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岡田惠和、『ひよっこ』シリーズ化に意欲 「2は“ずっと続けてみたい”というメッセージ」

リアルサウンド

19/3/28(木) 6:00

 有村架純主演がヒロインを務めるNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』の2年越しの続編『ひよっこ2』が3月25日から4日間、夜に時間帯を移し放送される。

【写真】『ひよっこ2』で祝福を受ける有村架純と磯村勇斗

 今回、全4話で描かれるストーリーも放送と同じ2年後が舞台となる。奥茨城村で暮らす谷田部家の人々、東京の赤坂にあるあかね坂の人々はこの2年の間にどんな変化があっただろうか? いろんな想像が膨らむだろう。実際に本作に出演した若手キャストたちは、放送後、映画やTVドラマや、CMにと引っ張りだこ。脚本家・岡田惠和に、彼らの活躍についての想い、そして「時々帰れるホームみたいになれたら」と語る『ひよっこ』のこれからについて語ってもらった。

■「みんなが揃うことで、輪を生む」

ーー『ひよっこ』を脱稿した時も続編はやりたいと話していましたね。

岡田惠和(以下、岡田):僕だけが「やりたい!」と言って実現できるものではなくて、局の体制と出演者みんなの気持ちが揃わないと成立しないものなので、決まった時は嬉しかったです。もちろん作品によって続編を作るのが難しいタイプもあるんですけど、続編を作ることは好きですし、『ひよっこ』のように、ある種の日常系を描く作品は延々と続けられるタイプなので、2とは言わず……というようなつもりで僕自身としてはやっていきたいなと考えています。

ーー今回続編を描く上で一番テーマにしたものは?

岡田:続編やパート2の作品には新しいキャラが登場してかき乱したり、その間に激変していたりすることが多いけど、実際の人間の暮らしの2年って別に何も変わらないですよね。毎年送ってくれる年賀状の子どもの写真をみて、だんだん大きくなっていくなぁと感じる時のような近況報告を視聴者の方に届けられたらなと思いました。無理に変化を起こした続編で、よくわからない流れで物語を進めていくよりは、『ひよっこ』を好きでいてくれた方たちはあの変わらなさをもう1回見たいんじゃないかなと思ったので、それに応えたいなと。せっかく結婚したのにもう夫婦の仲が悪くなってるとか、誰かが亡くなっていたりとかも嫌じゃないですか。人間におけるごく普通の2年後を描くことは、逆に『ひよっこ』だからできると感じていました。2年なんて見た目の変化が大きいのは子どもぐらいですしね。

ーー『ひよっこ』の最終週にはほとんどの人が登場して幕を閉めましたが、2ではその時に見られなかった顔も見れて贅沢だなと感じました。

岡田:2の一番のテーマは全員出るということだったんです。全員と言ってももちろん限りはあるんですけど、基本はあの人どうしたんだろう? って思う人には何らかの形で出ていただこうと。2を制作するにあたって、もちろん僕やプロデューサーが動かなかったら実現はしなかったんですが、やっぱり役者さんたちの「やりたい!」「やるなら出たい!」「いつやるの?」といった空気が僕らの背中を押してくれたんです。あとは自分の役はどうかな? と思ってる人を、一緒に頑張った仲間としてがっかりさせたくないという気持ちもありました。やっぱりみんなが揃うことで、輪を生むんじゃないかなとも思っていて。本当にまたやれたらいいなと思ってるので、ちゃんと全員の足跡を紡いでいきたいなと考えながら書きました。

■「キャストを変えずに次へと紡いでいけたら」

ーー物語の中身はもともと『ひよっこ』の時にすでに浮かんでいたものなのでしょうか? 視聴者の反響なども参考にしていたりしますか?

岡田:もちろん人によっては、2年後に一体この人何してるんだろうね? というような人もいるんですけど、2年で人の暮らしはそんなに変わってないから、基本的にはみんなそれぞれ本編の中の位置からそんなに動いていません。本当ならそれぞれの住んでいる場所とか、例えば乙女寮のリーダーだった幸子ちゃん(小島藤子)は団地に住んでいるので、その団地での生活の様子とか、やりたいと思う場所はいっぱいありましたし、要望もすごくありました。けど、基本的には今のみんなが見れることで納得していただきたい。それと、ちょっと本編で積み残した部分をやれたのは嬉しかったです。

ーー実際に2を執筆している時には懐かしさを感じたりも?

岡田:懐かしさも感じましたし、当時はほとんど全員オーディションで出演していたヒロイン以外の若手たちが、放送後にみんな偉くなっているので(笑)。役者として育っているなと実感しましたし、親心な目線になってしまう部分はありました。みね子(有村架純)の妹と弟が大きくなって今回高校生と中学生になるので。ちよ子は恋をして進路で悩むんだとか、進が学生服着るんだ、と書いていて親戚みたいな気持ちでした。

ーー高ちゃん(佐藤仁美)のダイエットには……。

岡田:一番僕を苦しめました(笑)。一応言及しています、なかったことにはできませんし、りんご農家に嫁いでいるので「りんごダイエット」的な形で(笑)。でも、そのおかげで書いていて面白かったんです。当時はダイエットという感覚がまだなくて、日本人がまだ積極的にカロリーを摂取したい国民だったので、多分、りんごを食べたら痩せますと言ったら売れなかったんじゃないかな。60年代の終わりとか70年代の日本人は、もちろん少しは健康意識を持っていたんでしょうけど、まだやっぱり好きなものを食べていたんだなというのは、高ちゃんを通して勉強させていただきました。

ーー前作の『ひよっこ』が終わった時に、ここは是非続編で描きたいというエピソードは他にもありましたか?

岡田:本当は『ひよっこ』のスタート時には、みね子とヒデ(磯村勇斗)が独立して、荻窪に小さい洋食屋を開くという具体的なところまで考えていたんですけど、いつになってもそこまでは辿り着けませんでした。続編について話し合った時に、ヒデの仕事的に結婚して2年で独立はまだありえないから、そこで無理するのやめようと。仕事は変わっていないけど、夢は持っていて、そこに向かっていくように描けたらいいなとは思っていました。だから、パート2は、僕の中では『ひよっこ』をずっと続けてみたいんですというメッセージでもあります。『北の国から』(フジテレビ系)や『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)みたいなことがやりたいという気持ちがあるんです。そういう作品が持てたらすごく幸せなんじゃないかなと。ただそれには、みんながやりたいと思っていないといけない。パート3から旦那さんが違う人になってるとか嫌だし、キャストを変えずに次へと紡いでいけたらなと考えています。出てくれたキャストたちも本当に2を楽しんでくれたようで、すごく幸せなドラマだなと感じます。

ーー『ひよっこ2』は未来につなげていくための試金石でもあるんですね。

岡田:みね子とヒデは結婚してるから、次は子どもが生まれるのかな? と思うかもしれないけど、それはもうちょっと待ってください。あとは例えば、乙女寮の豊子と澄子が2人暮らししていて、そこもやがてどっちかが恋をするとどうなるんだろうとか、2をやったことで自分の中で将来楽しみだなと思うようなことが沢山ありました。

ーー全員に出演してもらう上で、苦労したところはありますか。

岡田:限られた時間でなんとかやっていただいたので、プロデューサーが一番苦労したんだろうと思います。逆にいうと、嫌だっていう人が1人もいなかったので、こんなにありがたいことはないです。ただ全員を話に絡めていくのはさすがに違和感があるので、参加のしていただき方みたいなことは工夫が必要でしたし、若手がみんな忙しくなっているというのもありましたけど、みんな頑張ってくれました。

■「あの3人が役者としても頑張っていてほしい」

ーー『ひよっこ』も2も終盤のシーンには、必ずみね子と時子(佐久間由衣)と三男(泉澤祐希)の3人が揃いますよね。

岡田:『ひよっこ』のスタート時に集団就職で東京に行く子どもたちの話をやろうと決めた時から、3人がどういう人生を送っていくのか、というのが基本になったんです。その本編の基本に戻ろうと、最後は3人のシーンになって、それが自分たちとしても気持ちがよかったから、今回も最終シーンはあの3人でと決めていました。だからあの3人が役者としても頑張っていてほしいとすごく思うし、そういうドキュメントとしても面白いなと思います。

ーー改めて有村さんの魅力をどんな風に感じていますか。

岡田:完成後に監督と2人でメールし合ったのは、やっぱりみね子すごいよねという話でした。第1話は、奥茨城母の会がメインの回で、主人公としてみね子ははそれほど登場していないんですけど、関係のないシーンや登場人物を見ていても、やっぱりみね子が残るんです。私が私が、と特別前に出ようとする芝居がないからこそ、みんなに好かれるというのは彼女の力だなと思うし、もっとケアをして一つ一つ話をみね子に振らないと違う話になっちゃうということが、ありがたいことに有村さんの場合はやらなくても大丈夫で。周りのみんなが伸び伸びと自分の場を持てるし、物語や登場人物がヒロインのためにいるものではないという作りにさせてもらえているのは、有村架純がヒロインだからだと思います。有村さんの安定感と包容力は今回改めてすごいなと思いましたし、『ひよっこ』が愛されているのは彼女だからこそと思います。

ーー『ひよっこ』後の有村さんの活躍も目覚ましいです。

岡田:やっぱり彼女がすごいのはその間にやった映画とかドラマーー例えばこの間の『中学聖日記』(TBS系)を見ていると、その間はやっぱり僕もみね子を忘れるんです。でも今回、みね子やるとやっぱりみね子なんですよね。そんなに大きく劇的な役作りをしていたり違う役をやるというタイプではないけど、やっぱりその人になるんだなという部分はすごい役者なんじゃないかなと思いました。周りの子が成長していくのも含めて、お互いに色んな仕事をしながら時々帰れるホームになれたら嬉しいです。

(大和田茉椰)

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