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賀来賢人が個性を磨いた道筋 『今日から俺は!!』ブレイクまでの軌跡を追う

リアルサウンド

20/5/23(土) 8:00

 昨今、CM、ドラマ、映画と引っ張りだこの俳優といえば賀来賢人だろう。まさにテレビで見ない日がないほどの活躍ぶりだ。コメディの奇才と呼ばれる福田雄一監督作品の常連俳優であり、端正な顔立ちと相反する三枚目キャラでブレイクした賀来だが、そのキャリアはコメディにとどまらない。若手イケメン俳優として学園ものに出演していた『太陽と海の教室』(フジテレビ系)、『タンブリング』(TBS系)、『Q10』(日本テレビ系)から、シリアスな作品である『Nのために』(TBS系)、福田組作品でコメディを極めた『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)、映画版の公開も控える『今日から俺は!!』(日本テレビ系)など出演作は多岐に渡る。

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 さらに『スーパーサラリーマン左江内氏』は現在再放送していることもあり、特別総集編の間には『今日から俺は!! 劇場版』(7月17日公開予定)のインタビュー映像が差し込まれている。この特別映像は賀来のファンにとっての楽しみのひとつだろう。今回はそんな賀来にとって、キャリアの礎となった作品を紹介したい。

■『Q10』(2010年/日本テレビ系)

 佐藤健が主演を務め、当時まだAKB48のメンバーであった前田敦子がヒロインを務めた2010年放送の学園ドラマ。脚本は木皿泉、共演者には池松壮亮、柄本時生、高畑充希、蓮佛美沙子といま振り返ると錚々たる顔ぶれが名を連ねる。賀来は本作で佐藤健演じる深井平太のクラスメイト・影山聡役を務めた。クラスでもお調子者らしい姿を見せる聡は、映画監督になるという夢を持ち、高畑充希演じる河合恵美子と恋仲になる役だ。当時の賀来の芝居にはまだ突き抜けたコメディアンぶりはなく、クラスのイケメン高校生といったところ。だが、端正なルックスと、夢を追う少年のフレッシュな魅力で作品を彩る。あどけなさの残る表情や制服姿は、『今日から俺は!!』の三橋とはまた違ったピュアな魅力で溢れていた。この頃はまだ学園ドラマの生徒役のひとりとして脇を固めていた賀来。しかし、確かな演技力と綺麗な顔立ちで注目を集める。賀来はその後もしばらく生徒役やゲスト出演などで途切れることなくキャリアを積んだ。

■『Nのために』(2014年/TBS系)

 湊かなえの推理小説を原作とし、主人公・杉下希美役で現在の賀来の妻である榮倉奈々が主演を務めた。本作での共演が2人の出会いのきっかけとなり、賀来と榮倉は結婚に至っている。賀来は希美の大学時代の先輩にあたる安藤望役で、一つの目的を遂行する仲間でありながら次第に希美に恋心を抱くエリートサラリーマン役を好演した。賀来はこの作品でポジティブさとストイックさを併せ持つ役を演じ、役者としても注目を集める。原作である湊かなえの同名小説は、湊が注目を集めるきっかけとなった小説『告白』(双葉社)からわずか2年後の発売であり、多くの人の目に止まる。こうした背景もあり、作品自体が話題を呼んだことに加えて、賀来の芝居の表現力も素晴らしかったため、彼のキャリアの中でも特に注目される作品となった。

■『今日から俺は!!』(2018年/日本テレビ系)

 賀来が演じる三橋と伊藤健太郎演じる伊藤の、喧嘩ばかりの学園生活を描いた痛快コメディ。2018年に80年代のツッパリを描いた本作は大ヒットとなり、三橋の卑怯でコミカルな様子が老若男女を虜にした。この作品のヒットをきっかけに賀来は大ブレイク。今まで以上にテレビなどでの露出度が増え、役者としての殻を大きく破っただろう。賀来にとって、本作を監督した福田雄一との出会いは大きいものだったという。賀来と福田は本作以前に『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレビ東京系)、『スーパーサラリーマン左江内氏』、映画『斉木楠雄のΨ難』などでタッグを組んでおり、度々“笑い”を追求した芝居で視聴者を楽しませてきた。『今日から俺は!!』公式サイトのインタビューで明かした福田からの言葉「同世代で一番コメディができる俳優になりなさい」は賀来の意識を変え、賀来はさらに役者として躍進した。『今日から俺は!!』の存在が賀来にとって転機の作品となったことは言うまでもないだろう。7月には映画『今日から俺は!!劇場版』の公開も控えており、本作の勢いはまだまだ止まらない。

 賀来はこうして徐々にキャリアを重ね、大きなブレイクを手にした。整った顔立ちでありながら、今まであまりいなかった“二枚目コメディ俳優”のポストを思いのままにし、イケメンでも笑いを追求する芝居で“サムい”空気を作らない演技力を持つことができることを証明する。その背景には、素晴らしい監督との出会いや、自身のひたむきな努力があっただろう。現在は公私ともに順調な様子を伺わせる賀来。新型コロナウイルスの影響で放送日未定となっている『半沢直樹』(TBSテレビ系)への出演も決まっており、本作の放送が待たれる。賀来の個性が光る芝居で作品を牽引する様子を楽しみにしたい。

(Nana Numoto)

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