Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

CIVILIANが構築するバンドとファンの“1:1”の関係性 Lyu:Lyu時代の面影も見せた3周年ライブ

リアルサウンド

19/8/6(火) 15:00

 CIVILIANが、7月18日に渋谷CLUB QUATTROにて『3rd Anniversary Live “THREE”』を開催した。

 2016年7月18日、Lyu:LyuはCIVILIANへと改名。今回のライブは、その『“THREE”』のタイトル通り3周年を祝して企画されたもので、1周年記念ライブを新代田FEVER、2周年記念ライブを渋谷WWWといずれも7月18日に開催してきた。

 CIVILIANは、3月にまねきケチャ、majiko、中田裕二を迎えたコラボEP『邂逅ノ午前零時』をリリース。同月に全国10カ所を巡るバンドとしては最大規模のツアーをマイナビBLITZ赤坂にて終えた後だ。ツアーから約4カ月が経った今、『“THREE”』はこれからのバンドの方向性を指し示す重要なライブにある。

 まず、『“THREE”』の特徴的なのは、「普段やれない曲」としてLyu:Lyu時代からの楽曲が多く披露されたことだ。この日、ダブルアンコールを含めパフォーマンスされた全19曲の内、Lyu:Lyuとしての楽曲は半数近くの9曲。最初のMCまでには、「彗星」「Started World」「引鉄」といった選曲がなされている。コヤマヒデカズ(Vo/Gt)が捌けた状態で行われる恒例の有田清幸(Dr)、純市(Ba)によるMCでは、CIVILIANとしてのシングル、アルバムの3曲目は網羅していること(『邂逅ノ午前零時』の場合、インスト曲は繰り上げとしていたりと例外はある)、そして各セクション毎にメンバーがそれぞれ1曲ずつやりたい楽曲をセットリストに入れ込んでいることが明かされた。

 純市が選んだのは「引鉄」、有田が「月の旅人」。どちらもLyu:Lyuの中でも滅多に披露されることのない楽曲で、同期なしで再現される演奏は、鋭く、ヒリヒリとしたLyu:Lyuの世界観を呼び起こす。そしてコヤマが選んだのは「潔癖不感症」。以前、インストアイベントでファンからリクエストされたものの、当時は歌詞もコードも出てこなかったというLyu:Lyuの楽曲。「やると約束した曲」としてコヤマにとってはリベンジの、気迫に満ちたパフォーマンスだった。

 CIVILIANは、いつも“ライブという場”を大切にしてきたバンドだ。コヤマはフロアに客が10人、20人しかいなかった当時を振り返った上で、ファンから反応が返ってくるとやはり嬉しいこと、Lyu:Lyu時代の楽曲を演奏することで「いい曲を作ってきた」という実感が持てることを明かす。本編終盤に披露した「メシア」は、Lyu:Lyuとして2014年にリリースした最後のアルバム『GLORIA QUALIA』に収録された楽曲だ。コヤマは、初めて「メシア」をライブで披露した際、演奏後の拍手がいつまでも鳴り止まなかったことを回顧しながら、歌い出しに入る。今も昔もバンドの代表曲として存在している「メシア」は、ライブで何度も披露されてきた。コヤマの綴る歌詞の中でも死生観が剥き出しに描かれる「メシア」は、“どうせ”と後ろを向く誰かにとっての救いとなる歌。Dメロの鬼気迫るコヤマの歌唱は、死の淵から希望の光を見つけ這い上がるような、そんなイメージを抱かせる。かすれ声から地声へと、叫び歌うコヤマ。リリースから5年が経った渋谷CLUB QUATTROで再び披露された「メシア」に、いつまでもいつまでも拍手は続いた。

 彼らのライブを観ていて感じるのは、「1:1」の「アーティスト対ファン」という構図が自然と形成されていることだ。それは、Lyu:Lyuの頃から変わることはない。だからこそ、コヤマのMCは「メシア」と同等に、剥き出しの言葉で観ている者に突き刺さる。「俺たちの音楽を信じてくれるみんなの反対側にいる人たち。君たちを傷つける存在や君たちに嫌な思いをさせるような人間たちの最強の敵になります。だから、大丈夫。一緒に毎日を生きていきましょう」ーーそう言って、本編ラストの「I feat.まねきケチャ」を、セルフアレンジにて歌い上げた。

 アンコールでは、11月14日に渋谷WWW Xにてワンマンライブを開催することを発表。「自分たちが何者かを突きつける、分かってもらえるようなライブをもう一度やりたい」と告げたコヤマは、映画を観ているような、3人が集まった時に原初の理想像を体現する、朗読といった音楽を聴かせるだけではないコンセプトライブにすると明言した。

 “原初の理想像”とは、まさにこの『“THREE”』で体現したLyu:Lyuからの延長線でもある。万雷の拍手によって迎えられ3人はダブルアンコールに「花よ花よ」を選んだ。予定にないダブルアンコールに、埋まっていたフロアは元の形を崩していた。全灯するライトに照らし出されるステージとフロア。各々がそれぞれの場所で、CIVILIANが放つメッセージを受け止める関係性は、「1:1」であり、これからも彼らはファンにとっての救いの存在であり続けるのだと思う。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

アプリで読む