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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

SNSリレーと不幸の手紙

毎週連載

第94回

新型コロナウイルスは相変わらず収束の気配を見せないけど、この間「峯田さんはYouTubeとかSNSで何か発信しないんですか?」って言われることがありました。たぶん僕に何かを期待してくれているからこんなことを言ってくれるんだと思うけど、僕はできないんですよねー、YouTubeとかSNSとか。

もちろん、いろんなミュージシャンとかタレントさんがYouTubeとかSNSを使って何かを発信することに対して批判的な気持ちがあるとかではないよ。人それぞれ色んな思いを持っててさ「何かを変えなくちゃいけない」「自分から発信して、良くしていかなくてはいけない」っていう気持ちでやっているのだと思うから。その手段の一つとして、YouTubeとかSNSを選んだ人は、それはそれですごく良いことなんじゃないですかね。

でも、僕の場合はさ、例えばYouTubeとかSNSをやるとなったら、もしかしたら音楽とかをヤメちゃうかもしれないんですよ。

どういうことかと言うとさ、そういった発信をやりながら、同時に音楽もやるっていう器用さは僕には持ち合わせてなくて。自分にとってのマジの発表とか表現っていうのは全部音楽で、それ以外には今のところ考えられないんですよ。またさ、YouTubeとかSNSって、あの活用術を僕は学校でも親からも教わっていないし、取り立てて自分からやってみようとも思わないから、単純にできないっていうこともあるんですけどね。

そのSNSなんだけど、少し前にリレーバトンみたいなのが流行ったでしょう。「ブックカバーチャレンジ」とかね。ああいうの、僕のところには誰からもリレーが回ってこなかったけど、でももし来たとしたら、やっぱり僕のところで止めちゃってたように思います。

これも楽しんでやれる人はすごく良いと思うよ。SNSによって楽しみが増えるだろうし、人の意外な一面を見られたりするんだろうし。でも、僕は子どもの頃からああいうのが、あんまり得意じゃなくてさ。

子どもの頃、不幸の手紙って流行ったでしょ。「この手紙をもらった人は、一週間以内に9人の人に、同様の手紙を渡しなさい」みたいなやつ。あれも学校で僕のところで止めちゃったことがありました。

ある日、学校に行ったらさ、僕の机の中に手紙が入ってるわけです。当然手書きだから、クラスのうち、誰が僕の机の中に手紙を入れたかはだいたい想像がついた。でも、そこで僕は、別の誰かに「あいつから不幸の手紙が来た」とかも言わず、そのまま放置したんです。そしたらさ、その僕に送ったと思われる奴と僕との間で、その後ちょっとギクシャクしちゃったんだよ。向こうにしてみれば「なんで広めないんだよ」ってことだろうけど、こっちとしてはさ「なんで広めなければならないんだよ」です。

こうなると堂々巡りになっちゃうけど、ただ僕がもし不幸の手紙とをやるんだとしたら、もう友だち全員とかお客さん全員にやりたいんですよ。

クラスの中で「みんなもっとがんばろうぜ! 絶対にこのクラスが学年で一番になろうぜ!」って盛り上げる子がいたけどさ、一見それは明るく健全なクラスに見えるかもしれない。

でも、教室の隅っこのほうに目をやると、そういうノリについていけなくてドヨーンとしている暗い子が絶対にいたから。それはなんかイヤなんだ、僕は。また実はその暗い子のほうがメチャクチャ面白くて、メチャクチャ色々なことを考えていたりもするのにね。でも、そういう子はオイテケボリ。それがなんか気持ち悪いんだ、僕は。

それと同じ感じがSNSのリレーには感じたかな。リレーを回す人より、リレーが回って来なかった人のほうが単純に興味があるっていうこともあるんだけどね。

僕自身も十分暗いけど、暗い人の話ってメチャクチャ面白いよね。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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