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伊藤健太郎が思春期の少年を体現「春のめざめ」本日開幕、「魂を込めて」

ナタリー

19/4/13(土) 7:00

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「春のめざめ」より。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「春のめざめ」が、本日4月13日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで開幕。これに先駆け昨日4月12日、同劇場で囲み取材とゲネプロが実施された。

劇中ではドイツの中等教育機関・ギムナジウムで学ぶメルヒオール(伊藤健太郎)と、友人で劣等生のモーリッツ(栗原類)、そして幼なじみのヴェントラ(岡本夏美)を主軸に、思春期の少年少女たちが描かれる。

本作のストーリーは、アクリル板に囲まれた空間で展開。蛍光灯のような形状の照明が青みがかった白い明かりを落とす中、出演者はグレーや紺色の衣装を身に着け、厳しい規則の中で暮らすドイツの少年少女たちを演じる。彼らはDragon Ashの降谷建志が手がけた音楽をバックに、平原慎太郎の振付によるダンスを交え、性の目覚めや葛藤を表した。

エネルギッシュな演技で魅せる伊藤は、好奇心旺盛で知的なメルヒオールを体現する。岡本は、あめくみちこ演じるヴェントラの母との掛け合いで観客を和ませつつ、子供ができる仕組みを知らないままに妊娠してしまうヴェントラの苦しみを繊細に表現。また栗原は膨大な量のセリフを操り、自ら命を絶ってしまうモーリッツを感情豊かに演じた。

ゲネプロ前に実施された囲み取材には、構成・演出を手がける白井晃、伊藤、岡本、栗原が出席。白井は1891年に発表されたこの戯曲について、「社会との対峙の仕方や、性の悩みは、今を生きている子供たちと何も変わらないと改めて感じました」と思いを語り、「この演目は劇場として大切にし、これからもレパートリーのようにして上演を繰り返したいという思いがあった」と明かす。さらに白井は「キャストの皆さんは今後の演劇界や芸能界を牽引していく若者たちです。僕のダメ出しはうるさいかもしれませんが(笑)、この作品を通して演劇の厳しさも面白さも知ってもらえたら。5年後、10年後にみんなが活躍できるような場を、劇場から作っていきたいです」と、出演者たちに視線を送った。

伊藤は自身の演じるメルヒオールについて「思春期のメルヒオールには共感できるところがたくさんありますが、そこをどう伝えるかが難しい」と所感を述べる。自身2度目となる舞台出演については、「声の出し方や体の動かし方を一から白井さんに教えていただいた。かなり苦戦もしましたが、すごく楽しかった。キャストも素敵な方々ばかりで、ご飯に行っても『春のめざめ』の話ばかりしていました(笑)」と稽古期間の充実ぶりを語った。

初演を観劇してヴェントラを演じてみたかったと言う岡本は、「『やってみたい』なんて軽く言える役ではなかった」と苦笑しつつ「こうしてヴェントラの衣装に袖を通して、お芝居できていることがとても感動的。まだまだな部分もたくさんあって、さっきまでダメ出しされていましたが、全部出し切れるようにがんばりたい」と意気込んだ。

初演から続投の栗原が「新鮮な気持ちで稽古できたし、常に新しい発見があった。欲を言えばもっと稽古したいくらい」と話すと、伊藤からは「マジか!?」と笑いが漏れる。続けて栗原は、新キャストの伊藤との稽古を「毎回お互いが出してくるものが違って、そのキャッチボールが楽しい」と振り返り、「メルヒオールとモーリッツの関係が『春のめざめ』の1つのキー。僕は『健太郎のことを信じよう』と思ってやっています」と語った。

会見では、インタビュアーがキャストらに、最も印象的だった白井の言葉を尋ねる場面も。伊藤は白井の「健太郎の中にあるメルヒオールを作ってくれ」という助言を挙げて「気持ちが楽になって、身動きが取りやすくなった。演じるうえで大切にしている言葉です」と語り、岡本も「白井さんが昨日『ヴェントラを選んだのは僕だから、責任を持つ』と言ってくださった。包み込むような温かいご指導をいただいたと思います」と笑顔を見せる。2人のコメントを受けた栗原は「こんないい話をされたら、僕の言うことなくなっちゃう……」と苦笑しつつ、「僕は『抑えなくていいから、解放して』とアドバイスをいただきました。モーリッツはたくさんしゃべる役なので、エネルギーの使い分けやバランス感覚を教えていただいた」と述懐した。

最後に出席者を代表し、伊藤が「再演ではありますが、僕たちにしか作れない『春のめざめ』をお見せできるように魂を込めてがんばります。ぜひ楽しみにいただけたら」と挨拶し、取材は終了した。

なお出演者には伊藤らのほか、小川ゲン、中別府葵、古木将也、長友郁真、竹内寿、有川拓也、川添野愛、三田みらの、あめく、河内大和、那須佐代子、大鷹明良が名を連ねた。上演時間は約2時間10分。「春のめざめ」のKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ公演は、4月29日まで。本作はその後、5月6日に広島・東広島芸術文化ホール くらら 大ホール、5月11・12日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールでも上演される。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「春のめざめ」

2019年4月13日(土)~29日(月・祝)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

2019年5月6日(月・振休)
広島県 東広島芸術文化ホール くらら 大ホール

2019年5月11日(土)・12日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

作:フランク・ヴェデキント
翻訳:酒寄進一
構成・演出:白井晃
音楽:降谷建志
出演:伊藤健太郎、岡本夏美、栗原類 / 小川ゲン、中別府葵、古木将也、長友郁真、竹内寿、有川拓也、川添野愛、三田みらの / あめくみちこ、河内大和、那須佐代子、大鷹明良

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