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『ターミネーター』新作、上々のスタートを切るも、日本以外では大苦戦

リアルサウンド

19/11/14(木) 22:30

 先週末の映画動員ランキングは、『ターミネーター:ニュー・フェイト』が、土日2日間で動員32万8000人、興収4億6900万円をあげて初登場1位となった。初日から3日間の累計では動員45万人、興収6億4000万円。1984年の第1作と1991年の第2作の監督であるジェームズ・キャメロンが製作・原案として参加。アーノルド・シュワルツェネッガー(なんだかんだで過去5作品のうち2009年の『ターミネーター4』以外の4本には出演している)、リンダ・ハミルトン(1991年の『ターミネーター2』以来28年ぶり)と合わせて久々にシリーズの3枚看板が揃ったものの、2015年に公開されて最終興収27.4億円を記録した5作目『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年)とのオープニング成績の興収比では91%となっている。

参考:『ターミネーター』最新作、シリーズ定番アクションとREV-9の強さはどう生かされた? 4DX体験レポート

 もっとも、日本でのこの結果はまだ上々といったところだろう。11月1日にアメリカで公開された『ターミネーター:ニュー・フェイト』のオープニング成績は約2900万ドル(約31億円)で、初登場1位にはなったものの予測を大きく下回った。ちなみに興行不振によって予定されていたシリーズ化がキャンセルとなった5作目の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は約2700万ドル(約29億円)だったので、それをギリギリ上回ってはいるものの、同作は中国では善戦したものの今作はその頼みの中国で大失速。オープニング成績は約2800万ドル(約30億円)で初登場2位にとどまった。製作費が1億8500万ドル(約200億円)、それに加えてワールドワイドのマーケティングと配給料が8000万ドル(約87億円)を超えるとされている『ターミネーター:ニュー・フェイト』。Varietyによると、同作はパラマウント・スタジオ、スカイダンス、ディズニーに1億ドル(約110億円)以上の損失を出す可能性が浮上しているとのこと。

 「1991年の『ターミネーター2』の正式な続編」という触れ込みの今作。にもかかわらず、往年のシリーズのファンにとっては、いきなり冒頭からショッキングな出来事が起こるので面食らってしまったが、何度倒しても暖簾に腕押し状態の新型ターミネーターREV-9のアクションシーンには新味はある。気になったのは、事実上の主人公となる女性戦士グレースのキャラクター、メキシコとアメリカの国境越えといった設定に、現在のジェンダー問題やアメリカ国内の政治問題が過度に反映されすぎているように思えたこと。アメリカはともかく、今やアクション大作映画においてはアメリカ以上のマーケットを持つ中国をはじめとする海外の観客が求めている『ターミネーター』は、このような作品ではなかったということだろう。

 なお、本作より日本での20世紀フォックス作品の配給が、昨年本国で20世紀フォックスの買収を完了したディズニーに正式に変更されている。つまり、今や『ターミネーター』シリーズはディズニー配給作品というわけだ。なんだか不思議な感じだが、今回の『ターミネーター:ニュー・フェイト』の成績では、ディズニーが続編の製作にゴーサインを出す可能性は限りなくゼロに近いだろう。(宇野維正)

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