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『シャザム!』はどんな作品に仕上がっているのか? デヴィッド・F・サンドバーグ監督に聞く

リアルサウンド

19/3/21(木) 12:00

 DC映画『シャザム!』が4月19日に公開される。『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『マイティ・ソー バトルロイヤル』でファンドラルを演じ、マーベル・スタジオ作品にも出演した経験のあるザッカリー・リーヴァイが主演を務める本作は、“見た目がコドモで中身がオトナ”という異色のヒーローの活躍を描いたコメディ・アクションだ。

参考:『シャザム!』プロデューサー、ザッカリー・リーヴァイとシャザムの共通点を明かす

 今回リアルサウンド映画部では、4月5日の全米公開を前に、未だベールに包まれた本作の秘密を探るため、監督を務めたデヴィッド・F・サンドバーグに電話インタビューを行った。『ライト/オフ』や『アナベル 死霊人形の誕生』などホラー映画でその手腕を発揮してきた監督は、『シャザム!』をどのような作品に仕上げたのかーー。

ーー映画の公開まで数週間と言ったところです。ワールドプレミアなど海外メディアの反応は上々ですが、現在の率直な気持ちを教えてください。

デヴィッド・F・サンドバーグ(以下、サンドバーグ):本当にワクワクしているし、観てくれた人たちが本当に気に入ってくれているみたいでホッとしているよ。公開後についても、みんなにとって初めてのキャラクターを紹介できることに、とてもワクワクしているとこだね。1940年代にはスーパーマン以上の人気を誇っていたキャラクターが、しばらく忘れられていたんだ。それを再びこうやってその存在をお届けできるのは、僕にとっても大変光栄なことだ。だってシャザムは最高のスーパーヒーローの1人だと思うからね。

ーーアメコミヒーロー映画に関しては、もともと興味があったのでしょうか?

サンドバーグ:子供のころからスーパーヒーロー映画が大好きで、リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』をはじめ、ティム・バートン監督の『バットマン』シリーズも大好きだし、DCもマーベルもヒーロー映画は全部観ているよ。コミックスも大好きだけど、子供のころはヨーロッパで育ったから、アメコミだけでなくヨーロッパのものも読むし、日本のマンガももちろん読むよ! 『銃夢』も大好きだから、『アリータ:バトル・エンジェル』も早く観ないとね(笑)。

ーーぜひ観てください(笑)。今挙がったような作品の中で、今回の『シャザム!』に何か具体的に参考にしたものはありますか?

サンドバーグ:すでに観たヒーロー映画は自分の中に取り込めているから、今回のために何かを参考にしたということはないけど、シャザムはスーパーマンと特別なつながりのあるキャラクターだから、ザック・スナイダー監督の『マン・オブ・スティール』やリチャード・ドナー版『スーパーマン』は気には留めていたかもしれないな。もちろん似せようという意識はなかったけどね。

ーーちなみに、本作のオファーが来たときの心境はどうでしたか?

サンドバーグ:驚いたよ。ホラーしか手がけていなかった自分のところに話が来るなんて夢のようだったし、もちろん断ることなんてできなかった。ちょうど『アナベル 死霊人形の誕生』の編集を終えようとしていた頃に、『シャザム!』に興味がないかと連絡があったんだ。スタジオはブラックアダムを敵にしていたんだけど、少しストーリーが大きくなりすぎてしまって、これはまずシャザム単体を観客に紹介してからもっと大きな話に広げた方がいいんじゃないかと考え方を変えたんだ。その結果、単体でいくとなった時に、僕に話が来たんだよ。そこから一からストーリー作りをしなくてはいけなかったから、スタジオと脚本家と自分とで週に1回くらいのペースで会いながら、ストーリー打ちみたいなことを繰り返していく作業をしたんだ。その作業はとても密で楽しかったよ。僕がこれまで手がけてきた作品よりとても規模の大きい作品だけど、自分のことを監督にと思ってくれたことはすごく嬉しかったね。

ーーDCエクステンデッド・ユニバース(以下、DCEU)の過去作品はどの程度意識しましたか?

サンドバーグ:DCEUの作品はすべて観ていたし大ファンだったけど、これまでの作品の要素を取り入れなくてはいけないという制約があったわけではなく、あくまでこの作品はシャザムの物語を描くものと思って向き合ったんだ。逆に、イースターエッグとしてDCのキャラクターや、これまでに起きたことをちょっと入れていく作業はとても楽しかったよ。ビリーの世界では、バットマンやスーパーマンが存在して活躍しているという設定だから、当然おもちゃ屋に行けば彼らのフィギュアなんかが売られていたりするし、ビリーはヒーローになるけど、最初は普通の少年で、そういったスーパーヒーローの物語を一般人の視点から描けたのも楽しかったよ。

ーーDCEUで前作にあたる『アクアマン』は、あなたが監督を務めた『ライト/オフ』『アナベル 死霊人形の誕生』の製作を担当したジェームズ・ワンが監督を務め、大ヒットを記録するなど大成功を収めましたが、今回本作を手がけるにあたって彼とは何か話をしましたか?

サンドバーグ:実は『アクアマン』も『シャザム!』と同時に制作されていて、彼らはオーストラリアで撮影していたから、ほとんど話す時間がなかったんだ。ただ、撮影が終わって編集の段階で、『アクアマン』の編集の現場を訪れて編集作業を見せてもらうことができた。特に、『アクアマン』の水中の戦闘シーンと『シャザム!』の飛行しながら戦うシーンの撮り方、やり方が似ているところがあるから、そういうところを話し合ったりはしたよ。

ーーシャザムはマーベルにおけるデッドプールのような立ち位置に見えるという声もありますね。

サンドバーグ:たしかにユーモアという点で、『デッドプール』はとても面白いし、笑えるから好きだけど、あの作品でやっているような、第四の壁、つまり観客に自分たちがこの世界にいるとわかるような、直接カメラ目線で話しかけたり、起きていることをネタにしたりするようなことは『シャザム!』ではやりたくなかったんだ。もっと誠実なトーンで作品を作りたかったし、『デッドプール』みたいなネタの作り方はすごい面白いんだけど、キャラクターの感情の深いところまで観客に感じてもらえるのか、伝えられるのか、より難しくなってしまう。だからこの作品では軽妙になりすぎずにドラマを描きたいと思ったんだ。この作品は、ビリーが母親を探す物語でもあるし、胸にぐっとくるような感動するシーンも入っている。だからカメラ目線のようなことは一切やっていないし、伝統的なドラマのような作り方に近いよ。

ーーなるほど。演出面では、これまであなたが撮ってきたホラー映画的な要素は、今回の作品にも反映されているように感じました。

サンドバーグ:そうだね。今回はホラーの要素を少しだけ滲ませるようにしたんだ。すべての人に観てもらえる作品にしたかったから、あまり怖くしすぎてはいけないという思いがあったからね。自分も大好きな『インディ・ジョーンズ』とか『ジュラシック・パーク』なんかは家族で観られる映画だけど、ちょっと怖いところもあったりする。そのぐらいを目指していたんだ。自分にとっては、ホラータッチを感じられる作品にできたことは楽しいことだったよ。

ーー確かに、想像以上にコミカルな要素が満載だったこと、また子供たちが中心となった物語もいい意味で予想を裏切られるサプライズでした。本作において最も大事にしたことはなんでしょう?

サンドバーグ:一番大切にしたのは作品のトーンなんだ。ユーモアがしっかりとありつつも、ドラマもきちんと成立させたいから、軽くなりすぎないようにというバランスがとても重要だった。ビリーは養子で母を求めているというストーリーがあるから、ドラマも誠実に描いていきたかったんだ。だから、笑いに寄りすぎず、ドラマの重さがバランスよくあることをとても大切にしたよ。でも、「これは面白い」と思ったらやっぱり入れたりなんかして、だからこそバランスというのは気を付けなければならなかったんだよね。

ーーそういう意味でも、今回の作品は、あなたのフィルモグラフィにおいても新たな一歩となる作品になりそうですね。

サンドバーグ:確かにこれまでの2作品とは少し毛色の違う作品になったね。でも、もとからヒーロー映画は大好きで、いつかやってみたいと思っていたから、これからはもっといろんな種類の作品を作っていければというのが僕の願いだね。ひとつ言えるのは、ジェームズ・ワンは『ワイルド・スピード SKY MISSION』を撮ったけど、僕は車の映画が好きじゃないから、そういうのは絶対やらないよ!(笑)(取材・文=宮川翔)

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