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『あなたの番です』袴田吉彦が自虐キャラを怪演 一人二役に注目が集まる存在の異様さ

リアルサウンド

19/8/17(土) 6:00

 錯綜するストーリーラインと、次々と捜査線上に浮上する容疑者。第2章に入り加速する『あなたの番です-反撃編-』(日本テレビ系)だが、あの人の存在がふたたび注目を集めている。

参考:『あなたの番です』再び浮上するあの人の黒幕説 “笑う死体”事件の裏にいる存在を探る

 袴田吉彦演じる101号室の住人・久住譲。交換殺人ゲームで殺したい人の名前に「袴田吉彦」を書き、5話ではロケ中に袴田が殺されてしまう。久住自身も、7話で手塚菜奈(原田知世)の元夫である細川朝男(野間口徹)とエレベーターの乗降口から転落。一命を取り留め、13話で目を覚まして再登場。想像の斜め上を行くキャラクターで視聴者を騒然とさせる「久住譲/袴田吉彦」は、ドラマの中でどんな役割を担っているのだろうか?

 久住は「キウンクエ蔵前」で最初の住民会に出席したメンバーの一人だ。実は、交換殺人ゲームのアイデアとくじ引きを提案したのは久住である。久住が殺したいと思って書いた相手が袴田吉彦なのだが、その理由が非常にシュール。外見が酷似していることから「深酒してシメでラーメンを食べた翌日の袴田吉彦」や「ポイントカード」と呼ばれるという。久住が、袴田を取り上げた週刊誌(もちろんフェイク)を菜奈に見せながら、袴田の唯一のシングル「本トの気持ち」(1999年)を歌ってみせるシーンや、直後に袴田が覆面の3人組に襲われて死亡するくだりは、現実がドラマを侵食するような倒錯したリアリティを感じさせた。

 13話で意識を回復した久住は、自らを18歳の袴田であると主張する。袴田吉彦を憎み、自身を袴田吉彦であると語る久住は、袴田吉彦にしか演じることのできない役どころではある。実在の人物を登場させることは、テレビの向こう側で進行するストーリーをこちら側と地続きの現実と思わせる効果がある。それだけでなく、あの騒動を示唆するような描写からは、俳優・袴田吉彦が積極的に自身をいじりにいっている印象を抱く。

 過去作を見ても『ブラックスキャンダル』(読売テレビ・日本テレビ系)では、枕営業をさせるテレビプロデューサー・五色沼仁役で出演。山口紗弥加演じる主人公に「ああ~ぱぁ~っ!」と叫ぶ場面が話題を呼んだ。また、『アカリとクズ』(ABCテレビ)では、バレないために妻と同じ「アカリ」という名前の女性とだけ不倫をするクズ夫を、『高嶺の花』(日本テレビ系)でも、浮気が原因で離婚したが、元妻の経営するスナックに通う主人公の友人役を演じた。いずれも自身に対する負のイメージを逆手に取り、真に迫ったリアリティとひねりのあるおもしろさを作品に与えていた。

 ストーリーは終盤にさしかかり、袴田殺しの実行犯である看護師の桜木(筧美和子)や、意識を回復した瞬間に名前を叫んだ501号室の佐野(安藤政信)と久住の関係も気になるところ。ここに久住あるいは袴田吉彦がどのように絡むのか。見逃せない展開が続きそうだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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