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ITZYの新作『IT’z ICY』にパク・ジニョンが参加 TWICEでも取り入れた“空欄を埋める”手法を解説

リアルサウンド

19/8/3(土) 8:00

 2019年のK-POPシーンの主役と言えるほどの活躍ぶりを見せる女性5人組・ITZY(イッジ)が、待望の新作『IT’z ICY』をリリースした。これほど「待望」という言葉が似合うグループは久々である。デビュー直後にスターダムにのし上がった新人は過去にもたくさんいるが、彼女たちの人気はそれ以上だ。短期間で国民的人気を手に入れたニューフェイスゆえに新作がどんな内容なのか、周囲の期待は他のアーティストよりも相当高い。

(関連:“BTSの弟分”TXTと“TWICEの妹分”ITZY、先輩グループとの違いと魅力は? デビューを機に考える

 ITZYは、TWICEの妹分として今年2月にJYPエンターテインメントから颯爽と登場。デビュー曲「DALLA DALLA(違う違う)」はいきなり主要チャートの1位に。韓国で最も権威のあるチャート・GAONの上半期デジタルチャートでは堂々6位にランクインしている。これはK-POPガールズグループの中でトップの成績だ。ちなみに世界中で大ヒットしたBTSの「Boy With Luv」が同チャートで14位。彼女たちの人気がいかに凄いかがわかるだろう。

 ハウス、EDM、ヒップホップなどをミックスしたキレのいいサウンドをバックに、女性の自立を力強く主張した「DALLA DALLA(違う違う)」は、FRIDAYF R.とCHANGのプロデュースチーム・星たちの戦争(GALACTIKA)が手掛けている。それなりのキャリアがあるチームではあるものの、知名度は正直なところ、いまひとつ。大型新人のデビューシングルに起用されたのは快挙と言っていい。だが彼らはその期待に応えて個性的なダンスポップを作り、多くのリスナーを引きつけることに成功している。

 ITZYが満を持して放った『IT’z ICY』は5曲入りのミニアルバムだ。リードトラック「ICY」は複数のコンポーザーが関わっているが、JYPエンターテインメントの代表を務めるパク・ジニョンが中心となって制作しているという。彼が新人の2作目、しかもメインの曲に参加したことはかなり驚く。活動開始からしばらくの間は他の人に楽曲を任せるのが最近のパク・ジニョンの美意識だと思っていたからだ。

 TWICEの場合、パク・ジニョンはグループのデビューから1年半ほど経ってリードトラックの制作に関わっている。最初の提供曲は「SIGNAL」(2017年5月リリース)。ファンキーなイントロは彼好みだが、サウンドのベースは様々なコンポーザーが作り上げてきた“明るく元気な女の子たち歌うキュートなサウンド”路線をしっかり守っているのが印象に残る。

 続いて提供した「What is Love?」(2018年4月リリース)も同様だ。持ち前のソウルフルなフィーリングは控えめに、チアリーディング風のかけ声や親しみやすいシンプルなメロディラインなど、最初から最後までTWICEらしさをアピールする。他の人に委ねるのがいいとは思いつつも、やはり自分も参加したい、でもせっかく成功しているのだから従来のイメージを壊してはいけないーー。おそらくそんな思いがあって「SIGNAL」や「What is Love?」のような作風になったのかもしれない。

 ITZYの楽曲も同じ気持ちで関わっているのだろうが、やはり時期的に早すぎるという印象は否めない。彼女たちのポテンシャルの高さが想像以上だったのか、いてもたってもいられずに曲作りに関わったのかもしれない。「ICY」は計8人のコンポーザーの共作となっている。この曲はパク・ジニョンが考案した“空欄を埋める”手法で作ったのではないかと思う。同様の手法はTWICEの「The Best Thing I Ever Did(今年一番よくやったこと)」(2018年12月リリース)ですでに試されている。

 “空欄を埋める”手法とは何か。それはまずパク・ジニョンが核となるフレーズを作り、ブリッジなど残りの部分を他のコンポーザーが埋めていく作業を指す(参考:Kstyle)。この進め方によって出来上がった楽曲は、1人で作るよりもサウンドの奥行きが広がり、味わいも深くなる。確かに「ICY」を聴くと、サビの部分やTWICE風のかけ声はJYPらしさがあるものの、トライバルな香りが漂う凝ったサウンドメイクは、共作者のダニエル・シーザーとルドヴィク・リンデル(代表曲:Red Velvet「Red Flavor」「Zimzalabim」など)の貢献度が高そうだ。

 常に現役のアーティストでありたいパク・ジニョンが、「ではどうしたらそうなれるのか」を考え続けた結果、“空欄を埋める”手法にたどり着いたのだろう。TWICEのクリスマスシーズン用の曲「The Best Thing I Ever Did」で試して確かな手応えを得た彼は、「ICY」で本格的に導入した。先ほど「いてもたってもいられずに曲作りに関わった」と書いたものの、本当はITZYのデビュー前に早いうちから積極的に楽曲に関わっていくことを決めていたのかもしれない。彼は多くのトレンドを生んだ一流のアーティストである。リスナーよりもっと先を見て行動していてもおかしくはないのだ。(まつもとたくお)

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