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ディズニー最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が描く“ほんとうの魔法”とは? 監督が語る

ぴあ

『ミラベルと魔法だらけの家』 (C)2021 Disney. All Rights Reserved.

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ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ミラベルと魔法だらけの家』が26日(金)から公開になる。本作はバイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ、シャリース・カストロ・スミスが監督を務め、ディズニー作品の王道とも言える魔法とミュージカルが融合した世界と、現代の観客の心に響く感動ドラマを描いている。

『ズートピア』でタッグを組んだハワード監督とブッシュ監督は、脚本家でもあるカストロ・スミスを共同監督に迎えて、家族の物語を描くべく創作を開始。物語の舞台に決めた南米コロンビアの文化やそこで暮らす人々の哲学に触れる中で、日常生活と不可思議な出来事が自然に同居している“マジカルリアリズム”を物語に取り入れることになった。

そこで彼らはコロンビアの山奥にある不思議な力に包まれた場所を舞台に据えた。そこには不思議な魔法の力をもつ大家族マドリガル家が暮らしているが、主人公のミラベルはなぜか魔法の力が備わっていない。ある日、彼女は家に亀裂が入り、この家から魔法の力を消える前兆を見つけ、家族を救うべく奔走する。

マドリガル家の人たちは様々な能力を持っている。植物を成長させ花を咲かせる魔法があれば、巨大な橋を持ち上げる怪力の魔法があったり、自分の気分で天候を変える魔法もある。それらはすべて「キャラクターの感情や人間関係から設定した」とカストロ・スミス監督は説明する。

「この映画において魔法は“外部から押しつけられるもの”ではないんです。家族の中で果たす役割に応じて魔法が存在しているイメージです。長女のイザベラは完璧であることを追求している女性なので花を咲かせて家族や街の人を笑顔にします。次女のルイーサはとても責任感の強い女性なので、それに呼応するように身体の強さが備わっているのです」

マドリガル家の面々は魔法の力をつかって街の人々を助け、みんなから愛される幸福な一家のはずだった。しかし、ミラベルはこの家に亀裂が入っていることを見つけてしまう。本作は制作当初から家族の物語をつくるべく創作が進められたが、その過程で監督たちは「私たちは相手のことをちゃんと見て、ちゃんと理解しているんだろうか?」というテーマを見つけたという。

「魔法の能力を発揮することは素晴らしいことなんだけど、そのことだけで人を見るようになると、その人は“自分のすべてを見てもらえていない”と感じるようになるでしょう。この映画に登場するキャラクターたちは魔法の力に感謝はしているけど、そのことで自分が定義づけられてしまって、自分の中にある別の側面や感情の深い部分、人間的な側面が見過ごされてしまうことに悩んでいるんです」(カストロ・スミス監督)

「家族の中にいると、ひとつの役割を背負いがちで、たとえば姉がいるとしたら“彼女は家族の中でこういう役割を果たしている”と思いがちです。でも、よく考えると見るとそれだけじゃない。この映画のために振り返ってみて、自分は家族のことがよく見えていないし、すべてのことに目が届いてないと気がついたんです」(ブッシュ監督)

家族にはそれぞれ役割がある。お互いにしっかりとしたイメージを抱き、それが大きな信頼につながっている。しかし、みなそれぞれ“ひとりの人間”なので、イメージとは違う側面もあるし、誰にも言えない悩みもある。ジャレド・ブッシュ監督とバイロン・ハワード監督はかつてタッグを組み『ズートピア』を手がけたが、あの映画でも動物たちが暮らす世界を舞台に偏見や、相手をイメージだけで判断しないこと、相手を様々な角度から見ることの必要性が描かれていた。

「この映画も『ズートピア』もミステリー映画のようなものだと僕は思っているんです。相手のことを知っていると思い込んだり、知っている気でいたのに実は表面しか見ていなくて相手のことを深く理解していなかった、ということがテーマになっています。この問題は世界中で私たちが抱えている問題だと思うんです。相手を敵だと思っている場合でも、実は相手のことをちゃんと理解できていないだけだったということがあります。時間をかけてお互いをよく見て、余計なイメージや思い込みを外して理解することができれば、私たちはお互いが思ったよりも近い存在だとわかると思うし、自分はひとりじゃないんだと思えると思います」(ハワード監督)

どんどん成長していくことがディズニーの素晴らしいところ

ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード、シャリース・カストロ・スミス

そこで活躍するのが、魔法を持っていない、でも誰よりも家族を愛し、家族のために行動しようとする主人公ミラベルだ。

「この映画ではミラベルが行動することで、家族それぞれの視点や気持ちが変化していく。彼女の存在がそのきっかけになる。ミラベルは魔法を持っていない。でも、そんな彼女が一番の魔法を持っているんです」(ハワード監督)

魔法を持たないミラベルは劇中で一体、どんな“一番の魔法”を使うのか?そこが本作の大きな見どころになる。なお、本作は『白雪姫』からはじまったディズニーの長編アニメーションの歴史の中で、60作目の長編になるが「どんどん成長していくことがディズニーの素晴らしいところ」だとハワード監督は力説する。

「数年後にはスタジオは100周年を迎えます。自分が子どもの頃に観た作品を自分の子どもたちに観せることで作品が次の世代に引き継がれていく。それは素晴らしいことです。一方でスタジオは常に成長を続けています。『ミラベルと魔法だらけの家』は多様性のある作品で、映画の中に登場する植物や動物、洋服、文化のすべてがコロンビア固有のものでありながら、同時に多様性があります。スタジオのアーティストたちが心を尽くして描くことで、多様性をスクリーンに見事に表現してくれました。それこそがディズニーのレガシーなんだと思います」

本作は長年に渡って築かれた伝統と、さらなる進化を遂げた表現を組み合わせて、『ズートピア』のテーマをさらに進化させながら、軽快で、笑えて、最後には心に響く作品を描き出している。

『ミラベルと魔法だらけの家』
11月26日(金)より公開
(C)2021 Disney. All Rights Reserved.

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