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劇的な演目を揃えて国立文楽劇場が開幕

ぴあ

20/1/2(木) 0:00

初春文楽公演

国立文楽劇場では、1月3日(金)に新春文楽公演の幕が開く。

午前11時開演の第1部は、『七福神宝の入舩(しちふくじんたからのいりふね)』でおめでたく新年を寿いだ後、『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)土佐将監閑居の段』。竹本津駒太夫が80年ぶりに竹本錣太夫(しころだゆう)の名跡を復活させる晴れの舞台だ。吃音というハンディを背負いながら、愛妻おとくの支えと師匠の土佐将監の厳しい愛情によって、芸の道をついに自ら切り開く浮世又平の物語は、襲名披露狂言にふさわしい。又平の人形を遣うのは桐竹勘十郎。

続いての『曲輪文章(くるわぶんしょう)吉田屋の段』は、新年を迎える準備に忙しい大晦日が舞台。揚屋・吉田屋はただでさえ賑やかな遊郭の雰囲気に加え、正月のしつらえで華やかさを増す。そこへ、勘当され紙衣を着るまでに零落した藤屋伊左衛門が、馴染みの遊女・夕霧に一目会いにと訪れる。今の伊左衛門は一銭ももたない。それなのに態度は豪商の若旦那そのもの。以前と変わらないアンバランスが笑いを誘う。大阪のぼんぼんの能天気さが、なぜか憎めない。最後は勘当が解かれ夕霧の身請けの金も届くので、幸せな気分で劇場を後にできる。伊左衛門を吉田玉男が、夕霧は吉田和生が遣う。吉田蓑助も女房おきさの役で出演。太夫は伊左衛門が咲太夫、夕霧が織太夫。

午後4時開演からの第2部は『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』。「女忠臣蔵」とも呼ばれている作品だ。奥向きを預かる局岩藤(玉男)が横領に関わる密書を落としてしまい、それを町人出身の中老尾上(和生)が拾ったことから、尾上へのいやがらせがエスカレートする。草履で打たれ辱められる『草履打の段』が有名。後半は、尾上の召使お初(勘十郎)が活躍する。

もう1本の『明烏六花曙(あけがらすゆきのあけぼの)山名屋の段』は新吉原を舞台とした遊女・浦里と彼女をめぐる3人の男たちの物語。浦里を吉田勘彌が遣う。語りは豊竹呂太夫、三味線鶴澤清介。

新春文楽公演は1月26日(日)まで。

文:仲野マリ

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