会場を借りて、そこで配信しているんですけど、毎日神保町に通って、移動時間に、今日は何やろうかなと考えたりして、落語家としてのモチベーションを持続する手立てとしてやっている。生配信している映像の隣に、チャットのコメントが、まあ、観ている人たちの意見とか雑談ですね、それが流れていて、後で読んだりすると、まあおおむね好評ですね。

── 一之輔さんの師匠の一朝さん(今回の「よみらくご」にも出演)から、オンライン配信について何かご意見がありましたか。

一之輔 コロナからこっち、師匠に会ってない(笑)。電話でちょっとしゃべるくらい。ただ、一朝師匠はぼくの配信、観てないと思います。

── 一朝師匠のような落語界の大ベテランの方たちにも配信が広がると、状況的にはさらに厚くなりますね。

一之輔 一朝師匠は自分からやるとは絶対言わないと思います。こういうときはしょうがねえよ、っていう生き方だと思うので。ただ、このまま配信が主流になっていったら、普通に一朝師匠とぼくの親子会とか、一門会とか、ライブではすでにあるような企画を、配信でもやっていけると思います。さらに言うと、今後は、落語協会で配信を仕切ったりするような、配信の大きな軸のような場所を作って、みんながバラバラにやるのではなく、みんなに、ある程度お金が行きわたるようなシステムが持てるといい。単発で個々にやっても、お客さんが困る。すでに、どの配信を選べばいいのかわからないという状況で、同じ時間帯に別々の配信があったりして、飽和状態とも言える。若手が何人か集まる配信とか、寄席形式の配信とか、落語協会などが仕切って行うことで、微々たる額とは言え、いくらかはみんなに行きわたるという、軸になる配信の枠組みが2本くらい走るといいですね。

── オンラインの落語会なら、東西の交流とか、協会が違う方たちの交流も、当然実施は可能ですね。

一之輔 双方に場所とスタッフがあれば、距離的に離れていてもできるわけですからね。東京の若手と大阪の大御所の人が出るとかね。移動のお金も宿泊のお金もかからない。

TEXT:ぴあ編集部

プロフィール

春風亭一之輔
1978 年、千葉県野田市生まれ。大学卒業後の2001年、春風亭一朝に入門。2004年11月、二ツ目昇進、「一之輔」と改名。2012年3月、21人抜きで真打昇進。200を超える持ちネタがあり、滑稽噺から人情噺まで広く古典落語を演じるとともに、現代的なセンスの効いた独創的な高座で知られる。当代きっての人気を誇り、年間900席もの高座をこなすなど、寄席、ホール落語問わず精力的に活動。

よみらくご第18回公演「わるいヤツら」PIA LIVE STREAMにて配信!

配信日:6月4日(木) 18:30
出演:瀧川鯉八、春風亭一之輔、古今亭文菊、林家正楽、春風亭一朝
視聴券料:2000円

チケット情報

https://w.pia.jp/t/yomirakugo-pls/

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