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yui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」好調 広告における音楽の重要性を改めて考える

リアルサウンド

20/2/4(火) 7:00

(参考:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest)

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(1月30日公開:1月23日~1月29日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:森七菜「カエルノウタ」
2位:片寄涼太「Possible」
3位:三阪咲「繋げ!」
4位:YOASOBI「夜に駆ける」
5位:Matt「予想もつかないStory」
6位:yui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」
7位:三阪咲「We are on your side」
8位:King Gnu「白日」
9位:落合渉「君が隣にいることいつか当たり前になってさ」
10位:藤井 風「何なんw」

 急浮上した片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)の初となるソロ名義曲「Possible」や、歌番組出演で話題にもなったMatt「予想もつかないStory」も気になるが、今回は6位にランクインしたyui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」について書いていきたい。

(関連:yui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」好調 広告における音楽の重要性を改めて考える

 同楽曲は、くるり「ばらの花」とサカナクション「ネイティブダンサー」のマッシュアップを、yui(FLOWER FLOWER)とミゾベリョウ(odol)が歌唱したもの。この曲が初めて世に出たのは、2019年11月27日のことで、相鉄グループの相鉄ホールディングスが、相鉄線とJR線の相互直通運転が始まることを記念して公開した映像『100 YEARS TRAIN』のテーマ曲として使われていた。しかし、映像公開後、柳沢翔が監督したムービー含め、楽曲自体が大きな話題に。

 この反響を受け、12月25日にはyui (FLOWER FLOWER) × ミゾベリョウ (odol)「ばらの花 × ネイティブダンサー」として、広告用に作られたマッシュアップ曲の配信がスタート。以降はラジオでのオンエアも激増するなど、楽曲として一人歩きし始める、異例の展開となった。

 選曲とマッシュアップ企画・音楽プロデュースは、音楽制作会社・PIANOの冨永恵介が務め、ギター演奏やハーモニー、上モノの編曲作業を、カバー作品で人気のYouTuberアーティスト・コバソロが担当。リズム、グルーヴの骨子となるベース・ドラムをベテランの山口寛雄・山木秀夫が担い、楽曲としても強度の高いものとなっているからこそ、ここまで支持されたとも言えるだろう。

 楽曲については、冨永がメディア向けに出したコメントで、一つ興味深いものがある。

「リフやリズムは合うけど、ばらの花の音価の長めな歌メロに比べ、ネイティブダンサーの歌は上下に動きの多いメロディラインが特徴的で、最初は実はこの2曲は音形的にはあまり相性がよくないかも、とも思っていました。しかし自分の中では、くるりとサカナクション、ばらの花(TEAM ROCK)とネイティブダンサー、彼らにはダンスミュージック、ダンスフロア愛という決定的な共感覚があると個人的に思っているところがあって、であればグルーヴ(:リズム)軸で考えていきさえすれば解決できる、という個人的な根拠のもと、2曲のつながりや流れや分量が自然にバランスするように、展開と構成ひとつひとつ打開策を見出しながらアレンジをすすめていきました」(参照:https://www.sotetsu.co.jp/media/2019/pressrelease/pdf/r19-142-l9q.pdf)

 上記のコメントをもう少し展開させると、この2曲には「バンドサウンドと打ち込みを絶妙に同居させている」という構造上の共通点があるうえ、ダンスフロア対応の楽曲として作られたという背景や、グルーヴの担い手であるドラマー(森信行と江島啓一)、ベーシスト(佐藤征史と草刈愛美)が名プレイヤーであることも似ている。

 また、楽曲のリリース時期は異なるものの、実際にバンドとDJの出番を掛け合わせた2010年代前半のライブハウスイベントでは、時折この2曲を繋ぐ・マッシュアップする光景を、筆者は何度か目にしていたのを覚えている。そうして、世代や場所など関係なく愛された2曲が、時代の節目に広告で使われ、ここまでバズを起こしたというのは、冨永が「ばらの花」と「ネイティブダンサー」をテーブルに並べた時点で、ある種必然だったといえるのかもしれない。

 本稿を書くにあたり、再度映像を見て思ったことでもあるが、柳沢翔の映像も、二階堂ふみと染谷将太の演技も格段に素晴らしく、今回取り上げた音楽含め、この作品は広告クリエイティブとして、ある種の理想型だ。今回のバイラルチャート入りは、改めて「広告における音楽の重要性」を感じることのできる機会だった、と言えるだろう。(中村拓海)

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