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ヒプノシスマイク「The Champion」が本格的ヒップホップ曲に 理貴の起用と三者のラップを考察

リアルサウンド

19/2/28(木) 7:00

 「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- Battle Season」で優勝したシンジュク・ディビジョン麻天狼の優勝記念CD『The Champion』が2月27日に発売された。

 男性声優12人によるラップバトルプロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」の第2章にあたるBattle Seasonは、イケブクロ、ヨコハマ、シンジュク、シブヤの4つのディビジョンによるトーナメント戦が展開。CD購入者が各ディビジョンに投票して勝者を決定するユーザー参加型の企画だ。

 決勝にはヨコハマ・ディビジョンMAD TRIGGER CREWとシンジュク・ディビジョン麻天狼が勝ち進んでおり、2018年12月に新宿アルタのKeyStudioにて『ヒプノシスマイク第一回韻踏闘技大會~優勝発表會~』が開催された。新宿アルタビジョンとニコニコ生放送でもその様子が同時中継され、多くのファンが見守る中、シンジュク・ディビジョン麻天狼が優勝していた。

 そして今回リリースされた「The Champion」は、作詞をZeebra、作曲・編曲を理貴とZeebraが手がけていることもあり、トレーラー公開時よりヒップホップリスナーからも大きな話題を呼んでいた。

 Zeebraといえば日本のヒップホップシーンを牽引してきたレジェンドであり、人気テレビ番組『フリースタイルダンジョン』のオーガナイザーとしても活躍中なのでご存知の方も多いだろう。そこで本稿では、現在の日本のヒップホップ/R&Bシーンから絶大な支持を得るプロデューサーの理貴と彼が手がけた今回の楽曲について着目していきたい。

(関連:ヒプノシスマイクが表現してきたラップミュージックの奥深さ 各ディビジョンごとに分析

■次世代を担う気鋭のプロデューサー・理貴

 今や世界にも活動の幅を広げ、日本を代表するラッパーとなったKOHH。マライア・キャリーやフランク・オーシャン、宇多田ヒカルら国内外の大物アーティストの楽曲へ客演し、88rising主催の北米ツアー『88 DEGREES & RISING TOUR』やHi-STANDARD主催の『AIR JAM 2018』への出演などで彼の名を知る人も多いだろう。そのKOHHとともにプロデューサーとしての理貴のキャリアも築かれていったといえる。理貴はKOHHの活動初期から楽曲制作に携わり、理貴がプロデュースした「Junji Takada」や「貧乏なんて気にしない」がスマッシュヒット。現在までに数多くのKOHHの楽曲をプロデュースしており、彼のライブではバックDJも務めている。

 そしてKOHH以外にも、ANARCHY「Run It Up feat. MIYACHI」、BAD HOP「Kawasaki Drift」、加藤ミリヤ「新約ディアロンリーガール feat. ECD」、AK-69「Oh Lord feat. Fabolous」など、近年の日本のヒップホップ/R&Bシーンにおいて話題になったアーティストの楽曲も多数プロデュースしている。

■トラップ曲「The Champion」を乗りこなす三者三様のラップ

 理貴の楽曲の特徴は、USヒップホップシーン由来のトレンド、トラップを取り入れていることにある。トラップは重くて遅めなBPMのビート上に、「チチチチチチ」と連続したハイハットを高速で鳴らして曲に抑揚をつけていることが特徴のひとつだ。そのため、トラップでラップをする際は遅めなBPMとその倍速のBPMの2つのビートを乗りこなす必要があり、非常に高度なラップスキルが求められる。

 そのトラップを取り入れた「The Champion」のビートで、シンジュク・ディビジョン麻天狼の神宮寺寂雷(CV:速水奨)、伊弉冉一二三(CV:木島隆一)、観音坂独歩(CV:伊東健人)の3人がどのようなラップを披露するかがこの楽曲の聴きどころのひとつといえるが、見事にそれぞれの個性を生かした三者三様のラップを披露している。

 1stヴァースの伊弉冉一二三は、最新のフロウを取り入れたホストらしいパーティーラップで勝利を祝い、2ndヴァースの観音坂独歩は、優勝したことによるネガティブな感情を独り言のようにラップで吐露し、不安に押し潰されながらも覚悟を決める心情を上手く表現している。3rdヴァースの神宮寺寂雷は、喋りに近い低音ボイスのラップで今回の勝利の先を見据えた壮大なスケールのリリックを披露し、リーダーとしての自覚を感じさせている。

 Battle Seasonの優勝ディビジョンが決まり、新たな展開が期待される「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」。今後の展開がますます見逃せない。(橋本洋平)

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