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東北を舞台に生きることの素晴らしさを描く ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』開幕

ぴあ

ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』より

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岩手出身の作家・三浦哲郎の同名小説を舞台化したミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』が10月22日(金)より自由劇場にて開幕。1977年の初演以降、その時代に合わせた様々な要素を加えながら公演を重ね、劇団四季のレパートリーとしても広く知られるが、今回は浅利演出事務所による上演で野村玲子が演出を担う。

同事務所は、劇団四季代表だった浅利慶太の個人事務所として設立され、代表退任後の2015年からプロデュース公演をスタート。2018年に浅利が亡くなって以降は女優の野村玲子が代表を受け継ぎ、浅利演出作品の継承と浅利が構築したメソッドのレッスンを行うなど後進の育成に努めている。『ユタと不思議な仲間たち』は2011 年に起きた東日本大震災の直後、震災で傷ついた子供たちを勇気づけ、心を癒したいという浅利の願いから「東北特別招待公演」として東北3県13都市をまわり、2019年の追悼公演でも上演されている。

物語の舞台は東北のとある山村・湯の花村。父親を亡くした水島勇太は、東京から母親の実家があるこの小さな村に引っ越してくる。しかし、村の子どもたちに馴染めず、いじめられてばかり。しかも皆、勇太を〝ユウタ″ではなく〝ユタ″としか呼んでくれなかった。そんなある日、ユタは寅吉じいさんに地元に代々伝わる〝座敷わらし″の話を教えてもらう。満月の夜、寅吉の言葉に従い大黒柱のある旧家の一室に泊まったユタは、5人の座敷わらしたちに出会い……。

座敷わらしは東北地方に伝わる子どもの精霊で、生きることの叶わなかった悲しみと悔しさを背負い、現世を彷徨っているといわれている。劇中では、ユタが個性ある5人の座敷わらしたちとの交流を通して、生命の尊さや友情の大切さを学び、たくましく成長していく姿が描かれる。また、三木たかし作曲の『生きているってすばらしい』や『友だちはいいもんだ』など、演歌や民謡の要素を盛り込んだ叙情的で親しみやすい名曲の数々と、加藤敬二による振付、柔らかな響きを持つ南部弁の台詞が、作品世界をより優しく胸に染みるものに。生きることの素晴らしさをテーマに描かれた物語をじっくりと堪能してほしい。

文:伊藤由紀子

ミュージカル『ユタと不思議な仲間たち』
2021年10月22日(金)~11月14日(日)
会場:東京・自由劇場

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