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安田レイが明かす、新アルバム『Re:I』で手にした自信 「不器用な自分でも良いんだ」

リアルサウンド

20/3/18(水) 12:00

 『健康で文化的な最低限度の生活』オープニング曲「Sunny」や、『モトカレマニア』オープニングテーマ「アシンメトリー」といったドラマとのコラボでお茶の間にさらに知名度を上げた安田レイ。両楽曲を含むアルバム『Re:I』を3月18日にリリースするにあたり、インタビューを行なった。前作からの変化や、制作時のエピソードなどを聞く中で、熱心な洋楽リスナーとしての一面やR&Bに対する深い愛情も覗かせた。(編集部)

“自分を認めてあげたい”というのは常にある

ーー前作から約4年ぶりのアルバムリリースになりますが、この間に変わったことを教えてください。

安田レイ(以下、安田):この4年の間にどんどん変化していったのは、自分で曲をつくりたいという気持ちです。二十歳でソロデビューした時は本当に純粋に、歌えるだけで幸せって感じでした。それが、いろいろな出会いがあって、周りの友達もシンガーソングライターの子が多くて、みんなの姿を見ていく中で変わっていって。曲をつくるのって、自分をちゃんと見つめないとできないじゃないですか。シンガーソングライターになりたいのかって言われると疑問なんですが、自分で曲をつくりたい、もっと自分を深く表現してみたい、世の中に発信していきたいっていう気持ちが、どんどん大きくなっていって。だからニューアルバムに、作詞だけでなく作曲も自分が手がけた曲が収録されているのはすごく嬉しいんです。共作した曲も含めて、作詞作曲を多くの曲で行うことができました。もっともっと、自分のパーソナルな部分を知ってもらえる機会が増えていったらいいなと思います。

ーーニューアルバムのタイトル『Re:I』からは、リスタートといった意味合いや、“レイ”とも読めるので「これが私よ!」といった強い意志も感じます。このタイトルに込めた思いを聞かせてください。

安田:このアルバムから新しく始めたい、新しい自分の姿で戦っていきたい、勝負していきたいっていう気持ちがあるんです。タイトルはまず、私の名前に見えますよね。リスタート、新たにここから始めていくよって意味もあるし。それにもう一つ、「Re:」ってメールの返信で使いますけど、リプライって意味じゃなくて、「〜について」というのが元々の意味だそうで。それで『Re:I』、「私についてのアルバム」という意味も込めているんです。トリプルミーニングなんですよ。『Re:I』というワードは、何年も前から自分の中でとっておいたもので、すごく大事な曲、大事なアルバムで使いたいと思っていたので、その時がやっと来たなという感じです。そういったアイデアは私、すべてスマホのボイスメモに入れてるんです。メロディでも言葉でも、ふと思いついたものは録音するようにしてて。記録しておかないとすぐ忘れちゃうので、お風呂にもスマホを持って行きますね。

ーーところで、シングルの『Sunny』や『blooming』から、ジャケットのアートワーク、ビジュアルイメージが明確に変わりましたよね。

安田:『Sunny』から同じアートディレクターさん、丸井“Motty”元子さんと一緒に手がけているんですけど、ニューアルバムではとにかく、今までの安田レイのイメージを壊したい、脱皮したい、変化したいっていう気持ちがめちゃくちゃ強くあって。なので、何かを破る動作をジャケット写真で表現したいと、このイメージしか湧かないと、プレゼンを頑張ったんです。だからそのアイデアが採用されて、嬉しかったですね。ジャケットのメインカラーは、今の自分の心の変化を色で例えたら紫だなって、それで決めました。

ーー『アシンメトリー』や『blooming』のジャケットですが、抽象的なビジュアルで、顔をストレートに見せるデザインじゃないのは、今の洋楽のトレンドに合わせているのかなと思いました。

安田:確かに海外のアーティストからの影響も大きくありますけど。もっと曲そのものをクローズアップしていきたいんです。だからジャケットは、なんなら自分が写ってなくてもいいや、ぐらいの気持ちはあります。

ーーなるほど。作詞を安田さん一人で行っている「blooming」は、音楽のスタイル的にも安田レイというシンガーを代表するような曲だと思います。

安田レイ 『blooming』Music Video (TVアニメ『レイトン ミステリー探偵社 ~カトリーのナゾトキファイル~』オープニングテーマ)

安田:“自分を大事にしようよ”というテーマでつくった曲ですね。今はSNSなどいろいろ情報が多すぎて、自信を失っている女の子がたくさんいるような気がしてて。本当の自分を受け入れられないというか。それで、もっと自分を愛せるようになったら、もっと生きやすいよねっていうことを歌いたくて。私も、自分に厳しいというか、「もっとできるでしょう」と責めてしまうことが多くて。自分を褒めてあげることはあまりできないんです。でもたまには、自分を甘やかしてあげようって。周りと違うとか意識しないで、自分のスタイルで歩いていこうという曲ですね。

ーー今、作詞をするに当たっては、SNSはすごく大きな題材のようですね。

安田:やはり歌詞に出てくることが多いですね。私も、TwitterもInstagramもやってますし。いい刺激をもらう時もあれば、自分と比べて、落ち込んでしまう瞬間もある。でも、これが私なんだって、ちゃんとどこかで自分を認めてあげたいなっていうのは常にあります。私はリゾ(Lizzo)のインスタがすごく好きなんです。すごくポジティブな気持ちになるんですよ。「今日あなた、鏡見た? 今日もあなた、きれいでしょ。もう最高よ!」って、そういうメッセージをSNSを通して発信してるんですよね。リゾは女子への応援歌みたいな曲がいっぱいあって、「Good As Hell」や「Juice」はMVもユニークで。私もこういう曲やってみたい! って、すごくいろいろなインスピレーションをもらっています。

Lizzo – Good As Hell (Video)
Lizzo – Juice (Official Video)

ーーリゾ以外にも、今気になっているアーティストを教えてもらえますか。

安田:たくさんいますけど、最近はUMIですね。彼女は日米のハーフで、基本的には英語の歌詞なんですけど、日本語で歌っている「Sukidakara」という曲がすごくいいんですよ。日本語が少し違うところもあるんですけど、そこもキュンとしてしまうんです。

UMI – Sukidakara /好きだから [Official Video] | Episode 2 ‘Love Language’

ーーそうなんですね。一方で「きみのうた」は、シンガー・安田レイの魅力が十二分に伝わる、歌の魅力が際立つ曲で、ファンの人気も高いようですが、この曲にはどういう思いがありますか。

安田レイ 『きみのうた』Video Clip TVアニメ「夏目友人帳 陸」エンディングテーマ

安田:この曲の詞は共作したものなんですけど、もう会うことはできない大切な人を思う詞で。私は、自分のおじいちゃんを思いながら書きました。リスナーにとっても、懐かしい記憶が蘇ったり、大切な人を再確認できる曲になってるのかなと思いますね。ライブで歌うと、ステージから泣いてる人が見えたりして。誰かの大切な曲になっていたらうれしいです。

ーー自分の歌で泣いている人を見るのって、どんな気持ちなのでしょう。

安田:私、もらい泣きするタイプなんで、泣き出すと歌えなくなっちゃうから、必死にこらえて。でも、私の歌が誰かにちゃんと届いているんだなって、すごく嬉しいことですね。

音楽は何もルールがない、もっと自由になっていい

ーー作詞作曲とも自身で全て手がけた「赤信号」は、ストレートなR&Bスタイルの曲で、大きなチャレンジだったと思うのですが。作曲は鍵盤を弾きながらですか。

安田:はい。洋楽ではもうずっと、同じコードやビートのループで聴かせるつくりの曲が多くて、私もそういうスタイルが好きなので、今回トライしたんです。これまでは、みんなが思う安田レイ像を壊しちゃいけないと、今までと違うことをやろうって、胸を張ってできていなかったんですけど。今回は、そうじゃない私も存在してるんだよ、みんな見て! っていう気持ちを隠さずにぶつけていきたいと思ったんです。「赤信号」はそんな思いでつくった曲なんですけど、まだドキドキしてますね。みんなはこの曲、どう思うかなって。

 私の曲の主人公は、いつもだったら何か悩んでいても、自分で解決しなきゃって前向きで、強いんです。「赤信号」では、寂しさもあってわがままに男友達を呼び出してドライブに行くんですけど、不意にキスをしてしまう。友達なんだから絶対にしてはいけないことをしてしまうというのを、“赤信号で止まれなかった”こととかけて表していて。自分をうまくコントロールできなくて、想像もしていない行動を取ったことに後悔もあるんですけど、自分を苦しめていたルールから解放されて自由になっている姿は、今の自分と重なり合うんです。人生は思い通りにいかないというか、思っていなかったことが、どんどん起きていくよねって、そんな思いも伝えたいなと。

ーー安田さんは、ライブではアリシア・キーズの「If I Ain’t Got You」などをカバーしているので、この「赤信号」を聴いた時、ついにR&Bで来た! って思ったんです。

安田:もともと18歳の頃から「こういった曲を歌いたい」という思いはありました。R&Bはずっと大好きで、アリシア・キーズやアッシャーを小学3年生の頃から聴いていて。小学校はインターナショナルスクールに通っていたので、周りもみんな大人と変わらないものを聴いていたんです。そういった環境で、良い音楽をたくさん聴いてこれたことにはすごく感謝してますね。小さな頃から歌うこともすごく好きだったんですけど、 即興でメロディを考えて、曲をつくるのも好きでした。それが今、作曲に生かされているところもあります。

 小さい頃からおしゃべりが下手で、思いを言葉にするのに、いまだにすごく苦しむんですけど。言葉でうまく伝えられないから、どんどん思いが溜まっていって、苦しんでたんです。そんな時にメロディにしてみようかなって考えたり、歌詞にすることで、そのモヤモヤを吐き出せるようになったんですね。だから今は、こういう性格で良かったなって。器用で、なんでも言葉にできたら、ここまで歌を好きにはなっていなかったかもしれないし、不器用な自分で良かったのかなと思います。

ーー「赤信号」の文字数の少ない抽象的な歌詞は、洋楽や、日本だと70〜80年代の曲を思わせるものです。特に影響を受けたソングライターはいますか。

安田:BONNIE PINKさんですね。彼女は自分を“ストーリーテラー”って呼ぶんです。彼女が結婚を発表したライブを観ることができたんですけど、「これからも、失恋も、片思いの曲もなんでも書くわよ。私はストーリーテラーだから」という言葉が、もう一生忘れられないもので。私の場合、曲のベースは本当にあったことから生まれるんですけど、音楽って何もルールがないものですよね。音楽だったらなんでも許されるというか、もっと自由になっていいんだなと思いました。

ーー洋楽で、特に歌詞が好きな曲はありますか。

安田: アリシア・キーズの「If I Ain’t Got You」はもう、死ぬまで大好きだと思います。キーシャ・コールの「Love」も好きですね。何回カバーしてみても、喉の使い方がマネできなくて、彼女にしか歌いこなせない曲だなって思うんですけど。

Alicia Keys – If I Ain’t Got You (Official Music Video)
Keyshia Cole – Love (Alt. Version)

ーー人を思う、切ない感情を表した歌詞に惹かれることが多そうですね。それは「赤信号」の歌詞も通じるものだと思いますが、どういった時に歌詞を書きたいと思いますか。

安田:常に頭の片隅で考えてはいますけど……やっぱり気持ちが沈んでいる時の方が、言葉は出てくる気がします。ずっと幸せだったら、曲は書けないかも。思いついた言葉はいつも録音したり、メモしておくんですけど、見返すと、それを書いた時のテンションがすごくわかるんです。調子がいい時は、軽やかな言葉になってますね。でも、調子が悪い時の言葉の方が、自分を深く見つめられているかな。

ーーソロデビュー直後に、英語詞の方が、日本語詞よりも気持ちを込められるという発言をされていたのですが、今はどうですか。

安田:今も同じです。日本語って本当に歌うのが難しいので。ひと言ひと言の存在感が強くて、どこか言葉がカクカクしてしまって。対して英語は、全体をひとつの流れで、気持ちを切らすことなく歌えるんです。ずっと英語の歌を歌っていたこともあって、日本語で歌うときは発音なども気をつけながらになるんです。でも、それだと感情が乗らないし。反対に、感情が乗れば乗るほど、私にとってナチュラルな歌い方をすると、日本語が伝わりづらくなる。常に葛藤がありますね。

ーー英語詞により馴染んできた方には、日本語詞で歌うのってそれほど大変なことなんですね。特にラップが日本で一般化してからは、歌詞における言葉の量がものすごく増えていて、大変そうに見えます。それでも安田さんは、「Sunny」など言葉数の多い、字余りな歌詞をフロウでうまく収めるのがうまいと思いますが、どういったテクニックを使っていますか。

安田レイ 『Sunny』Music Video (フジテレビ系 火9ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」オープニング曲)

安田:それについては、常に研究しています。とにかく自分の歌を何回も聴き返して、ここの発音を直したいなとか、そういう分析は常にしていて。レコーディングの時も、最初と最後のテイクでは全く歌い方が変わっていることも多いですね。

ーーとても難しい質問だと思うんですけど、“歌がうまい”とはどういうことだと思いますか。

安田:なんだろう、難しいですね……人それぞれに答えがあると思うんですけど。一つ思うのは、自分の声質を生かした歌い方ができる、ということですね。みんなそれぞれに生まれ持った声があって、それを操れているか、いないかの違いなのかなって。

ーー 例えば「Sunny」では、 他の曲とは声のトーンを変えたりだとか、 どこまでファルセットを効かせるかだとか、微妙な歌声の違いがすごく伝わってきます。

安田:そう言ってもらえると嬉しいですね。 「Sunny」はあえて考えすぎずに、ストレートに歌ってみたらどうなるだろうって、素の自分で歌った曲なんです。対して「アシンメトリー」は、自分の声質などを生かした歌い方をした曲で。この2曲を並べて聴くと、全く違った歌声になっているなと思いますね。

ーー最後に、特に思い入れのあるアルバム収録曲について教えてください。

安田:アルバムタイトル曲の「Re:I」は、ここからまた新しい安田レイが始まるぞ、というイメージでつくった曲です。昨年の後半は、気持ちが揺れ動くことがたくさんあったんですね。もうすぐ27歳になるんですけど、私はここにいていいのか、歌を続けていいのか、とか。最近は周りの同世代の方が結婚したり、子供を産んだりだとか、新たな世界で新しくビジネスをスタートさせたりすることも多くて。それに比べて私は、ずっとこの立ち位置というか、変わらずにいるなと思って。ファンのみんなに何か返せているのかな、何もできてないなって、負のスパイラルにはまって抜け出せなかった時期があったんです。

 でもそんな時に、すごくいいタイミングで、愛の溢れる言葉を貰ったり、ファンの方から、私の曲を聴いて失恋を乗り越えることができました、というメッセージを貰ったりして。もちろんファンのみんなは必要としてくれていると思うんですけど、“誰かに必要とされている私”を忘れていたなと思って。これじゃダメだ、みんなにもっと恩を返していきたいと思って、その気持ちを書き表したのが「Re:I」なんです。マイナスからスタートするんですけど、どんどん光が見えていくというストーリーになっていて。自分では何も見つけられないけど、いつも誰かが、あなたが教えてくれる。ここからまた新たなストーリーが始まっていくよ、って。そんな思いでつくった曲なのでぜひ聴いてほしいですね。

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■リリース情報
『Re:I』
3月18日(水)発売
【初回生産限定盤】¥3,800+税
CD+Blu-ray Disc 
<初回盤特典内容>
・三方背スリーブケース付
・28Pフォトブックレット
・安田レイLIVE2020「Re:I」先行予約チラシ封入
・Blu-ray Disc付

<初回生産限定盤Blu-ray Disc収録内容>
01.「Message」Music Video     
02.「Classy」Music Video    
03.「きみのうた」Music Video  
04.「Sunny」Music Video      
05.「blooming」Music Video  
06.「dazzling tomorrow」Music Video
07.「over and over」Music Video      
08.「アシンメトリー」Music Video   
09.「through the dark」Instrumental Teaser Video

通常盤初回仕様¥3,000+税   
CD (20Pフォトブックレット)
初回仕様特典内容(※無くなり次第通常盤の出荷。)
・安田レイLIVE2020「Re:I」先行予約チラシ封入

<収録曲(2形態共通)>
01.アシンメトリー
(フジテレビ系木曜劇場「モトカレマニア」オープニングテーマ)
02.fortunes
(カンテレ「グータンヌーボ²」エンディングテーマ)
03.Answers
04. over and over
(花王PYUAN TV CMテーマソング)
05.Sunny
(カンテレ・フジテレビ系列 火9ドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」オープニング曲)
06.bring back the colors
07.赤信号
08.dazzling tomorrow
(花王PYUAN TV CMテーマソング)
09. Classy
(ソニーブラビア TVCM曲)
10. blooming
(アニメ「レイトン ミステリー探偵社~カトリーのナゾトキファイル~」オープニングテーマ)
11. きみのうた
(TVアニメ「夏目友人帳 陸」エンディングテーマ)
12. Re:I

■ワンマンライブ情報
『安田レイ LIVE2020 「Re:I」』
東京
開催日:2020年7月10日(金)
時間:開場 18:30/開演19:30
会場:Billboard Live TOKYO

大阪
開催日:2020年7月12日(日)
時間:開場16:30/開演17:30
会場:Billboard Live OSAKA

■関連リンク
安田レイ オフィシャルサイト
安田レイ オフィシャル Instagram
安田レイ オフィシャル Twitter
安田レイ Official YouTube Channel

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