Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

Netflix、『愛の不時着』など韓国作品ヒットの背景とは? 日本と海外市場では異なる点も

リアルサウンド

21/2/25(木) 19:15

 2月26日、日本の一部報道関係者向けに、韓国でオリジナル作品の制作に携わるNetflixコンテンツ部門バイス・プレジデントのキム・ミニョンのオンライン取材が行われた。

 キム・ミニョンは、2016年にアジアを拠点とするコンテンツ調達・製作を専門にする初のエグゼクティブとしてNetflix入社後、Netflixのソウルオフィス設立を主導し、Netflixオリジナルシリーズ『キングダム』や『恋するアプリ Love Alarm』『人間レッスン』『保健教師アン・ウニョン』『愛の不時着』『梨泰院クラス』『Sweet Home -俺と世界の絶望-』など多くの作品を手がけてきた。さらに、Netflix映画『狩りの時間』『ザ・コール』『スペース・スウィーパーズ』を皮切りに、長編映画のプロデュースにも着手し、現在も世界中のNetflix会員に作品を届ける一方、韓国に加え、東南アジアやオセアニア圏のコンテンツの統括責任者として、アジア各国のクリエイターとの協業を推進している。

 一昨日の2月23日で『愛の不時着』配信開始から1年が経つ今も、『ヴィンチェンツォ』『結婚作詞 離婚作曲』が日本の総合TOP10入り、Netflixにおける韓国ドラマの視聴時間が前年比6倍にまで伸びるなど好調を続けるNetflixの韓国コンテンツ。その人気の理由についてキム・ミニョンは、「韓国独自の感受性の豊かさ、感情のディテールの表現の巧みさが、観客の感情移入につながったのでは」と語る。

 また、日本とほかの海外市場では人気作品も異なるようで、「『愛の不時着』『梨泰院クラス』が人気の日本ですが、日本以外の国では『キングダム』『人間レッスン』『Sweet Home -俺と世界の絶望-』など、よりサスペンス・ホラー色が濃い作品が日本以上に人気です。日本の視聴者の、人の感情を繊細に描いている作品を好むという特徴がこの傾向からも見て取れるのではないでしょうか」と分析した。

 今後の成長維持の方針については、「クオリティ、ボリュームの両方を提供し続けること。バリエーションも増やし続けることで、視聴者の誰もが主人公と自分を重ね合わせられるようにできる環境を作っていきたいです。ロングシーズン化についても視野にはありますが、クリエイティブのクオリティが何より大事だと考えています。グローバルを意識したり、視聴者のターゲットを絞るのではなく、もっとも韓国らしい、韓国にしか作れない作品を作っていきたいです」とコメント。オリジナリティを強く意識するNetflixの姿勢を見せた。

 『梨泰院クラス』『Sweet Home -俺と世界の絶望-』などウェブトゥーン(韓国発のデジタルコミック、ウェブコミックの一種)原作の作品の多さも韓国Netflixの特徴だ。

 キム・ミニョンは「韓国ではウェブトゥーンが大きなエンターテインメント産業になっています。過激な表現や、作品のスケールの大きさが特徴でもあるウェブトゥーンは、これまで既存のメディアでは映像化が厳しい部分があったのですが、Netflixではそうした“実写化の壁”を超えて表現できます。『梨泰院クラス』『Sweet Home -俺と世界の絶望-』などのヒットは、表現の自由を求める人たちとNetflixの良好な化学反応を生み出した結果だと思います」と、ウェブトゥーン作品とNetflixの相性の良さをアピールした。

 今後の海外発信については、「作品に国境はありません。言葉の壁を超えて、視聴者の皆さんにコンテンツを見つけてもらうために、レコメンドのアルゴリズムなどと合わせて、プロモーションの努力をこれまで以上に進めています。まだ、先行事例は多くはないのですが、今後は海外の有名なIP(知的財産)をローカルでリメイクすることも検討しています。例えばスペインNetflix制作の『ペーパー・ハウス』はNetflix内では非常に大きなIPですが、『ペーパー・ハウス』の韓国でのリメイクも検討しています」とそのビジョンを語った。

 最後にキム・ミニョンは『韓国のクリエイターの方々に会う度に無限のストーリーの可能性を感じます。新人のストーリーテラーへの門戸もNetflixでは常に開かれています。Netflixがクリエイターの方々にとって“海外に向かう扉”になれば嬉しいです。最近も、計画したものを着実に実現するインフラ構築のために新たにスタジオを2つ作りました。10年後には、Netflixが韓国のみならずアジア全域で欠かせない“必需品”にしたいと思っていますし、できると考えています」と締めくくった。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む