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藤田貴大、待望の新作公演「BOAT」開幕

ぴあ

マームとジプシー主宰・藤田貴大の新作公演「BOAT」が、7月16日 (月)に東京芸術劇場プレイハウスにて開幕する。

「BOAT」はマームとジプシーで発表された過去2作、丘の上にある屋敷の三姉妹を描いた「カタチノチガウ」(2015年)、外界から隔絶された街で少女が殺人を繰り返す物語「sheep sleep sharp」(2017年)の完結編として、構想されている。「ここがどこなのか、今がいつなのか」分からない浮遊感の中に、人身売買や暴力的なモチーフが顔をのぞかせる一連のシリーズは、虚構と現実の境目をあいまいに描くことで、作品を通して、藤田の考える世界そのものを浮かび上がらせるような試みだ。

東京芸術劇場 プレイハウスで発表する作品としても、藤田にとってはこれが3作目となる。野田秀樹の戯曲「小指の思い出」(2014)、言わずと知れたシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」(2016)を上演した藤田が、今回初めてオリジナル戯曲を書き下ろすことも、見どころだ。

マームとジプシーは今日マチ子の漫画を原作にした「cocoon」(2013)で初めて、東京芸術劇場 シアターイーストにて公演を行った。その後の東京芸術劇場での公演でも力量を見せ、「ロミオとジュリエット」では時間軸を遡る描写の手法や、主要な登場人物を女性に演じさせるコンセプトに注目が集まった。

「BOAT」のメインビジュアルは、主演の宮沢氷魚、藤田と共に創作を続けてきた青柳いづみ、「ロミオとジュリエット」にも出演した豊田エリー、マームとジプシー初参加となる中嶋朋子が飾っている。初舞台の宮沢は「出演者と共に作品を作っていこうという藤田さんの熱意に感動しました。僕からもたくさんアイデアを出し、唯一無二の作品にしたい」と意気込みを述べている。

常に新しいことに挑戦し続けている藤田が、自らの今後を見据えて作る「BOAT」。藤田は創作によせてこうコメントしている。「これは、寓話でも神話でもなくて、ほんとうのことだとおもっている。現在という、ほんとうのことを、舞台のうえで繰り広げていきたい」。ボートで漂着した人々、そこで繁栄する人々、立ち去る人々、残ることを選択する人々。紡がれる幾層もの情景が、見る者の現在地と現実を揺さぶるだろう。

「BOAT」は、東京芸術劇場 プレイハウスにて、7月16日(月)から26日(木)まで。


文:落雅季子

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