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安達祐実が語る、仕事とプライベートに子役時代から現在まで 「隠したり誤魔化したりはしたくない」

リアルサウンド

20/4/24(金) 8:00

 安達祐実が10年ぶりに地上波連続ドラマの主演を務めるドラマ25『捨ててよ、安達さん。』が、毎週金曜深夜0時52分からテレビ東京ほかにて放送中だ。安達祐実が“安達祐実”という本人役を演じる本作は、“毎号私物を一つ捨てる”という女性誌の連載企画を受け持つことになった安達さんと、彼女の夢の中に登場する謎の少女と擬人化した「捨てられないモノ」との交流を描いた物語だ。

参考:安達祐実、10年ぶりの地上波連ドラ主演で本人役に 「おそらく最初で最後の機会」

 第1話では、「捨てられないモノ」として代表作の完パケDVDが登場し、“安達祐実”の子役時代の葛藤が描かれたが、本人は実際に子役時代をどのように捉えているのか? 本人役を演じる難しさからプライベートの話まで、じっくりと語ってもらった。

ーー今回、10年ぶりの地上波連ドラ主演となりますが、心境はいかがですか?

安達祐実(以下、安達):そういうことも巡ってくるんだなと思いました。主演だからどうということはないですけれど、ご褒美のようだなと。ありがたいなという思いでやらせていただきました。

ーーしかも今回は初の“本人役”です。

安達:最初は普段の自分っぽく、わりと楽にできるんじゃないかなと思っていたんです。でも実際は、ストーリーもあるし、そう簡単にはいかなくて。本人役って難しいんだなと実感しました。

ーー具体的にどのような部分が難しかったですか?

安達:自分じゃない役をやるときは、ある程度無責任でいられる部分があるというか……。自分自身の発言ではないし、自分自身の行動でもないから、客観的に引いて見られるところがあるんですけど、“安達祐実”の役だと、安達祐実としての発言や行動になってしまう。なので、その辺りのもどかしさはありましたね。

ーー内容は、女性誌の連載企画で様々な“捨てられないモノ” を捨てていくことになった安達さんが、夢の中で擬人化したモノとやりとりをするというシュールな展開になっています。第1話では代表作の完パケDVD、第2話では輪ゴムとレジ袋……と、たくさんの“捨てられないモノ”が登場しますが、事前に内容について相談はされたんですか?

安達:脚本を作る前の段階で、脚本の下田(悠子)さんや大九(明子)監督たちとみんなで話し合いをする時間がありました。実際に自分がちょっと捨てづらいなと思っているものや、過去の自分の話などを、何時間もかけて結構じっくりお話しさせていただいて。それを元に脚本を書いてくださったので、中には実際に私が捨てられないと思っているものもありますね。

ーー第1話を拝見しましたが、ご自身の過去について言及されている部分もあり、ものすごくリアリティがありました。

安達:リアリティありました? 感じていただけました?(笑)

ーーものすごく感じたんですけど、物語自体はフィクションなんですよね? そこがまた不思議な味わいでした。

安達:そうなんですよね。その辺の曖昧さが面白いなと思っていて。実際にリアルの私に近い部分もたくさんあるし、でも全然私のエピソードではないものも入っていたりするんです。その境目がわかりにくいっていうのは、すごく興味深いなと思います。物語の中では、どうリアルに見せていくかも必要だけど、本当のリアルに近づければいいというわけでもなかったり。あと、私は普段からリアクションが大きいんです。なので、普段の自分を意識すると、すごく大げさに見えてしまうということを監督に言われて……。なので、『捨ててよ、安達さん。』ではリアクションはいつもより大人しめです(笑)。

ーーそうなんですね。プライベートと言うと、安達さんご自身もSNSなどで妻として、親としてのプライベートな部分を披露されていますよね。

安達:そういう私生活の部分を見せないやり方も人によってはあると思うんですけど、私は小さい頃から仕事をしているので、それこそプライベートと仕事の境目がよくわからないところがあるんですよね。あと、皆さんに人生を見ていただいて成長してきた部分もあるので、プライベートも仕事も全てがあって安達祐実という人間が出来上がっているということを、誤解なく伝えたいと思っているんです。なので、隠したり誤魔化したりはしたくないなと。

ーーちなみに、ご家族は今回の作品をご覧になっているんですか?

安達:主人は観ていて、「おもしろーい」って言ってました(笑)。やっぱり、普段の私っぽいところもあるみたいですし、私が気づいてない、別に面白いと思って言ってないようなセリフでも、お芝居をしてる立場じゃない人から見ると、面白く聞こえたりするみたいで。一緒に観ていると、そういう新鮮なリアクションも得られるので、自分自身にとってもいいなと思いました。そういうリアクションを見ていると、私が思ってる以上に面白いドラマなんじゃないかっていう気はしてきますね(笑)。

ーー第1話に登場した代表作は、作品名こそ出てきませんでしたが、まあ『家なき子』ですよね(笑)。劇中では過去の自分に引きずられる葛藤が描かれていましたが、安達さん自身はあの作品をどのように捉えているんですか?

安達:実際はドラマで描かれていたようなことはないですね。ただ、本当にDVDはスタッフさんからいただいていて、実際に持ってはいるんですよ。だけど、「そこから一歩先へ進みたい」みたいな気持ちはないですし、それはいい思い出の一つで、私の中では捨てるつもりもないというか。なので、そこはドラマと現実では違う部分ではあります。ただ、自分の中では子役のときから成長してるんだけど、他の人たちからしたら子役のときの私のイメージがなくならないという難しい時期は実際に過ごしてきたので、そういう私の成長過程での葛藤みたいなものは、ドラマでも描かれているのかなと思います。

ーードラマでは「ずっとあの作品の安達祐実だった。最近やっと開放されてきた」というセリフもありましたが、実際にそういう時期もあったと。

安達:そうですね。もうだいぶ昔ですけど、10代の頃は実際にどの現場に行っても、「お前は何やっても『家なき子』に見えるな」とか言われながら撮影していたので(笑)。でも、私の中では、“過ぎた過去”になっている感じですね。

ーー実際に子役時代の出演作を見返すことはあるんですか?

安達:『家なき子』はDVDをいただいたので、娘と一緒に1回観ようとしたことがあったんです。でも、私があまりにもひどくいじめられているので、娘が「もうこんなママ見たくない」ってなってしまって、途中でやめました(笑)。

ーーなんと!(笑)

安達:私は全然面白く観られたんですけどね(笑)。その後、お父さん役だった内藤(剛志)さんと他の作品で再共演させていただく機会もあったので、自分でちゃんと最後まで観てみました。改めて観てみて、本当にいいドラマだなと思いましたね(笑)。めちゃくちゃ面白いなって。

ーーいま見返しても面白いですよね。成長したらお子さんにも再チャレンジしてほしいですよね(笑)。

安達:そうですね(笑)。一緒に観ようとしたのはだいぶ前だったので、上の子はそろそろもう1回チャレンジできるかもしれないです。彼女はちょうど私が『家なき子』をやっていた年齢なので。

ーーちなみに、当時のご自身の演技をどうご覧になりましたか?

安達:本当に下手くそだなって思いました。もう信じられないって(笑)。自分ではまったくそんなこと思わなかったですけど、小さい頃は「天才子役」とか言っていただいていたので、あんなに下手くそな私の演技を天才なんて言ってくれた世間は本当に温かいなと思いました。ド下手だなとちょっと落ち込むぐらいの感じでした(笑)。

ーーいや、そんなことないと思いますけど(笑)。

安達:いやいや……やり直せないし、もう「嘘でしょっ……」て思いながら観てました(笑)。

ーー第1話では、“完パケDVD”に扮したゲストの貫地谷しほりさんが「同情するなら観ておくれ!」という名言も飛び出しました。

安達:ね(笑)。まさか本当にあのセリフを言ってもらえるとは思わなかったです。貫地谷さんとは仲が良くて、プライベートでもご飯に行ったりするんですけど、本人は「そりゃまあ、祐実さんが出てくれって言うなら行きますよ」みたいな感じでした(笑)。普通だったらたぶん、あんなことは言ってくれないと思うので、「まさか貫地谷さんがこんなこと言ってくれるなんて!」と現場では感動的な気持ちでした。

ーープライベートでも仲がいいということですが、実際に共演してみていかがでしたか? 

安達:私自身もまだ撮影に入って間もなくて、これから基礎を作っていこうという第1話に来ていただいたので、すごく頼もしかったです。普通だったらこんなこと言わないだろうなというセリフも、そういうやり方あるんだという方法で、すごく上手に、かつ面白くやってくれて。改めて、作品が出来上がったときのビジョンをきちんと持ってお芝居をしている人だなと感じました。

ーー第2話以降も豪華な方々がゲストとして登場します。特に印象に残っているのはどなたですか?

安達:片桐はいりさんとは今回初めての共演で、お会いするのも初めてだったので、最初は「わっ! はいりさんだ!」って思ってしまいましたけど(笑)、とても素敵な方で、お芝居もすごいんですよね。本当にナチュラルに美しく現場にいる方だったので、すごく感動しました。私もああいう人になりたいなと思いましたね。

ーーもう撮影はすべて終えられているそうですが、改めて初の本人役を振り返っていかがですか?

安達:まず、自分自身を演じることが他の役をやるときとどう違うのか、その難しさに触れることができたこと自体が、今後の自分の成長に繋がると思いました。あと全体を通して、感情に深く切り込んでいく場面もたくさんあったので、お芝居をするときにどう心を開放するかを考えることも多くて。今までやってなかった新たな方法を見つけられた気がするので、もちろんいつでもそういう状態に持っていけるかという難しさはありつつも、今後また違う役をやるときに楽しめたり、今までとは違うアプローチもできそうな予感がしています。

ーー最近は様々な作品でその活躍を見かける機会が多い印象ですが、今年で芸歴が36年目というのも驚きです。

安達:振り返ってみると、10代のときは本当に難しくて、自分は成長していっているけれど、でも大人にはなりきれていないし、思春期の中途半端なところをそのまま何の策略もなく露呈していた、ちょっと痛々しい時期でもあったと思うんです。20代は、前半で最初の結婚と出産を経験して、そこからまたちょっと自分の行きたい方向とは違う方向に行きそうになったような時期もあって。でも、自分がやりたいのはやっぱり役者の仕事だったので、そっちに自分を引き戻していく作業を、20代の最後の方からやってきたんですよね。

ーーその中で転機となったような作品はありますか?

安達:今いただけている役柄の幅を考えると、その幅を作ってくれたのは、東村アキコさん原作のドラマ『主に泣いてます』(フジテレビ系)ですね。どコメディをやったのがその作品が初めてで、ものすごくぶっ飛んだキレキレの役をいただいたので、それをやってからは何でもできると思うようになりました。それまでは悲しい役が多かったんですけど、『主に泣いてます』で演じた青山由紀子は、表面的に怒りを爆発させたり、すごく面白いことを言ったりする役だったので、自分はそっちの方向にも振れる可能性があると気づかせてもらいました。

ーーこの作品でまた新たな一面が見られることに期待しています。最後に、今後のビジョンがあれば教えていただきたいです。

安達:何か「こういう役をやりたい」というのは特にないんですけど、一つに偏りたくないなとは思っているので、いろんな役をやりたいなと思っているので、垣根なくいろいろ挑戦していけるのが理想ですね。あとはやっぱり、自分が「一緒に仕事をしたい」って思う人たちと仕事をするのが幸せなので、そういう人とのつながりやセッションする感じを今はすごく大事にしているんです。なので、それはこれからも続けていければいいなと思っています。(取材・文=宮川翔)

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