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勅使川原三郎×佐東利穂子、『読書』をデュエット作品として改作上演

ぴあ

「読書」2018年(カラス・アパラタス)より

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ダンスカンパニーKARASを率いるダンサー・振付家・演出家の勅使川原三郎による新作公演「読書 本を読む女」が、6月24日(木)より東京・両国シアターXカイにて上演されることが決定した。

新型コロナウイルスの影響によりヨーロッパでの活動が全て中止になったことを「国内での創作活動に注力する好機」と捉え、年明けから4カ月の間に5つもの新作を発表している勅使川原。まさに、これまで以上に精力的な創作活動の只中にいる彼が今回シアターXの公演のために選んだ題材は、2018年11月に アパラタスでの「アップデイトダンス」公演で初演した『読書』だ。活動の拠点であるカラス・アパラタスでの創作や、勅使川原が芸術監督を務める愛知芸術劇場における進行中のプロジェクトで共に取り組む佐東利穂子が出演し、デュエット作品として改作上演する。

本を読む女=佐東は、さまざまな文学作品、 物語から抜き出されたいくつかの断片を誦じ、 やがて本の中へと没入していくさまをダンスで表現。 ドヴォルザークのロマンス、 弦楽セレナーデ、 コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ、 イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタほか、 さまざまな音楽の響きをもって、読書する者が辿る内面の動きに迫る。

また、2013年より定期的にシアターXで公演を行ってきた勅使川原にとって、ここはより自由な創作ができる場所の一つであり、 その特徴について「一般的な機構の劇場のイメージとは異なる、 個性的な、 まるで大きさがあらゆるサイズに変わる部屋のような空間。 創作上の細やかな仕事を可能にさせ、 創作に集中することができる」と明かしたことも。 シアターXの“部屋のような舞台”で表現される、自室で読書する人のイメージ。本作品では、 自室で読書する人のイメージを表現するが、 が、 創作の過程に、 ここでしかできない何かをもたらすに違いありません。勅使川原の多彩な読書体験と身体感覚に基づいた、 読書にまつわる深い思索と冒険のダンスがここに誕生する。

■勅使川原三郎
アパラタスで創作した『読書』は、 読書する者について考察したダンスであり、 当初は佐東利穂子のソロ作品として上演しました。 オーストリアの作家、 ロベルト・ムージルの『特性のない男』を朗読する佐東の声を基調に、 想像をかき立てる様々な音楽を用い、 部屋の中で読書する者、 その読むという行為を客観的に捉えてダンスとして表現したものです。 今回、 新たにデュエット作品として上演するにあたっては、 読書する者に起こることを、 より主体的に捉えていこうと考えています。
閉じられた本の中は暗く、 空気のない状態であるけれども、 一度開けば、 開かれたそのページには光が差し、 文字が目に触れる。 実際に声で発することがないとしても、 言葉は自身の声、 あるいは登場人物の声として響き、 音響が身体の内に広がっていく。 身体は次第に前のめりになり、 本の中に没入し、 落ちていくような感覚をおぼえる。 その身体は本の中に浮遊し、 徘徊し、 俯瞰し、 会話するーー。
ところが、 読書する者が本から離れ、 言葉が途切れ、 その響きがなくなると、 自由を削がれたかのようにその身体は固まり、 息苦しくなる。 現実の時間感覚に捕われ、 支配されてしまう。 つまり、 読書の中にいる時より、 現実のほうが不自由になってしまう。 しかし、 その状況は逆転し得る。 読書している時の感覚が、 読書をしていない時に再現されれば、 現実はどんどん豊かになっていくーー。 そうも考えるのです。
v ■佐東利穂子
劇場にはその場所ごとに個性、 特徴があるけれど、 近頃はずっとアパラタスでの活動を続けていただけに、 シアターXの空間で公演をすることをとても楽しみにしていました。 というのも、 ここは創作に集中しやすい場所であるとともに、 舞台と客席との距離が近く、 そこを行き来することで作品の題材をあらためて見直したり、 新鮮な気持ちで見たり触れたりすることが、 比較的容易にできる場所なのです。
今回の公演で『読書』を上演することが決まった時、 この作品とこの劇場とが空間的にとても合うと感じました。 けれど、 新たな『読書』の構想が見えてくると、 場所にまつわる事柄に留まらない、 何かが湧き上がってくるのではないかという期待感が高まったのです。

■作品テキスト
「読書 本を読む女」

密閉された本の頁を開く
暗闇だった紙面が明るくなり目が言葉に触れる
声が言葉を飲み込む
落ちるように本の中に吸い込まれる女
無時間の文字空間に身体を失い浮遊
動揺や謎をまとい 理解と無理解に遊ぶ
言葉と音調の密着と分離の繰り返し
読書を止めると沈黙に身体は掴まれ 現実に放りされる
静寂に押しつぶされるが 再び本に戻る
言葉の響きと透明の動きを重ね合わせて
自在に時間を伸縮変形させる
真空を呼吸しダンスする者

勅使川原三郎

【公演概要】
勅使川原三郎 新作公演「読書 本を読む女」
構成・振付・演出・美術・照明・衣装:勅使川原三郎
出演:佐東利穂子、勅使川原三郎
劇場:東京・両国シアターXカイ(東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア1階)

<開催日時>
・6月24日(木) 19:30
・6月25日(金) 19:30
・6月26日(土) 16:00
・6月27日(日) 16:00
※客席開場は開演の15分前
※客席へはチケットに記載の整理番号順にご案内します

<料金(全席自由・税込・入場整理番号付)>
・一般:前売5,000円、 当日5,500円
・学生・シニア(65歳以上):前売3,500円
※学生券・シニア券は各日各10枚ずつ限定。 KARASでの取り扱いのみ、 当日券はありません。

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