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まふまふが音楽シーンの歴史を変えるか 時代の必然として生まれたネット発アーティストの活躍

リアルサウンド

19/7/31(水) 18:00

 2019年、ネット発の表現者が日本の音楽シーンの歴史を変えようとしている。そんななか、まふまふの活躍が目覚ましい。

 いや、もともとまふまふはすごかった。2010年からニコニコ動画で“歌ってみた”を投稿するやいなやシーンを代表する存在となり、オリジナルのボーカロイド作品『明鏡止水』(2013年)、自身によるオリジナル曲の歌唱アルバム作品『明日色ワールドエンド』(2017年)での大ブレイク。自ら歌唱、作詞、作曲、編曲、演奏、エンジニアリングまで行う、マルチな才能を発揮する逸材なのだ。

【MV】サクリファイス/まふまふ かつて神だった獣たちへOP主題歌

 まふまふの歌声には特徴がある。ボーカロイド作品そのままの“高さ”を体現する人智を超えた高音表現はもちろん、作品の解釈に応じてキーを自在に操るボーカリゼーションの妙。繊細かつ強靭。アンビバレンツな魅力を、作品が持つ説得力を最大限に発揮する形で表現するエンターテイナーであり、唯一無二のアーティストなのだ。

[MV] 輪廻転生/まふまふ [オリジナル曲]

 疾走感溢れるロックサウンドはもちろん、和のテイストを感じさせる歌詞世界や、懐かしさを刺激するメロディの芳醇さにも注目したい。90’s J-POPや邦楽ロックファンなど、世代を超えてより強固なマーケットを飲み込む可能性を感じる表現センス。歌声のすごさ、ライブ表現の凄みなど、ロックフェスシーンでの活躍、世代を超えていく浸透も期待したいところだ。

夢のまた夢/まふまふ 【Music Video】

 現在、Twitterフォロワー数が160万人近く、YouTubeでは180万人を超える登録者数を誇る。中国の動画サイトbilibiliでも登録者数が30万を超えるなど、日本のみならず海外でも支持を得ている。躍進の決定打となったのは2017年10月にリリースしたソロアルバム『明日色ワールドエンド』での高評価だ。注目したいのがアルバムラストに収録された「終点」が持つ“ギリギリの精神性”を歌うナンバー。青春の葛藤、苦しさを吐露することで、逆説的に今を生きるべきと歌うメッセージ。もしかしたらアイコンとなるイラストキャラクターが持つイメージは、ゆるふわに見えるかもしれない。YouTuber的にバラエティに富んだ動画投稿活動にはキラキラな陽キャを感じられるハイブリッドな一面もあるが、しかし、まふまふの本質を、深遠なる闇を「終点」に感じたのだ。 

[MV] 終点/まふまふ [オリジナル曲]

 そして邦楽ロックファンに聞いて欲しいのが「とおせんぼう」だ。〈嫌われるより嫌われ未満が怖い〉というパワーワードが胸を突き動かす。爪弾かれる煌めきのギターサウンドと、自己嫌悪に落ちるメンタルが相反しながらも絡まり合い疾走するビートが、心の痛みをえぐり胸に刻むロックチューンに昇華する。

【MV】とおせんぼう/まふまふ

 さらに注目すべきは、その幅の広い音楽的センス。童謡のように甘酸っぱい世界観を生み出す物語的にキラキラしたポップチューン「水彩銀河のクロニクル」では、より繊細に歌詞世界を儚い気持ちを揺さぶるように紐解いていく。

【LIVE】まふまふ – 水彩銀河のクロニクル/幕張メッセ

 そんななか、今年の10月16日には、最高傑作と噂される2年ぶりのソロアルバム作品『神楽色アーティファクト』をリリースする。テーマは、自然と人工物の対比であり“先天的存在はもちろんのこと、後天的に生み出されたものも、絶対的何かの掌上である”という哲学的なメッセージだ。アルバムとしては本作より、気鋭のレーベル・A-Sketchからのリリースとなることにも注目したい。

【MV】忍びのすゝめ/まふまふ

 また、盟友であるそらると結成し、まふまふがボーカルと作詞、作曲、編曲を担当するユニット・After the Rainでの快進撃も忘れてはならない。After the Rainは今夏8月24・25日、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて2DAYS公演『After the Rain 2019 ~真夏のそらまふ大発生!!@富士急ハイランド~』を控えている。人気アニメ作品とのタイアップを実現するなど、軒並みチャートシーンを席巻。2ndアルバム『イザナワレトラベラー』は発売初週の売上枚数が88,280枚を突破するなど自己最高記録を更新中だ。

【MV】アンチクロックワイズ/After the Rain(そらる×まふまふ)【クロックワーク・プラネットED】

 2018年末、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出演した米津玄師が突破口となり道を開いたメインストリームでのネットシーン発アーティストの活躍や、成長著しいEveなどネット発音楽アーティストたちが邦楽ロックシーンを騒がせているが、時代の必然として生まれた表現者、まふまふによるシーンへのトドメ=会心の一撃となる一手から目が離せない。

 そんなまふまふのライフワークとなっていた主催イベント『ひきこもりたちでもフェスがしたい!』シリーズはこれまで、さいたまスーパーアリーナ、そして『ひきこもりでもLIVEがしたい!』は幕張メッセ国際展示場9~11ホールで開催し、成功してきた。

 今年、6月22、23日には、初のドーム公演としてメットライフドーム(西武ドーム)での2DAYSライブも開催した。初日は、まふまふによるソロ公演『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~』であり、2日目には“歌い手”である15人の仲間、そらる、天月-あまつき-、佐香智久(少年T)、うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラ、あらき、un:c、nqrse、luz、Eve、Sou、シークレットゲストのめいちゃんを迎えてのフェス形式『ひきこもりたちでもフェスがしたい!世界征服Ⅰ@メットライフドーム』としての宴となった。

 ライブでは、ロックでシリアスな面だけではなく人気曲「すーぱーぬこになりたい」など、サービス精神旺盛にネットカルチャーらしい底抜けに楽しいユーモラスなポップチューンを堪能させてくれるのがまふまふの魅力だ。例えるならば、80年代を駆け抜けたロックバンドBOØWYでいうところのライブハウス時代を代表する「ON MY BEAT」のような、外せないルーツに根ざした曲なのだ。ネガティブ&ポジティブ、クール&キュート、陰&陽、両面あってのまふまふなのだと思う。

【MV】すーぱーぬこになれんかった/まふまふ【セルフカバー】

 クリエイティビティが止まらないネット発音楽シーン。ときには“歌い手”という呼称を避けたがる人も多い。それはそうだと思う。彼らには自作曲も多いのだから。シンガーのみならず、さらなる才能、そして、詞曲を手がける表現者であることに誇りを持っているのだ。しかし、自らの出自と向き合い、まふまふは“歌い手”と呼ばれてきた才能=仲間を一堂に集め、メットライフドームで宣言した。「ここにいる14人は、この界隈をもっと大きく拡げること、もっと開拓すること、もっと先へ行くこと。それを常に志しながら、この界隈の為に活動している人たちです。つまり“僕が考えた最強の14人”です! ここらで一言、言わせていただきます。革命は成った! まだまだいけるよな!! 世界征服するぞ!!!」、と。

 両日で約7万人を集めた驚異の無血革命となったのだ。

 ネット発カルチャーがたどり着いた、ジャパニーズポップ史に残る大事件は、2019年の音楽シーンに地殻変動が起きつつある証となるだろう。誤解を恐れずにいえば、90年代以降のビジュアル系シーンをまとめ上げ、世界へ向けて牽引してきたX JAPANにおけるYOSHIKI的な求心力をまふまふに感じたのだ。

 最近あったもう一つのターニングポイントは、6月22日ワンマン『ひきこもりでもLIVEがしたい!~すーぱーまふまふわーるど2019@メットライフドーム~』終了後、特別な日だからということで、Twitterで初の顔出し写真をアップしたことだ。これまで、ある種クローズドなネットコミュニティでの戦いだったかもしれない。そんな、まふまふがオープンな世界へ向けて新たな一歩を踏み出したこの行動こそが、一つの決意表明のようにも感じた。結果、コメントは1万超、RTは6万超、いいねは21万超えという圧倒的なバズを生み出したことでまふまふにとっての新たな一歩となったことだろう。

 6月23日、『ひきこもりたちでもフェスがしたい!世界征服Ⅰ@メットライフドーム』ラストに出演者全員で高らかに歌われた「ワールドドミネイション」における圧巻のパフォーマンス。ネット発音楽シーンは、ボカロ文化~歌い手、アニメやビジュアル系、邦楽ロックシーン、フェスシーンなどジャパニーズポップカルチャーを巻き込み、カウンターとしてメインストリームへ大いなるメスを入れようとしている。ここから、まふまふによる革命はさらなる大躍進が加速していくのだ。

【MV】ワールドドミネイション/ひきフェス2019

(ライブ写真=Photos by加藤千絵[ CAPS ]/ 小松陽祐[ ODD JOB ] / 新澤和久 / 堀卓朗[ ELENORE ])

■ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) 
Yahoo!ニュース、J-WAVE、ミュージックマガジン、Spotify、LINE MUSIC、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。会員制サイト『BOØWY HUNT』で、関係者によるBOØWY伝説を裏付けるドキュメンタリー「BOØWY STORY ARCHIVE」を連載中。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。 

■リリース情報
『神楽色アーティファクト』
発売:2019年10月16日(水)
<初回生産限定盤A>(CD+DVD)AZZS-90
価格:¥2,500(税抜)
<初回生産限定盤B>(CD+DVD)AZZS-91
価格:¥2,500(税抜)
<通常盤>(CDのみ)AZCS-1082
価格:¥2,000(税抜)

<初回生産限定盤A DVD収録内容>
・まふまふライブ映像 数曲収録予定
・実写 Music Video
・アニメーション Music Video
・Music Videoメイキング映像
※詳細は後日発表予定

<初回生産限定盤B DVD収録内容>
・まふまふ企画映像 特別版
※詳細は後日発表予定

封入特典:
まふまふ『ファンミーティング&ハイタッチ会』抽選応募受付シリアルナンバー封入
受付期間:10月15日(火)18:00~10月20日(日)23:59
※全形態初回プレス分にのみ封入(対象商品:<初回生産限定盤A>/<初回生産限定盤B> /<通常盤>)
イベント詳細はこちら

発売元:A-Sketch

『神楽色アーティファクト』特設サイト

まふまふ プロフィール
ネットシーンに現れた稀代のマルチクリエイター。
動画投稿サイトやSNSにおいて、圧倒的人気を誇る。
YouTubeチャンネル登録者数180万人以上、Twitterのフォロワー数は160万人近くが登録。
投稿される動画は、オリジナル曲、歌ってみた、バラエティ等多岐にわたっており、YouTube・ニコニコ動画合わせて総再生数8.5億を超えている。
歌唱、作詞、作曲、編曲、エンジニアリングまで行い、また様々なアーティストへの楽曲提供も行なっている。
その類まれな才能と世界観は多岐にわたる評価を受け、中国の動画サイト・bilibiliでも登録者数が30万を超えるなど、日本のみならず海外でも支持を得ている。
なお、肩書きは「何でも屋」である。

まふまふ 関連リンク
公式HP
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