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KAHOH×KENYA×BBY NABE「Summer Time」鼎談 同世代の3人が語り合う、コラボで広がる可能性

リアルサウンド

21/3/10(水) 18:00

 3月3日にリリースした6thシングル曲「GIRLS TALK」がTikTok急上昇ランキング9位にランクインするなど、今注目を集めているR&Bシンガーソングライター・KAHOH。リアルサウンドでは、KAHOHのアーティスト像や楽曲について深堀りする2回に渡るインタビューを企画。

 第1回は、昨年8月にリリースした「Summer Time」についてKAHOHと楽曲を手がけたKENYA、BBY NABEの鼎談を行った。今回のインタビューが初対面となる3人。楽曲制作についてはもちろん、それぞれの音楽ルーツやTikTok発ヒットに対する考え方など同世代アーティストならではの会話に花が咲いた。(編集部)

KAHOH – Summer Time feat. KENYA (OFFICIAL VIDEO)

過ごした時代が一緒なので、自分の感覚をシェアしやすい

ーー今日はまずこの三人に集まっていただいていますが、仲良くなったきっかけは?

KAHOH:それぞれ、「Summer Time (feat. KENYA)」(以下、「Summer Time」)がきっかけで仲良くなったんです。

KENYA:KAHOHちゃんと初めて知り合ったのは、僕のライブに来てくれたとき。

KAHOH:そうだ、Bleecker Chromeのワンマンライブで。

KENYA:共通の友達も多くて、そこから丸一年後に一緒に曲を作ることになったんです。それが「Summer Time」だった。ベビナベくんとは、今日初めて会いました。

BBY NABE:コロナになってから家を出ていないということもあって、「Summer Time」の時もリモートで曲を作ったんです。だから、KENYAくんとは初対面ですね。

ーー「Summer Time」はKAHOHさんの楽曲にKENYAさんが参加する形で、そこにBBY NABEさんがソングライティングとして携わったシングルですが、どういう経緯で制作することになったのでしょうか。

KAHOH:(Bleecker Chromeの)ワンマンを観て、「すごくかっこいい人がいる」と思って、そこからずっと、一緒に曲を作りたいなと思っていたんです。シングルの制作の時に連絡したら「いいよ」って返事もらいました。NABEくんにも手伝ってもらって一緒に作りました。まず、最初にフックができたんだよね?

KENYA:僕は結構、人見知りで、KAHOHちゃんとは対照的なんです。彼女はテンションも高くてムードメイカー。まず、スタジオに入ってトラックをいくつか聴かせてもらった中で、一つすごくポップな感じの曲があるなと思って。人見知りしちゃって気まずかったので、先にバーンって(レコーディング)ブースの中に入ったんです。そうしたら、1、2回のテイクの後にあのサビができて、それをまるまる使おうと。

KAHOH:フックを完成させて、宿題でバースを書いてこようという流れになって。次のセッションでは、KENYAくんがその場で自分のバースを書き直しながらレコーディングに挑んでくれて。すごく楽しかったですね。

ーー「Summer Time」をリリースした時のファンの反応はいかがでしたか?

KAHOH:私にとって初めてのフィーチャリングの曲だったから、「すごく新鮮だ」って言ってくれる人も多かったし、「KENYAくんの声と合ってる」っていう声もありました。配信チャートで1位もとれて、嬉しかったです。

KENYA:ポップ調な曲にも関わらず、ゴリゴリのヒップホップが好きな人にも受け入れられていて、そこにMatt Cabさんのヒップホップ的な808(※ドラム・マシーン)の入れ方とか、みんなで相談し合ったフロウの感じとかがうまく効いているのかなと思いました。

BBY NABE:それは間違いないね。

KENYA:あと、ダンサーの皆さんにも気に入ってもらえたみたいで。

KAHOH:それはすごく大きいよね。今も、タグ付けして動画を上げてくれる人がいるもん。冬も踊ってくれて嬉しい。

ーーKAHOHさんとKENYAさんが同い年で、BBY NABEさんが一つ年上。同世代のアーティストと楽曲制作する時は、いつもと違うバイブスがありますか?

KAHOH:楽しいですね。やりやすいし、緊張もしない。過ごした時代が一緒なので、聴いている音楽も基本的に一緒。だから、自分の感覚をシェアしやすい。

KENYA:変に気を遣う必要もないですしね。

BBY NABE:歳ってあまり関係ない、というのも分かるんですけど、やっぱり歳をとっていくと、中には対人関係をすごく気にする人が多いなって思うんです。業界内の自分のポジションみたいな。そういうことが多いので、同い年同士の方が、あまり何も気にせずに制作できる。それが、曲作りにおいて重要な時もあります。

ーーそれぞれ、どんなきっかけでアーティストを志したのでしょうか?

KAHOH:中学1年生のとき、ダンススクールに通っていたんですけど、それくらいの頃にKOHHさんのライブを観たんです。それで結構ヒップホップにドハマりしちゃって、同時に、表現する人にすごく憧れました。そのあとは、宇多田ヒカルさんやMISIAさんを追いかけていて、一人で歌っているシンガーソングライターに惹かれたんです。

KENYA:僕の場合、歌を始めたのは5、6歳で意外と早いんです。親に「やれ」と言われたわけではなく、物心ついた頃にはすでにシンガーになりたいと志していました。1998年以降、宇多田ヒカルさん達のおかげで、日本のR&Bもメインストリームなものになったというイメージがあって。当時は気がついてなかったんですけど、自分が子供の頃から聴いていた音楽が、意外と全部R&Bというふうに括れることに最近、気が付いた。他にも、テレビで放映されていたアニメ等にも、そういうR&B関連のものが多くて。なので、そこの影響が大きかったです。

BBY NABE:自分も、お母さんがクリスチャンで教会とかも一緒に行っていて、4歳くらいの時にそこで聖歌隊に入って歌っていたんです。あとは普通に、小学校の時にピアノをやっていたけど、そんなに深く音楽に関わることはなかった。ずっとニューヨークで育って、帰国してからは千葉の高校に通っていたんですけど、3年生の時に一度だけバンドをやっていました。そのころからずっとONE OK ROCKが好きで、友達と集まって「ワンオクの曲をやろうよ」って、文化祭で歌ったりしていましたね。実は僕、高校を卒業してから一年間浪人しているんですけど、浪人期間に勉強したくなくて、そこで音楽を本格的に始めました。

KAHOH:そうだったんだ、大事な1年だったんだね。

BBY NABE:高校を卒業してすぐ、SoundCloudに曲を上げた気がするな。そこから自分でiPhoneのガレバン(※楽曲制作ソフト/APPのGarageBand)とイヤホンを使って、最初の曲をレコーディングしてました。そこから知り合いのラッパーの家に行って宅録させてもらったり、どんどん友達も増えていったりして。今、大学2年生なので、それがここ2年半くらいの出来事です。

ーーKAHOHさんの楽曲のソングライティングに関わるようになったきっかけは?

BBY NABE:元々、プロデューサーのMatt CabさんやMATZさんらと一緒に楽曲制作を色々していくうちに、コンペティションや提供楽曲など、「ちょっと一緒にやってみない?」という機会が増えて。そこから、ノリで色々進めて行ったんです。そういうことをやっているうちに、僕もKAHOHちゃんの曲や、色んなアーティストの曲に入っていくようになりました。

KAHOH:NABEくんはマジでやばいんです。キャッチーなワードがすごく得意だと思う。しかもめっちゃロマンチストで、私も思い付かないような甘い言葉を持ってきてくれる。それに英語も日本語もできて、しかも韻もしっかり踏んでくる。初めて一緒に制作したのは「GIRLS TALK」なんですけど、その時は、NABEちゃんの実際の恋愛体験談とかを聞かせてもらって歌詞を書いたんです。NABEちゃんが、ケンカする時のエピソードを話してくれて。KAHOHもすごくわかるって内容だったから、そんな時は二人で「友達に電話するよね」とか話しながら作ったんだよね。NABEちゃん、めっちゃ女心わかるから。

BBY NABE:いや、分かんないから(笑)。いつも女の子に「なんでこんなこと分からないの?」って言われると「あ、俺こういうことが出来てないんだ」ってそのエピソードを曲に入れていくんです。KAHOHちゃんの曲みたいに女の子目線で考えるのは難しいけど、面白いですよ。

音楽の形が変わりつつある

ーー女心といえば、TikTokでバズっている「PINK SWEET」も、かなり可愛いテイストの曲ですよね。

BBY NABE:そうですね、ありがたいです。

ーーあのヒットはもともと狙っていたもの?

BBY NABE:はい。実はめちゃめちゃ意図していて。恥ずかしくてずっと言えなかったんですよ。もともと、可愛いけどトラップの雰囲気も持っているような曲が作れたらいいなと思っていて、ちょうどクラブでR.I.Kくんというプロデューサーと出会って、俺に合わせて可愛いビートを作って送ってくれたんです。スタジオに行ってレコーディングして、歌詞を書くときに「TikTokとかで流行ったらいいな」って思いながら、振り付けできるような歌詞を入れたり、バースの部分はストーリー性があって女の子が好きかもっていう歌詞を入れていきました。

ーーバズの兆候はすぐにありました?

BBY NABE:それなりに聴いてくれている感じはあったんですが、女の子がTikTokで踊ってくれたり、とかのリアクションはなくて。どうしたら「TikTokで踊ってくれるんだろう」と割と諦めかけていた時に、$HORIくんと出会ったんです。

ーーめちゃめちゃ人気のダンサーさんですよね。TikTokでの人気も絶大で。

BBY NABE:$HORIくんと話しているうちに「『PINK SWEET』の振り付を思いついたから踊ってみる」と言ってくれて。$HORIくんって、TikTokでめちゃくちゃバズるダンスを考えてくれるんで、「これは絶対来るぞ」って思ったんです。案の定、バズる振り付けが来た。そこからはどんどんバズが伸びていって。

ーー明日花キララさんも「PINK SWEET」で踊っていてびっくりしました。

KAHOH:やっぱり、可愛いよね。〈初めてチューした日(チュッチュッチュ)〉ってところ、女の子なら好きだよ! 振りも可愛いし。

BBY NABE:もともと「PINK SWEET」はSoundCloudにしか上げていなかったんですけど、再生回数が伸び始めて、そこからSpotifyやApple Musicにも配信したんです。その後にリリックビデオを作って、と段階を踏んでいきました。リリックビデオを出したのは去年の3月で、12月ごろから急に伸びていきましたね。

KENYA:僕も、TikTokを意識してBPMやリリックの内容を考えることもあります。NABEくんの「PINK SWEET」はこの時代だからこそ、こういうことが起きる可能性があるんだなって思いました。コレって、インディペンデントのアーティストにとっては希望がある話ですよね。音楽の形が変わりつつあるんだなって実感したし。

BBY NABE:こういうTikTokヒットは別にわざわざ狙う必要はないと思いますし、海外で起こるTikTok発のヒットも、「たまたまそうなったっていうだけ」というものが多い。何が起こるか分からないからこそ、面白いっていうのはありますよね。僕が今後、また同じようなヒットを狙って曲を作るということはないと思います。今、割と実験的にいろんなことをやっていて。というのも、今、自分のスタイルを決めつけるのも早いかなと思っているところなんです。EDMやバラード、いろいろやれたらいいかなと思っているので。

KEYNA:NABEくんの凄いところは、ヒップホップへの理解もちゃんとあるし、その上でポップ的なアプローチもできるところだよね。

ーーKAHOHさんとKENYAさんは、「R&B」というスタイルを標榜して活動を続けていらっしゃいます。日本でもヒップホップの勢いが増していく中で、お二人は精力的にコラボなども行っていこうという姿勢が見える。自分がどんなシンガーでありたいか、ビジョンのようなものはありますか?

KENYA:個人的には、もっと尖ったR&Bシンガーがいてもいいなと思っていて。例えば、もっとカナダ出身のPARTYNEXTDOORみたいなアーティストが出てきても面白いと思うんです。だから、自分はそういうスタイルをやりたいなと思っています。逆に、日本のJ-POP / R&Bから感化された部分も大きいので、ソロで作品を出すときはちゃんとそういった部分を全面的に出していきたい。以前、ラッパーのPETZさんと「Never Stop」という曲でコラボしたのですが、そこではカナダのR&Bやアトランタのラップが混ざったようなスタイルを提示しているんです。今、東京もかっこいいし、ネオトーキョー的な感じのスタイルを、ヒップホップの人とのコラボしながらR&Bシンガーとして見せて行けたらなって思います。

KAHOH:私はソロでは、宇多田ヒカルさん、安室奈美恵さん、MISIAさんみたいな、女性が一人で強く歌っているスタイルにあこがれます。同世代で自分がそう思われる存在になりたいです。今はまだ達成度は3%くらいなので、今年は自分の作品もいっぱい出して、コラボも沢山して、頑張りたいです。

■リリース情報
「Summer Time feat. KENYA」
2020.8.21〜配信中
配信はこちら

「Rendezvous」
2020.12.14〜 配信中
配信はこちら

KAHOH オフィシャルサイト https://kahoh-official.com/
KENYA Twitter https://twitter.com/kenyafujitarnb
BBY NABE Twitter https://twitter.com/bbynabe

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