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サザンオールスターズはいかにして大衆の支持を得たか 40周年迎えた2018年の活動を振り返る

リアルサウンド

18/12/31(月) 16:00

 先日、パシフィコ横浜で行われた桑田佳祐の『ひとり紅白』に駆けつけたところ、サザンオールスターズの面々が登場する場面もあり、2018年はこれにて締め括ると思いきや、その直後、NHK紅白歌合戦への出場が発表された。

 この原稿を書いているのはまさに直前だが、どんなパフォーマンスとなるのだろう。彼らは紅組・白組のトリが終わったあと、特別枠で「勝手にシンドバッド」と「希望の轍」を演奏するという。ちなみに、僕が2018年に接した“シンドバッド”は原点(?)に戻り、サンバダンサーを従えての演奏だったが、紅白ともなれば、大胆かつ新たな発想も飛び出しそうである。期待は膨らむばかりだ。

 以下、2018年を振り返りつつ書きたいが、彼らのオフィシャルサイトでデビュー記念日のカウントダウンが始まったのが5月16日のこと。迎えた6月25日と翌日に、NHKホールで『サザンオールスターズ キックオフライブ 2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」』が開催された。アリーナやスタジアム以外でサザンが観られるのは稀なことだが、最初の音が出た瞬間から、それは紛れもなくサザンそのものであり、このバンドが音楽へ向かう際の瑞々しい精神性は、まったく変わっていないことが確認できた。

 夏になり『海のOh, Yeah!!』がリリースされる。単なるベストではなく“プレミアムアルバム”と称されたが、反響の凄さをみれば、まさにその名の通りであろう。40年の歴史の後半にあたる、ここ20年間の楽曲が集められ、エバーグリーンな名曲が多数あるのはもちろん、時代の断面をスケッチしたもの、バンドが次のステップへ向かうためのチャレンジを含め、多彩な内容であった。さらに嬉しかったのは、3曲の新作を含んでいたことだ。

 すでに6月に配信でリリースされていた「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」は、今という時代に頑張る者へのエールであり、その際、社会の暗部へも目を向ける問題作だった。それでいて、ふと口ずさみたくポップス性も兼ね備えていたのである。

 一転して、「壮年JUMP」はアイドル賛歌でありつつも、現代のエンターテインメント業界を捉えた、2018年版のサザンのメッセージソングとも受け取れる。三ツ矢サイダーのCMソングであることも意識され、〈シュワ シュワ〉と、コ−ラスからも爽やかな泡が弾けていた。テレビ出演では、ダンサー達も加わって、エンターテインメントの粋を集めたパフォーマンスを披露した。

 「壮年JUMP」はコミック誌の名をもじったものであり、その『週刊少年ジャンプ』とは、コラボレーション号を作成した。一方、同時期に老舗総合雑誌『文藝春秋』での大特集が実現する。興味深いのは、ジャンプでも文春でも、サザンはそれぞれの読者対象に馴染んでしまうことだ。彼らが幅広い層に支持されている証だ。

 もうひとつの新曲「北鎌倉の思い出」は、映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の主題歌として、映画の舞台となった鎌倉と、そこに展開される物語を包み込んでいた。真っ直ぐさと艶やかさをたたえる原由子のボーカルが、スクリーンにもマッチしていた。

 『海のOh, Yeah!!』リリース後の大きな動きは、13年ぶりの出演となった 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』である。これ以上ないほどに鉄板なセットリスト。7万に届かんばかりの人々が詰めかけ、大地が揺れた。バンドの演奏も絶好調のさらに上をいく神がかったものとなる。そのままツアーにも出掛けられそうなほどであった。

長袖の季節がやってきて、サザンの話題も一段落と思いきや、10月には『茅ヶ崎サザン芸術花火2018』が開催されている。彼らの名曲が、花火とともに天空へ打ち上げられ、それを見上げつつ、40周年を祝福した。

 ここにきて、もうひとつ、話題が増えた。サザンとは別に、桑田佳祐 & The Pin Boysを結成(とはいえボウリングを愛する人全てがThe Pin Boysというコンセプト)し、ボウリング競技の普及と発展を願い、「レッツゴーボウリング」を元旦にリリ−スするのだ。自らが旗振り役となった史上最大規模のボウリング大会『KUWATA CUP 2019』の予選は既に始まっており、2019年2月10日の決勝大会を待つのみだが、本作はその公式ソングでもあり、ボウリング機構からは「日本ボウリング競技 公式ソング」にも認定されている。まさに心弾むジャングルビートが最高で、これを聴きながらボウリング場へ向かえば、連続ストライクも間違いなしの作風である。いや、ただ聴くだけでも、桑田の音楽的ルーツも垣間見られる興味深い作品なのだ。

 サザンの春からのツアーに関しては、もう少ししたら、具体的なことも発表となるだろう。(文=小貫信昭)

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