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BABYMETALが“接触なし”で快進撃  Perfumeに続くアミューズ系アイドルの行方

リアルサウンド

14/3/6(木) 10:19

 先日、女性アーティストとして史上最年少の平均年齢14.7歳で日本武道館でのワンマン公演を行ったBABYMETAL。2日間連続の同公演ではのべ約2万人のファンを動員、大成功を収めた。さらに2月26日発売の1stアルバム『BABYMETAL』は、オリコン週間チャートで4位、タワーレコードの週間チャートで1位を獲得。そしてiTunes Storeでは、アメリカ、イギリス、ドイツのメタルアルバムチャートで1位、台湾やインドネシアのロックアルバムチャートで1位を獲得するなど、海外にまでその人気は及んでいる。

コンセプトが貫かれ、それが贅沢に表現されていることが魅力

 BABYMETALは、Perfumeと同じアミューズ所属の小中学生限定グループ・さくら学院から派生したユニット。「アイドルとメタルの融合」をコンセプトに掲げ、2010年に学院内の部活動・重音部として結成されたのが始まりだ。メタルテイストの楽曲を中高生の美少女3人が思いっきり歌い、叫び、踊るさまは、それだけでも見るものに絶大なインパクトを残すが、グループの大きな魅力と特徴は、その上で「コンテンツの隅々にまでコンセプトが貫かれていること」と、「それが贅沢にスケール大きく表現できていること」にある。

 まず、楽曲、デザイン、ライブなど、全てのコンテンツにおいて、メタルというジャンルへの敬意が表されていて、そのマナーが徹底して守られていること。スラッシュ、ピコリーモ、インダストリアルなど、メタルのサブジャンルを縦横無尽に取り込んでいて、聴くものの耳を飽きさせない。さらに、メタリカなど海外の有名メタルバンドはもちろんのこと、X JAPAN、聖飢魔II、the GazettEなどの日本のバンドへのオマージュも、そこかしこに散りばめられている。ビジュアル系とも呼ばれる国内のメジャーなバンドをも元ネタに扱っていることで、マニアックになり過ぎず、絶妙なポップ感が表現できていることは、見事なバランス感覚という他ない。できるだけ多くの人が引っ掛かるように、コンテンツの至るところに様々なフックが仕掛けられているのだ。

 また、楽曲制作には特撮のNARASAKIや、THE MAD CAPSULE MARKETSの上田剛士らが、そしてTシャツなどのデザインには、Fear, and Loathing in Las Vegasを手掛けているYutty(KiSS OF DEATH clothing)や、CROSSFAITH、NEW BREED、NOCTURNAL BLOODLUST等を手がけるKAgaMI、そしてマキシマム ザ ホルモンのアートワークの多くを手掛けているデザインチーム・ROLLING CRADLEなどが参加している。ジャンルに造詣の深いクリエーターが関わっていることで、コンテンツに高い説得性が生まれているのだ。

 そうした、プロデューサーのKOBAMETALによりコントロールされた世界観(巨大なマリア像を作ったり、ライブセットも異常に豪華!)を十分に表現できるのは、所属している事務所が、サザンオールスターズ、福山雅治、ポルノグラフィティらを擁する大手芸能プロ・アミューズであることが大きい。オリジナリティ溢れるアイディアと、それを実現できるバイタリティ。なかなか他で真似してできるものではない。

Perfumeとの共通点と今後の展開

 BABYMETALは、武道館2日目に「日本でのメタルレジスタンス第一章を終了した」ことと、ヨーロッパでの公演を行うことを発表した。これにはMOAMETALとYUIMETALが4月から中3になること、そしてさくら学院の最上級生としてその活動に重点を置かざるを得なくなるという理由があるからではないかと、ファンの間で推測がなされている。BABYMETALとしての活動縮小が余儀なくされるなら、いっそのこと海外進出し、的を絞った仕事をして行くのではないか、ということだ。真偽のほどは定かではないが、ある意味ではネームバリューを維持しスケジュールにゆとりを持たせられる、一石二鳥の展開ともいえる。ただその場合、すでにさくら学院を卒業しているSU-METAL(中元すず香)はどうなるのか、という問題がある。もしかしたら、同じく元さくら学院生徒会長・武藤彩未に続いて、ソロ歌手としての展開もあり得るのかもしれない。歌手以外のソロ活動もいいが、あのカリスマ性を感じさせる高い歌唱力を、是非BABYMETAL以外でも発揮してみて欲しいと思わずにはいられない。

 「テクノポップ」「ヘヴィーメタル」と音楽ジャンルを定めていること、アクターズスクール広島出身(Perfumeの3人とSU-METALこと中元すず香)であることなど、BABYMETALは、事務所の先輩アイドル・Perfumeと共通項が多い。海外進出をPerfumeが先んじて行っていることからも、Perfumeで得られたノウハウがBABYMETALの展開に生かされていることは、想像に難くない。

 現在のグループアイドルブームは、AKB48の大ブレイクに由来している。しかしライブアイドルからの成り上がりという観点から見れば、その前のPerfumeの成功がブームの下敷きになっていることは、アイドル史的に見逃してはならない点だ。

 今後BABYMETALがそんなPerfumeを踏まえた上でどのような展開を行うのか。接触(握手会などファンとの直接交流)ありきで成立している今のアイドルシーンにおいて、最初期から接触を全く行わずに成功を収めたBABYMETALは、とても稀有な存在だ。彼女たちが海外や国内でどこまで人気を拡大させることができるのか、注目して行きたい。

■BABYMETAL(べびーめたる)
2010年11月、「アイドルとメタルの融合」をコンセプトに掲げ、結成。メンバーは、SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの3人。昨年は幕張メッセの単独公演で約8000人、3月には武道館で2日間単独公演を行い、のべ約2万人を動員した。今最も急成長を続けているアイドルグループ。
オフィシャルサイト

■岡島紳士(おかじま・しんし)Twitter
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』など。雑誌への寄稿も随時。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」アドバイザー。au公式サイトでアイドルコラム担当。会期中に行われた、全9回の番組&イベントMCも担当した。DVDマガジン『NICE IDOL (FAN) MUST PURE!!!』制作。現在は新シリーズ『IDOL NEWSING』を制作中。
http://nifmp.blog57.fc2.com/

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