Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

KAT-TUN亀梨和也の演技はなぜ変化に富むのか 主演作『怪盗 山猫』に見る“身体性の高さ”

リアルサウンド

16/1/20(水) 7:00

realsound-KAT-TUNth_.jpg(C)タナカケンイチ

 KAT-TUNの亀梨和也が主演を務める連続ドラマ『怪盗 山猫』(日本テレビ系)の放送が1月16日より開始された。亀梨は、アクションシーンもこなし、軽快な動きと口調が特徴的な謎の窃盗犯”山猫”を演じている。本稿では、亀梨が原作をどう汲み取って芝居に反映させているかに注目しながら、俳優としての魅力に迫りたい。

 先日1話の放送を終えた『怪盗 山猫』では、”どう盗むのか”よりも”なぜ盗むのか”に重点を置く、失敗知らずの大怪盗”山猫”のビジュアルを高いレベルで再現しているのが印象的だった。原作(神永学『怪盗探偵 山猫』)の表紙に描かれたイラストと同じようにニット帽を愛用し、タバコやウィスキーを片手に鋭い視線を送る表情には、ミステリアスな魅力が漂っている。それに加えドラマでは、カップラーメンを愛し、青いサングラスやピアス、リングなどを身につけることによって、その個性をさらに強調している。また、怪盗を行う際には後頭部に猫のお面を付けており、正面から見ると亀梨が”ネコ耳”を付けているように見えるのも、コスプレ的な楽しさがある。

 もちろん、そのビジュアルに負けないくらい、亀梨自身もしっかりと役作りをしている。その口調や立ち振る舞いも、まさに”山猫”のイメージそのものだ。彼が現実離れしたビジュアルにも寄り沿って役作りをできるようになったのは、主演した映画『俺俺』(2013)の影響が大きいのではないだろうか。33人の”俺”を演じ分けた同作では、大学生からサラリーマンまで幅広く演じ、マッシュルームカットからロン毛、ジャージ姿やスーツ、全身刺青とビジュアルを大胆に変更し、なんと女性役にも挑戦している。劇中では人物同士がリンクし、時には入れ替わることもあったが、外股、内股といった歩き方や笑った時の口角の上げ方などの細部に変化をつける事で、見事に演じ分けていた。ドラマ『山猫』では演じる人物こそ一役だが、お調子者な一面から、怪盗する際には余裕のある勝ち誇った表情を見せ、天才ハッカー”魔王”(広瀬すず)と対峙する場面では、声を荒げて感情をむき出しにするなど、振れ幅の大きい演技を披露している。一つの作品で何役をも演じ分けた経験は、一役での感情表現をも豊かにしたのではないか。

 原作のイメージを引き継ぎつつも、プラスアルファで亀梨らしさを付け加えるのも、役者としての魅力のひとつだ。原作のキャラクターの再現にとどまらない演技は、身体能力の高さゆえの余裕から生まれているように思う。亀梨は、ジャニーズの中でもとくに野球が上手く、ピッチング、バッティングともに秀でた実力者である。また、アイドルとして長年ダンスに磨きをかけたことも、その身のこなしに一役買っているのは言うまでもない。その運動神経を存分に発揮したのが、邦画では珍しいとされるスパイ映画『ジョーカーゲーム』(2015)だ。亀梨は、小説や脚本などの文章では伝わりづらいリズム感を、その身体性を通じて表現していた。いわゆる”間の取り方”が優れていて、その演技にはまるでダンスをしてリズムに乗っているような軽やかさがあった。

 その疾走感のあるスパイシーンは、『怪盗 山猫』の怪盗シーンにも通じるが、今作では山猫を追っていたライターである勝村(成宮寛貴)との掛け合いによって、新たなリズムが生まれているのも興味深いところだ。作品によって芝居のリズム感を変えられるのも、亀梨が多彩な役どころを演じられる理由のひとつだろう。

 第1話の終盤では、山猫のダークな部分が垣間見え、正義や悪に対して疑問を呈するようなシーンがあった。おそらくは、ストーリーの軸となる”なぜ盗むのか”に関する伏線である可能性が高い。華麗な怪盗アクションシーンはもちろんだが、今後、山猫の人間性をどう表現していくのかも気になるポイントだ。細部まで作り上げたキャラクターを、亀梨はその高い身体能力によってどのように動かし、新たな物語を刻んでいくのか。役者としての進化とともに見守りたい。

(文=小島由女)

■ドラマ情報
『怪盗 山猫』
毎週土曜日 夜9時から放送中
出演者:亀梨和也、成宮寛貴、広瀬すず、菜々緒、北村有起哉、大塚寧々、佐々木蔵之介
脚本:武藤将吾
原作:神永学「怪盗山猫シリーズ」
プロデューサー:福井雄太
製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/yamaneko/

アプリで読む