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SHISHAMO、nano.RIPE、ロザリーナ……『みんなのうた』提供曲の共通点は?

リアルサウンド

19/7/1(月) 7:00

 『みんなのうた』(NHK総合)の8月~9月の放送曲をSHISHAMO、nano.RIPE、ロザリーナが担当することが発表された。『みんなのうた』は1961年に放送が開始された子供向けの5分間音楽番組。NHKを代表する長寿番組であり、これまで数多くのヒット曲を生んできた。

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 注目すべきは、子供向け番組でありながら草創期よりいわゆる少年合唱団などに混じって人気歌手を起用してきたこと。2000年代に入ってからはBUMP OF CHICKENやエレファントカシマシなどバンド勢も加わり、音楽ファンに広くアプローチしてきた。

 ここ1年ほどの変遷を見ると、ピコ太郎の「Can you see ? I’m SUSHI」、鬼龍院翔の「超変身!ミネラルフォーマーズ」、宮野真守の「ぼくはヒーロー」など、子供たちが楽しめるコミカルかつテンション高めな楽曲が並ぶ傍ら、Superflyの「Gifts」、藤田麻衣子の「wish~キボウ~」など聴く者の心に訴えかけるメッセージ性の強い楽曲も目立つ。また、米津玄師が作詞作曲を手掛けたFoorinの「パプリカ」に至っては、『2020応援ソング』(NHK総合)として番組の枠を越えて聴き継がれ、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)や『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でも披露されるなど、今や子供たちのみならず日本中に浸透する楽曲に成長した。話題のスターやアーティストに解釈を委ね、新たな楽曲を生み出していく役割を全うしながら、 “みんな”を意識し、幅広い世代に聴き継がれる歌を届ける。そのブレない姿勢が、長きにわたって愛される所以ではないだろうか。

 その上で、今回抜擢された楽曲を見ていこう。

 まず、SHISHAMOは2017年2~3月に放送された「音楽室は秘密基地」に続き2度目の登板。提供した「君の隣にいたいから」は『第86回NHK全国学校音楽コンクール』中学校の部の課題曲として書き下ろされた。楽曲のテーマについて、作詞作曲を務めた宮崎は「中学生ぐらいの年頃は、勉強ができる、部活ができるなど周りを見ていろいろ感じることが多い時期。比べるのではなく自分の空を飛べばいいんだよということを伝えたくて、こういう曲になりました」とコメント(参照:https://www.youtube.com/watch?v=pgpMjckIncI)。思春期の心に寄り添う、等身大の歌詞が胸に響く。

 また、「みんなのうた」初登場のnano.RIPEが歌う「ヨルガオ」は、夜の間だけ会える“きみ”との不思議な物語を、夜半から朝までしか咲かない花・夜顔になぞらえて書き下ろした1曲。お盆やお彼岸の時期に合う、今はもう会えない大切な人や会いたいけれど会えない人に想いを馳せたくなるような楽曲になっているという。映像作家・外山光男による幻想的なアニメーションにも注目したい。

 そして、こちらも初登場のシンガーソングライター、ロザリーナが手がけるのは、生き物が成育過程で形態を変える「変態」にかけて、迷いながらも自分らしさを見つけて成長していく姿を歌った「I.m.(アイム)」。タイトルの意味は「Incomplete metamorphosis」の略で、日本語に訳すと「不完全変態」とのこと。ロザリーナの個性的な歌声と、クラブサウンドを融合させたサウンド、そして不思議な世界観の歌詞が耳に残る楽曲となりそうだ。

 三者それぞれに違ったアプローチで仕掛ける8月~9月放送の『みんなのうた』だが、共通するのは生きづらさを抱える人への応援歌という点だろうか。自分らしさがわからずもがいていたり、進む道が見えなかったり、孤独を感じていたり。多くの人が心の内に抱える“不安”を丁寧にすくい取り、背中を押すような楽曲が揃ったように思える。

 1998年より『みんなのうた』のプロデューサを務める川崎龍彦氏はNHKアーカイブスの特集記事で「『みんなのうた』はみなさんの心の中でずっと生き続けるものになってほしい」と語っている。これはいつの時代も誰かの支えになるような楽曲を届けたいという、制作サイドの決意の表れだろう。今回その思いに呼応するかのように、これぞ『みんなのうた』と言える楽曲を仕上げたSHISHAMO、nano.RIPE、ロザリーナ。どんな反響を呼ぶのか、オンエアが待ち遠しい。(渡部あきこ)

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