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『スカーレット』マツの声を発さない怒り 三姉妹の中で常治を色濃く受け継ぐ直子

リアルサウンド

20/1/17(金) 12:00

 回を重ねるごとに不穏な空気が漂っていく『スカーレット』(NHK総合)。いつか取り返しのつかないことが起こってしまうのではないかと、視聴者としてもヒヤヒヤさせられてしまう。

参考:黒島結菜、『スカーレット』出演を語る 「『三津ってかわいいじゃん』と思ってもらえるように」

 第89話は、喜美子(戸田恵梨香)が三津(黒島結菜)に土の練り方を指導するシーンからスタート。「全体重かけてな」というのは、惹かれ始めていた頃の八郎(松下洸平)に教えてもらったものだ。休憩の際、三津は喜美子にフカ先生(イッセー尾形)の話をはじめる。喜美子が八郎にフカ先生の大事な絵を描いてあげたという2人にとって大切な思い出を八郎が話したようだ。

 喜美子と八郎の思い出を三津という第三者を通して拾い集めるようなこの作業はなにか意味があるように思える。昨日の放送で、八郎が「横にいるとしんどい」と、喜美子の才能に嫉妬にも似た感情を持っていることに驚いたように、三津という人物を通して、お互いの心の内を見つめ合っているようだ。

 一方で、信作(林遣都)と百合子(福田麻由子)である。照子(大島優子)に柔道の練習をつけてもらうも、上手くいかなかった信作がようやく決心をして川原家に乗り込むようだ。そこで鳴る電話。直子(桜庭ななみ)に子どもができて信楽に帰ってきたとのことで、百合子は「すみません! 結婚の申し込みは先送りにさせてください!」と飛んで帰ってしまう。

 年が明けてから、川原家にはどこか緊張の糸が張っている中で、コミックリリーフとして登場する大野家。「これが後々語り継がれる『信作、結婚のご挨拶がなかなかできない』の始まりでした」というナレーションのように、この役回りはまだ続くのだろう。

 直子は本当に妊娠したのではなく、金を無心するための一芝居のようだ。以前常治(北村一輝)が、喜美子を大阪から連れ戻すために、マツ(富田靖子)が病気になったと、うそぶいたことがあったが、そんな常治の性格を受け継いでいる直子。八郎の助言もあり、喜美子はあたたかい態度で迎える。

 そんな中、異変に気づいたのはマツ。畳に砂が溢れているのを発見し直子の企みを察すると、直子と恋人である鮫島(正門良規)めがけ箒を振り下ろす。喉を痛めているため声は出さないが表情で怒りと悲しみを体現する気迫に満ちたワンシーンだった。(リアルサウンド編集部)

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