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「Fukushima 50」佐藤浩市や監督が制作回想「嘘になることは絶対やめよう」

ナタリー

20/2/5(水) 12:41

「Fukushima 50」報知映画賞・特選試写会の様子。左から若松節朗、佐藤浩市、吉岡秀隆。

「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」の報知映画賞・特選試写会が、2月4日に東京・よみうりホールで開催され、キャストの佐藤浩市と吉岡秀隆、監督の若松節朗が登壇した。

東日本大震災時、高い放射線量のもと収束作業にあたった作業員たちの姿を描いた本作。佐藤が福島第一原発1・2号機の当直長を担当した伊崎利夫、渡辺謙が第一原発所長の吉田昌郎を演じ、吉岡は第一原発5・6号機当直副長の前田拓実役を務めた。

撮影現場の雰囲気を聞かれた佐藤は「人々が“なぜ”、“何のため”に現場にいたのかという気持ちを、私も吉岡も自問自答しながら撮影していきました。撮影自体は時系列通りの順撮りで進んでいき、日々みんなの顔がやつれていくのが見えてきてなんとも言えなかったですね」と振り返る。

防護服やマスクを着けた状態での撮影について、佐藤が「何日か撮影が進んでくと、防護服を着ていても誰が誰だかわかるんですよ。これは不思議でしたね」とコメントすると、吉岡は「浩市さんはシルエットでわかりました。いてくれるだけで安心するので、緊迫したシーンでは浩市さんの顔をマスク越しに見てました。そうして中操(中央操作室)での撮影が終わり、スタジオから出て防護服やマスクを取ると、みんなやつれて老けたなって感じましたね(笑)」と苦労を明かす。それに続き若松は「浩市さんは俳優界のレジェンドですからね。浩市さんがいてくれるおかげで役者さんたちの統率がとれます。暗黙の威圧感があるんでしょうね」と佐藤に感謝を述べた。

撮影で難しかった点に関する話題では、佐藤が「1つだけ言えることは、皆さんも僕らも、当時最悪の事態を免れることができたという結果を知っているわけですよ。しかし9年前、あのとき、あの場所にいた人たちは、この先何がどうなっていくのかわからないんですよね。その恐怖と責任など、あまりにも大きなものを背負ってそこにいたんです。その気持ちをどう表現することができるのか、と思いました」と語る。若松は、原作である門田隆将のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」に沿ったシナリオ作りを回想し「リアリティを求められる映画でしたので、原発事故の5日間は実際の時系列とほぼ同じ。スタッフとも『嘘になることは絶対やめよう』と話して、実際に静岡の発電所で取材してから臨みました。原発内は撮影禁止なので、基盤などもスタッフががんばって描き写したものをセットに落とし込みました」とこだわりを述べた。

最後に吉岡は「世界の渡辺謙さん、歩く日本映画の浩市さん、お二人がいたからこの作品は完成しました。映画を観終わったあとに必ず何か感じられると思いますので、皆さんも鑑賞後に誰かに伝えていただけると、そこから未来につながっていくと思います」と挨拶。そして佐藤は「この映画の映像にはつらいものが多々あります。10年、20年後に忘れられないために、このようなつらい映像がたくさん入っています。“負の遺産”を“遺産”に変えることができるのは、未来にバトンを渡すことができるのは、我々人間だけです」と観客に訴えかけた。

「Fukushima 50」は3月6日に公開。

(c)2020『Fukushima 50』製作委員会

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