楽園
19/10/14(月)
(C) 2019「楽園」製作委員会
未解決の少女失踪事件を軸にした物語。
ストーリーを追うというよりも、綾野剛、杉咲花、佐藤浩市の3人の演技を見る映画だ。ドキュメンタリーを見ているかのような錯覚に陥るほど、3人とも役を生きている。
綾野演じる青年は、得体が知れない。自分でも自分が何者なのか、よく分かっていない。その不気味さと不安さの表現が見事。
佐藤演じる中年男は、最初は「通行人」的な役なのだが、いつの間にか物語の中心になる。この「いつの間にか」が構成の妙で、よくできている。彼が何気ない行動から村八分にされていく過程が、リアルすぎる。村八分なんて過去の話だと思っていたが、排外的になりつつある「今」の問題なのだ。焦燥と不安が怒りに転じ、絶望から狂気に至る過程を、佐藤は完璧に演じている。
杉咲は、「何もわかっていない女性」という難しい役を、しっかり演じていた。その笑顔が、この映画の救いだ。
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