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『エール』窪田正孝×中村蒼らは幼少期編とどうリンク? 石田星空ら子役たちの名演を振り返る

リアルサウンド

20/4/12(日) 6:00

 NHK連続テレビ小説『エール』が2週分の放送を終えた。第1話のミュージカル風演出からのスタートにこれまでにない挑戦を感じつつも、第2話以降は、朝ドラの“王道”とも言える展開で物語は進んでいる。

参考:『エール』第11話では、成長した裕一役の窪田正孝が本格登場 音楽に夢中の日々を送っていたが……

 男性主人公であれ、女性主人公であれ、その半生を描く朝ドラにおいて(『あまちゃん』など特殊なケースもあるが)、主人公の幼少期は重要な意味を持つ。どんなきっかけで夢を抱いたのか、どんなきっかけで才能が開花したのか、どんな人々が主人公に影響を与えたのか。物語全体の土台となるこの部分がどう描かれるかによって、その後の展開を左右すると言っても過言ではないだろう。

 その点において、本作の主人公である裕一(窪田正孝/石田星空)と音(二階堂ふみ/清水香帆)が、音楽に目覚める瞬間、音楽が持つ力を実感する瞬間は、見事に描かれていたと言えるだろう。何より大きかったのが、裕一を演じた石田星空の高い演技力だ。ライターの田幸和歌子氏は、その演技について次のように語る。

「第1話の度肝を抜く展開で驚いた方もいたと思いますが、第2話以降は非常に見やすい朝ドラらしい展開を続けていると思います。その中でも裕一の幼少期を演じた石田星空さんは、本当にうまいです。こんなにぴったりな子役をよく見つけたなと驚きます。裕一はいじめられっ子でしたが、泣いたりはせず笑顔でごまかそうとします。台詞ではなく、表情、しかも“卑屈な笑顔”で裕一の心情を表している姿には感心しました。初めて西洋音楽を聴いて目を輝かせるシーンも素晴らしかったですし、そこから音楽によって自信をつけたことによる変化も、石田さんは見事に体現していたと思います。内向的でコンプレックスを抱えた主人公が成長していくという図式は、昨今の少年マンガの主人公とも重なります。石田さんの見事な演技もあり、感情移入する視聴者も多かったのではないでしょうか」

 一方、幼少期の音を演じた清水香帆も、父・安隆(光石研)の死を乗り越えるひたむきな姿が視聴者の涙を誘った。

「各所で評判になっていましたが、清水さんは二階堂さんに瓜二つですね。音は、従来の朝ドラヒロイン路線ともいえる、大人や男性にも物怖じしない天真爛漫なキャラクターと思いきや、『竹取物語』の役柄をめぐり、同級生の良子(田中里念)に気を遣う優しさもある。幼少期の朝ドラヒロインは、「謝る、気を遣う」ができない人物も多かったので、その点は意外でした。音の表には出ない繊細な感情を清水さんはうまく表現していたと思います。関内家の長女・吟役の本間叶愛さん、三女・梅役の新津ちせさんも非常に可愛くて、もう少し彼女たちの演技を観ていたかったぐらいです」

 そして、ほかの子役たちで忘れてはならないのが、鉄男を演じた込江大牙と、久志を演じた山口太幹だ。第3週以降に登場する鉄男は中村蒼が、久志は山崎育三郎が演じる。窪田正孝とのセッションに早くも期待が高まる。

「鉄男も久志も視聴者が大好きなキャラクターですよね。自分にも人にも厳しく、孤高の存在でありながら詩に通じてるというギャップを持っている鉄男。裕一のイマジナリーフレンドかと思うような不思議な雰囲気をまとい、登場した瞬間に只者じゃない存在感を放っていた久志。込江さんも山口さんも、マンガのようなキャラクターにぴったりハマっていたと思います。

 また、朝ドラ序盤の楽しみ方のひとつとして、子役キャストたちが成長した大人キャストとどんなリンクをするのかがあります。石田さんは顔立ちだけで言えば、窪田さんに似ているわけではありません。それなのに、子犬のような佇まい、内向的な雰囲気は、窪田さんと通じるものがあります。清水さんと二階堂さんはもちろん、本間さんと松井玲奈さん、新津さんと森七菜さんも、美女三姉妹としてぴったり。そしてなんと言っても鉄男ですね。鉄男は夜逃げをして、藤堂先生(森山直太朗)からもらった名刺を頼りに新聞社で働くという背景がありますが、裕一たちに比べればあまりにも濃いドラマがそこに詰まっているわけです。鉄男の数年間を中村さんがどんな形で表現してくれるのか、成長した裕一とどんな出会いを果たすのか、今から非常に楽しみです。一方、久志はそもそもが不思議なキャラクターなので(笑)、どんな形の登場でも問題ないと思いますし、山崎さんは登場するだけで華があるので、さらにその期待を越えてくれそうです」

 窪田正孝、中村蒼、山崎育三郎、二階堂ふみ、松井玲奈、森七菜と実力派が揃った大人キャスト。子役たちの面影を探しつつ、彼らが生み出す新たな物語を心待ちにしたい。(石井達也)

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