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「川原八郎にならせてください!」 『スカーレット』松下洸平の真摯な思いが北村一輝に届く

リアルサウンド

19/12/13(金) 12:00

 常治(北村一輝)がマツ(富田靖子)との馴れ初めを明かし、定職について安定した暮らしをして欲しいと伝えた前回。『スカーレット』第66話では、ついに喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)の結婚が認められた。

参考:『スカーレット』第66話では、喜美子(戸田恵梨香)が八郎(松下洸平)を支えながら、陶芸練習に勤しむ

 これまで真面目に八郎に取り合って来なかった常治の本音に、八郎は姿勢を正す。「分かりました。きちんと定職に就いて 合間の時間で陶芸をやらせていただきます」と宣言する八郎だが、それに納得できないのは喜美子の方だった。

「もの作りはそんな甘いもんちゃうわ! そんな片手間でできるんやったらみんな陶芸家になってるわ! お父ちゃんが仕事帰りに酒飲むのとは違うんや! 一緒にすなや!」

 深野(イッセー尾形)の元で3年間絵付けを学び、ようやく絵付け師として認められた喜美子だ。もの作りに対する情熱を軽んじるような常治の発言に我慢ならなかったのだろう。そんな喜美子を、八郎は優しくなだめるようにハンカチを渡す。喜美子が熱くなっているときは八郎が冷静に、八郎が熱中しているときは喜美子が側で支える。「1歩も2歩も下がらんでいいんです。並んで歩いていけたら」と八郎が言うように、そんな絶妙な関係性をすでに2人は築いている。

 議論がヒートアップする中、マツはポツリと語り出す。「駆け落ち同然で家飛び出して泊まるとこのうて橋の下で2人で雨しのいだん。あれ、ワクワクしたで? この先どんなことが待ってるんやろ思て、ワクワクしてた。うちはいっぺんもあんたとの人生失敗や思たことないで?」。戦意を失った常治は、「もうええ」と話を終わりにしようとする。

 これでひとまず八郎と喜美子の結婚は黙認されたことだろう。だが、常治が納得しないまま話が終わることに納得がいかないのが八郎だ。「僕は終わってません! 聞いてください!」と切り出し、自分と喜美子が追いかけている夢がいったいどういうものなのか。そして、その夢への原動力となる気持ちなどを赤裸々に明かす。丁寧に納得いくまで話をする真摯さが八郎というキャラクターを物語っている。本日の『あさイチ』にゲストと出演した松下洸平は、共演者の戸田恵梨香から「役者の原点の気持ちを持ち続けている人」と評されていたように、八郎のもつ真摯さは松下本人からにじみ出るものなのだろう。

 「十代田の名は 兄弟が継いでくれてます。川原八郎にならせてください」とまで懇願し、頭を下げる八郎についに常治も心動かされた。「陶芸展で賞取ったら……。受賞祝と結婚祝一緒にしたる。取れるもんやったら取ってみぃ!」。家族が一つになった大団円だった。今回のように、『スカーレット』は家族での話し合いが妙にリアル。話が終わったかと思えば、誰かが蒸し返し、それぞれが心に思っていたことをさらけ出すことで明後日の方向へと論点が転がっていく。そんな即興劇のようなライブ感から、家族の会話に説得性が生まれるのだ。

(文=安田周平)

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