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エッシャー 視覚の魔術師

19/12/10(火)

(C)All M.C. Escher works (C) the M.C. Escher Company B.V.- Baarn - the Netherlands

エッシャーはバッハを好んでいた。これが最大の発見であり、なるほどと思った。 バッハの音楽、とくに鍵盤楽器作品は数学的だとよく言われるが、エッシャーの絵も数学だったことを、この映画で知った。 基本的には、エッシャーの生涯を自伝的な日記、書簡、家族へのインタビューなどで構成する「伝記」。最初は建築の勉強をしていたとか、ムッソリーニ、ヒトラーの時代での苦難とか、20世紀初頭に生まれた人ならではの「歴史に翻弄された人生」も描かれる。これはこれで興味深い。 だが、エッシャーの絵をCG技術を使って、立体化したり動かしたり、色をつけることで、解説していく部分が、まさに映画にしかできないエッシャー論となっている。 「だまし絵」の代表として知られている、上にのぼっていく階段が、たどっていくと下へ向かう絵は、「だまそう」「驚かせよう」という目的で描かれたのではなかった。終わらない時、終わらない空間を描こうとしていたのだ。 ここにバッハの音楽と共通する、反覆することでの永遠性があった。 「だまし絵」画家という認識を改めさせ、20世紀美術史の修正を迫る映画だ。

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