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THE RAMPAGE RIKUの「音楽大陸」 Vol.10(前編) 埼玉生まれ同い年のラッパーSAMと初対面

ナタリー

左からSAM、RIKU。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・RIKUさんの連載「音楽大陸」Vol.10ゲストは、ラッパーのSAMさん。SAMさんはRIKUさんと同じく1994年生まれ、埼玉県出身で共通点は多いものの、これまで2人が関わることは一切ありませんでした。YouTubeで公開されていたMCバトル動画でSAMさんを発見し、彼の大ファンになったというRIKUさん。SAMさんとのさらなる共通点を探しながら、そのルーツに迫りました。

取材 / RIKU 文 / 清本千尋 撮影 / 曽我美芽

2度捕まってるんですよ

RIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE) 今日はお忙しいところありがとうございます。僕はテレビ番組で放送されていたMCバトルやYouTubeで公開されている「戦極MCBATTLE」の動画を観てSAMさんを知ったんです。パフォーマンスに惹かれてオリジナル曲も聴いてみたら、当たり前なんですけどバトルでのラップとは全然雰囲気が違って。すごくメッセージ性が強いリリックを書かれる方なんだなと思ったんです。SAMさんはどんなことを音楽で発信していきたい人なのか知りたくて、今回対談をオファーさせていただきました。

SAM いやー、うれしいです。ありがとうございます。

RIKU SAMさん、突然なんですけど、僕が所属するTHE RAMPAGEというグループはご存知でしたか?

SAM 正直存じ上げてなくて。すみません。

RIKU ではなぜ今回引き受けていただけたんでしょうか?

SAM 俺、基本的にみんなに嫌われていると思って生きてきたんで、まさかこんな企画に呼んでもらえるとは思っていなかったんですよ。だから単純にうれしかったんですよね。

RIKU ええ! 僕はSAMさんのパフォーマンスやバトルの動画を観て、相手へのリスペクトを感じさせるディスが上手で、SAMさんのようなスタイルを嫌いな人なんていないだろうなと思ってたんですよ。我々は今年で27歳という同い年なんですよね。落ち着き具合がこんなにも違うのかとびっくりしてるんですけど……。

SAM いやいや。落ち着いてるんじゃなくてただネガティブなんですよ。

RIKU SAMさんは2015年に宇都宮駅前のサイファーを観てラップを始められたと聞きました。2015年って、我々は21歳ですでに成人していますけど、学生の頃から音楽が好きだったんですか?

SAM うちの親父が演歌をやっていたこともあって、もともと音楽は好きだったんですけど、そのときまでは実際にやってみようなんて思ったことはなくて。10代の頃は埼玉にいたんですけど、警察によく捕まっては怒られてを繰り返していて、そのうち栃木に移ったんです。

RIKU やんちゃだったんですね?

SAM やんちゃで済むかな(笑)。2度捕まってるんですよ。

RIKU ははは(笑)。僕も埼玉出身なんですよ。

SAM そうなんですね。ちなみに罪状はマミーマートで絡まれて喧嘩したのと、盗んだ原付で中学に通っていたのを近所の人に通報されて、警察に追われて逃げていたら人の家の玄関に突っ込んで壊しちゃったこと。しかもバイクの中には近所のスーパーで万引きしたお弁当が入ってたんですよ。器物破損と窃盗で捕まりました。

RIKU 盗んだバイクで走り出す……尾崎豊さんスタイルですね。僕は中学受験をして都内の私立中学に通っていたんですが、当時そんなやんちゃだったSAMさんの近くで暮らしていたのかもしれないということで。

SAM 暴走族もやってたので、近くを走っていたかもしれないです。

RIKU ははは。もしかしたら「あのバイクの音うるさいな」とか思っていたかもしれない(笑)。

自分の言葉に嘘をつかず正直でありたい

RIKU 僕はLDHが開催したボーカルオーディションがきっかけでTHE RAMPAGEのメンバーになったんですが、SAMさんがラッパーを志したきっかけはありますか?

SAM 一番のきっかけは般若さんの曲を聴いたことですね。栃木に引っ越した17、18歳くらいの頃に般若さんの曲にハマってヒップホップを聴くようになったんですけど、当時働いていた建築会社にラッパーを名乗る人がいたんですよ。その人にサイファーの存在を教えてもらって宇都宮駅前に観に行って、自分もやってみようと思った。それが自分がラップを始めたきっかけですね。

RIKU そうなんですね。「口下手でも歌なら伝えたいことを伝えられる」という理由で音楽を作る人も多いと思うんですが、ラッパーの方もそういう方が多いんですかね? SAMさんの場合はどうですか?

SAM 俺はまさにそうかもしれないですね。ラップは自分が思っていることを一番きれいに表現できるし、平和にまとめられる。そこが魅力だと思っています。

RIKU 僕はSAMさんの音源を聴くのも好きなんですけど、バトルを観るのもすごく好きなんです。言葉の選び方やライミングがすごく秀逸なのはもちろん、さっきも話したように相手へのディスの内容にリスペクトが滲んでいるなと思っていて。言葉選びの部分で大事にしていることはありますか?

SAM 曲のリリックでもバトルでも、自分が本当に思っていることを言って負けたらしょうがないと割り切ってますね。例えば「死ね」とか「ダサい」とか思ってもいないのに言うのは嫌。自分の言葉に嘘をつかず正直でありたいというのはずっと自分の中にあります。

ラップするために生まれてきた人じゃないですか!

RIKU 言葉をインプットするうえで参考にしているものはありますか?

SAM マンガですかね。マンガを読んでいて「こいつのセリフ、カッコいいな」っていうのはけっこう意識しちゃいます。

RIKU へえ。マンガだとどの作品が好きですか?

SAM 一番好きなのは「NARUTO」です。

RIKU 「NARUTO」! いいですよね。

SAM でもマンガを読んでいても、すぐに「このセリフならこうやって韻を踏めるな」とかどうしても考えちゃうんです。

RIKU ラップするために生まれてきた人じゃないですか! カッコいいです!

SAM いやいや……恐縮です。

俺とは生きている世界が違う

RIKU 我々THE RAMPAGEはfrom EXILE TRIBEと名乗っている通りEXILE魂を持ったグループで、音楽の面ではヒップホップの要素が強いんです。ポップスやR&B、レゲエ、ラテンとかいろんな音楽に挑戦させてもらっているんですが、ラップのバースがある曲もけっこうあって。僕らの曲をいくつか聴いてもらったと聞きましたが、いかがでしたか?

SAM ヒップホップが好きでよく聴くというだけで、自分の中で線引きしていたわけじゃないんですが、普段あまり聴かないジャンルの音楽が多くて聴いていて楽しかったです。新曲の「LIVING IN THE DREAM」はめっちゃおしゃれでいいなと思いました。「HEATWAVE」もめっちゃカッコよくて、俺とは生きている世界が違うなと……(笑)。

RIKU いやいやいや、そんなことないですよ!

SAM いや、だってすごくカッコよかったんですよ。

RIKU 恐縮です。僕はTHE RAMPAGEにならなかったらたぶんヒップホップは聴かなかったと思うんです。日本で生まれ育ったからJ-POPは聴いていますけど、一番好きな音楽ジャンルはR&Bで、まさか自分が入ったグループでラップのある曲を歌うようになるとは思いませんでした。今ではラップも聴くようになったんですけど、ラップの曲ってトラック次第というか、トラックの良し悪しでいい曲かどうかが決まってしまうところも少しあるのかなと思っていて……。僕の好みなのかもしれませんが、トラックがいいと思えないとなかなか歌詞の内容にまでたどり着けないんです。SAMさんの曲は、ドシッと構えたトラックに乗せて、芯の通ったメッセージを優しい声でラップしているところが好きです。出勤のときとかによく聴かせてもらっています。

SAM 本当にありがたいことです。

家族も環境も個人の性格を決めつける要素にはならない

RIKU 僕の中ではボーカリストとラッパーは、表現の仕方が違うだけで、その根底にある伝えたいことはけっこう似てるのかなと思うんですよ。根底の部分で似てるとは思いつつ、ボーカルにしかできないこと、ラッパーにしかできないこともきっとありますよね。SAMさんはラッパーにしかできないことってなんだと思いますか?

SAM ラップ、というか俺らがいるようなヒップホップ界隈はポップスのシーンに比べて表現に規制がないところが違うかなと。俺の曲でも自分のおかあちゃんが捕まったこととか、パニック障害で浮気して出て行ったこととか、自分の汚かった過去も遠慮なく歌詞にできるし、そういうのがシーンで当たり前なんですよね。正直に話せるのはラッパーになってよかったなと思うところです。

RIKU 確かにラップで包み隠さず言ってるのに、テレビ番組ではピーって音を被せたりしますよね。それがラッパーさんのリアルな気持ちだし、バトルだったら相手の方とラップを通して会話をして出てきた本当の言葉なのに……視聴者もそれを望んで観ているのになんで隠すんだろうと少し疑問に思います。もっと自由に表現できるようになったらいいのにって。音楽を通して何かを発信する以上、それは芸術なのだからもっと既成概念が取り払われたらいいなと日々感じています。

SAM テレビでの言葉の規制もそうですし、今の時代、みんながみんな他人に対して厳しいですよね。何にピリピリしてるんだろうと思っちゃう。俺は自分も捕まったし、弟もおふくろもおばあちゃんも捕まっていて、ラッパーだからいいけど、それ以外の職業に就いていたらきっと俺の今も過去も全部否定されてきっと煙たがられると思うんですよ。

RIKU それが最初におっしゃっていた「きっとみんなに嫌われている」と思う理由ですか?

SAM そうですね。

RIKU その人個人の評価に、周りにあることをひっくるめてしてしまうのって不思議だなと僕は思います。例えば親が社長だからきっと金持ちでわがまま放題なやつなんだろうとか、そういうイメージで誰かについて話したがる人が多いというか。親がどうとか友達がどうとか、その人個人には関係がないことだと思うんですよ。本人の肩書きだって、別にその人個人の性格を決めつける要素にはならないと思う。そうやってガワで否定したり、叩いたりするのは本当によくないなと僕は日々考えています。

SAM

1994年11月15日生まれ。AB型。2015年に宇都宮駅で開催されていたサイファーをきっかけにラップを始める。フリースタイルバトルでは、2019年に行われた「戦極MCBATTLE 第19章」「戦極MCBATTLE 第20章」「凱旋MC Battle 東西選抜 秋ノ陣」、2021年に行われた「凱旋MC Battle 西日本ZEPP TOUR - 大阪ノ陣」で優勝。2020年には毎月ミュージックビデオを公開したり自身のレーベル・PerLifeを立ち上げたりと、音源制作にも力を入れて活動し、等身大なリリックで人気を博している。テレビ朝日系「フリースタイルティーチャー」では、末吉9太郎(CUBERS)、岡野海斗、森本晋太郎(トンツカタン)、ずま(虹色侍)のティーチャーを担当。小出恵介主演ABEMAオリジナルドラマ「酒癖50」では犬飼貴丈への作中のラップ指導を行いながら自身も出演するなど、さまざまな形で活躍している。10月9日には東京・日本武道館で開催されるMCバトル「戦極MCBATTLE 第24章」に出演し、100万円をかけてバトルに挑む。

SAM (@Perlife_SAM) / Twitter

RIKU

1994年8月10日生まれ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのボーカル。2014年4月に行われたLDH主催オーディション「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 4 ~夢を持った若者達へ~」に合格し、THE RAMPAGEのボーカル候補生となる。同年9月に行われた「武者修行ファイナル」で正式メンバーに昇格。2017年1月にシングル「Lightning」でメジャーデビューを果たした。2021年7月から東京・東京ドーム2DAYS公演を含むアリーナツアー「THE RAMPAGE LIVE TOUR 2021 "REBOOT" ~WAY TO THE GLORY~」を開催。9月には初の舞台「ETERNAL」で座長を務めた。RIKU個人としては毎週金曜日にメンバーの陣とともにスペースシャワーTV「ライブを100倍楽しむLIVE YEAH!!!」、bayfm「WEEKEND THE RAMPAGE」にレギュラー出演している。

RIKU (@_riku_r.m.p.g_ldh)・Instagram photos and videos

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