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loundraw×HIDEYA KOJIMAが語る、デビュー曲「宇宙」とCHRONICLEが目指す表現の追求

リアルサウンド

19/9/4(水) 12:00

 気鋭のイラストレーター・loundrawと、サウンドクリエイターのHIDEYA KOJIMA、シンガーのT.B.Aの3人によって結成され、「物語」「映像」「音楽」を組み合わせた新しい形の表現を追求する音楽アート集団、CHRONICLE。先だって6月に配信限定でリリース、併せて予告編アニメ映像も公開していた彼らのデビュー曲「宇宙」が、いよいよフィジカルで9月4日にリリースされる。プロジェクトの成り立ちについて話を聞いた前回のインタビュー(loundraw×HIDEYA KOJIMA、CHRONICLEの成り立ちと“アートの力”を信じた表現方法を語る)に続き、今回はデビュー曲「宇宙」の制作風景について、loundrawとHIDEYA KOJIMAの二人にじっくりと語ってもらった。(杉山仁)

「この3人で生み出した中で、ふさわしいものを、手探りでもいいから追求しよう」

――CHRONICLEはそれぞれ得意分野が違うメンバーが集まっているプロジェクトだと思います。だからこそ聞いてみたいのですが、loundrawさんとKOJIMAさんは、自分の得意分野以外の要素については、これまでどんな距離感で接してきたのでしょうか?

loundraw:僕の場合、普段から絵を描いているときにも音楽を聴いていることが多いので、自分を支えてくれるものでもありつつ、同時に憧れでもあるという感じです。僕は音楽が好きでありつつも、自分で「音楽が作れる」とは思わなかった人間なので、そういう意味でも以前から(音楽制作に対して)憧れを持っていたんですよ。よく聴いているアーティストはMVも印象的なものが多いので、そういった部分も含めて、影響を受けていると思います。

―― 一方で、KOJIMAさんが映像作品で印象的だったものというと?

KOJIMA:映像作品だと……最初に印象的な出会いをしたのは、小さい頃に観た『ハリーポッター』の映画でした。僕が初めて観に行った映画が『ハリーポッターと賢者の石』(2001年)で、CGの映像表現の現実なのか夢なのか区別がつかなくなる雰囲気に惹かれて、エンターテインメント全般にそういうものを求めるようになりました。個人的には、ローくんの絵にも同じような魅力を感じます。キャラクターは近くにいるのに、背景はとても壮大になっていたりして、近いようで遠いような、現実にありそうでないような魅力があると思っていて。FLAT STUDIO(loundraw が設立したアニメーションスタジオ)のメインビジュアルにも、そういう魅力がありますよね。ローくんの絵は、キャラクターの表情ひとつを取っても物語が浮かぶというか、「この子は何を思っているんだろう」「何を見ているんだろう」ということを考えさせられます。……実際に、想定というか答えはあると思いますが。

loundraw:一応はあります。僕自身、いつも「この子はどんなことを思っているのかな」と想像しながら描いているので。それが何かは、言わないようにしているんですけどね(笑)。

――では、デビュー曲「宇宙」の制作過程について聞かせてください。前回のお話(loundraw×HIDEYA KOJIMA、CHRONICLEの成り立ちと“アートの力”を信じた表現方法を語る)では、loundrawさんが考えた物語の断片から、まずはKOJIMAさんが曲を考えたそうですね。

loundraw:僕は最初に物語の世界観だけを用意していたんです。

KOJIMA:まずはそのストーリーの断片と、ローくんが考えたCHRONICLEのビジュアル、そしてT.B.Aの声をヒントに、曲を作りはじめました。CHRONICLEの音楽を作る際には、「ダンスミュージックを作ろう」「ロックを作ろう」というふうに特定のジャンルの音にしようとは考えていなくて、「この3人で生み出した中で、ふさわしいものを、手探りでもいいから追求しよう」ということを大切にしています。そこで、これまで自分が培ってきたスタイルや常識を一旦置いて曲をつくっていきました。その結果、今までやったことがないアプローチもたくさん入ることになったので、制作を進めていく中で自分自身でも「ああ、こんなこともできるんだ」と感じることが多かったと思います。

――自分の新しい引き出しを開けるような経験になっている、と。

KOJIMA:そうですね。「宇宙」の場合、最初にできたのはピアノのイントロでした。あのフレーズは、静かに始まり壮大な世界を予感させるようなイントロで、CHRONICLEというプロジェクトのスタートの雰囲気に合うと思ったんです。それに導かれるようにメロディが出来て、サビは試行錯誤して何パターンもトライしました。僕は普段はクリーントーンが綺麗に出せるギターを使っていますけど、今回はそれも取っ払って、メロディや楽曲に合うものにしようと突き詰めた結果、サビでは歪んだギターも使っています。

――そこに、loundrawさんはどんなふうに歌詞をつけていったんですか?

loundraw:KOJIMAくんが楽曲を考える際に、僕が描いたCHRONICLEのメインビジュアルから発想を広げたと言っていたので、僕もそこから星や空を連想して、壮大な要素と、僕たちの日常とを繋ぐ歌詞が作れたらいいなと思っていました。その結果、サビの頭の〈何度、何度でも〉という歌詞が出てきたんです。これは年代を越えた「CHRONICLE(=年代史、編年史)」という大きな物語で繰り返されていくことを表現した言葉でもありますし、同時に、ひとりの人の気持ちの浮き沈みを表現したものにも取れるように考えたものです。

――その「壮大なもの」と、「日常的なもの」のどちらにでも取れる、というアイデアはどこから出てきたものだったんでしょう?

loundraw:たとえば、夢もそうだと思うんですけど、人はギリギリ手が届かないものに憧れると思うんです。それはある意味スケールが関わってくる話で、物理的なものだけではなく、気持ちの面についても、そういう幅を描けたらいいなと思っていました。

KOJIMA:ローくんの歌詞って、いい意味で歌詞っぽくないと思うんですよ。歌詞のように言葉のリズムは曲にはまっていますけど、もっと情報量が多くて詩的な歌詞のように感じられます。そういう歌詞で、なおかつメロディにバチっとはまっていることに感動しました。特に〈何度、何度でも〉のところは、メロディをつくっている段階から僕も「繰り返しの言葉が入ったらいいな」と思っていました。

「宇宙」は“CHRONICLEの全部”を表現している曲

――もうひとりのメンバー、T.B.Aさんの歌から刺激を受けた部分はありますか

loundraw:僕らはそもそもT.B.Aが歌うことを想定して曲を作っているので、僕の場合だと、歌詞の語尾にはすごく気を使いました。T.B.Aが歌う場合、語尾は「よ」がいいのか、「の」がいいのか、「ね」がいいのか、「さ」がいいのか……と、色々な可能性が考えられます。その中で、彼の声に合うものを考えていきました。

KOJIMA:僕もT.B.Aの語るような声を生かそうと思って、Aメロの部分を落ち着いた雰囲気にすることで、彼の“語りかけるような声”の魅力が伝わるように考えました。一方で、サビでは起伏のあるメロディを用意することで、「語り手」の側面とはまた違った表情を出せるような、強く叫ぶような声の魅力を出せるものにしたいと考えていました。

――確かに、AメロとサビとではT.B.Aさんの声の表情が全然違いますね。

KOJIMA:僕は、その表現力の幅広さが彼の持ち味のひとつだと思っています。「宇宙」は彼だからこそ表現できる歌になっているんじゃないかと思います。

――また、T.B.Aさんの歌声には、とてもリアルな雰囲気を感じます。あの歌声だからこそ、歌詞の内容や映像の雰囲気ともすごくマッチしているように感じられる、といいますか。

KOJIMA:「リアル」というのは的を得た表現で、僕もT.B.Aの歌声は語りかけてくるような雰囲気が特徴的だと思います。曲を作る際にも、その声が映えるような音域を意識しました。

loundraw:僕らは、得意な分野はそれぞれ違っても“何かを作るひと”という意味では共通しているので、他のメンバーの得意分野でも、自分が担当した分野でも、2人の意見がすごく参考になりました。「宇宙」の場合だと、KOJIMAくんの作るメロディを意識して、「ここにはまる言葉は色々あるけれど、もっと上手く、いいはめ方で言葉をはめたい」と思い挑戦しましたし、楽曲自体にかなり刺激を受けました。

KOJIMA:そういう意味だと、2番のサビ終わりのDメロは、僕もローくんの歌詞を受けて変化させた部分です。このパートができる前に、歌詞のあらかたのアイデアはもらっていて、「もっとテクニカルなメロディに挑戦しても大丈夫だ」という確信が持てたので、分かりやすすぎるメロディにするのではなく、より歌詞が流れるようなものに変えていきました。ローくんの音のはめ方と歌詞に信頼がおけたからこそ「ぶつけてみようかな」と思えたし、その結果普段の自分からは出てこないようなメロディになったと思います。

――様々なメンバーが集まる“ユニット”であるからこその制作作業になったんですね。改めて考えてみると、「宇宙」はこのプロジェクトにとってどんな曲になったと思いますか?

loundraw:今回の「宇宙」は、“CHRONICLEの全部”を表現している曲だと思っています。曲作りの段階でKOJIMAさんにも伝えていたんですけど、この曲は「CHRONICLEのすべてが表現できるような、プロジェクトにとってのOPテーマ」にしたいと思っていて。なので、歌詞も色んな意味に取れるものにしていて、たとえば「君」という単語は人じゃなくても、「夢」や「歌」でもいいと思うんです。そういう形で、CHRONICLEというプロジェクト全体を表現するようなものになったのではと思います。

KOJIMA:サウンドも、CHRONICLEというプロジェクト自体の魅力を表現するものにしたいと思っていました。僕はこれまでずっと「主軸となる音楽を作りたい」と思って活動をしてきて、もちろん、今回の「宇宙」もCHRONICLEの主軸のひとつではあるんですが、同時にもっとイラストや映像や物語を包むような、「主軸以外としても活かされる音」を作りたいと考えていました。そこで、イントロの部分も、音だけでもCHRONICLEの壮大な世界を予感させるようなものにしたいと思っていたんです。音には言葉がなく、「嬉しい」も「楽しい」も「好き」も「嫌い」も直接的には伝えられないので、「これからCHRONICLEがはじまっていくぞ」という“想い”を伝えたいと思っていました。

CHRONICLE『宇宙』-Music Video Short ver.-

――確かに、ストリングスも「主役以外としても活躍できるもの」になっていますね。

KOJIMA:今回は後ろで壮大さや切なさを表現できるような、物語の背景に回れるようなストリングスを考えたので、音の使い方という意味でも僕がこれまでやってきたこととは違うと思います。CHRONICLEは、携わっている方達の力があわさるプロジェクトで、僕達はお互いのことを認め合っている3人だからこそ自分の分野にひたすら集中して、その結果何か新しいものをみんなで作れるというのは本当に嬉しいことですね。

物語にフォーカスした新しい音の体験をしてもらいたい

――CHRONICLEが始動したときと比べて、すでに変化は感じていますか?

loundraw:僕は結構感じています。やろうとしていることが複雑なので、最初は作業が全然進みませんでした(笑)。「何を軸にCHRONICLEを動かせばいいのかな」とすごく悩んでいて。ですが、これは上手く言葉にできないのですが、プロジェクトが徐々に形になっていくにつれて、自分たち自身も「こういうものが作りたいんだな」ということが見えてきて、動き出していくのを感じました。特に「宇宙」の予告編アニメ映像が完成したときは、「いよいよはじまりだな」という気持ちになりました。

KOJIMA:「宇宙」という楽曲だけでも、結構な時間をかけて作りました。すべてが完成する瞬間に、同じスタジオでT.B.Aも含めた3人で立ち会ったときに、嬉しいと同時に「ここからがスタートなんだな」という気持ちを感じました。

loundraw:完成したのに、それがはじまりでもあるというのが、とても新鮮でした。

KOJIMA:「よし、できた」ではなくて、「よし、行くぞ!」という感覚だったよね。

loundraw:そういう体験は、これまではあまりなかったかもしれないです。普通は完成したタイミングがゴールなので。僕はそもそも、誰かと一緒にユニットを組むということが初めてなので、仲間がいること自体も不思議な感覚で、とても楽しさを感じています。

KOJIMA:CHRONICLEはこれからも長く続けていくユニットだと思っているので、色々な表現にトライができる実験の場でもあり続けたいですね。

――音楽も重要な作品だけに、これからライブにも期待してしまいます。

KOJIMA:実際に、「ライブをやりたいね」という話はいつもしています。CHRONICLEにしかできない、物語にフォーカスした新しい音の体験をしてもらいたいです。

loundraw:普通の形式でライブをするというよりは、ストーリーやビジュアルを生かした、「CHRONICLE」の物語に没入できるようなものができたら嬉しいです。

――映画館などを筆頭に、一般的なライブ会場ではないような場所でも成立しそうですね。

loundraw:どんな場所でもCHRONICLEらしいことができるというのはこのプロジェクトの強みだと思うので、それをフルに生かして考えていきたいと思っています。

KOJIMA:音楽面でも、ストーリーによって今後色々な音楽性が加わっていく可能性もありますし、歴史によって、年代によって、音の作り方が変わってくる可能性もあると思います。

loundraw:映像に関しても、「宇宙」を作っていく中で、「次はこういうビジュアルかな」というものが見えてきているんです。そこから逆算して、今回の「宇宙」予告編アニメ映像に入れた要素もあるので、「宇宙」の中にも今後にまつわる色々なヒントが隠されていると思います。

――だからこそ、細部まで色々と見ていてもらえると嬉しい、と。

loundraw:そうですね。そう感じてもらえるように、頑張っていきたいです。

音楽から生まれる物語。”CHRONICLE”の始まりを告げる「宇宙」予告編アニメ映像

(取材・文=杉山仁/写真=林直幸)

■リリース情報
CHRONICLE デビューシングル『宇宙』
発売:9月4日(水)
<初回生産限定盤A(CD+DVD&トールデジパック)>
BVCL-990~991
価格:¥2,000(税抜)
収録曲:
M1 宇宙
M2 宇宙 strings w-quartette full length ver.
M3 宇宙 music box ver.

DVD:
1.宇宙 予告編 アニメ
2.宇宙 予告編 Teaser
3.宇宙 予告編 Leap Edit
4.宇宙 予告編 Flashback

<初回生産限定盤B(CD+ハンカチ)>
価格:¥2,000(税抜)
収録曲:
M1 宇宙
M2 宇宙 instrumental ver.

 <通常盤(CD)>
価格:¥1,000(税抜)
収録曲:
M1 宇宙
M2 宇宙 弾き語り ver.

■イベント情報
『宇宙』発売記念 サイン会
9月5日(木)19:00~@東京都
HMV&BOOKS SHIBUYA 7F

9月7日(土)13:00~@大阪府
タワーレコード梅田NU茶屋町店

9月7日(土) 17:00~@愛知県
タワーレコード 名古屋近鉄パッセ店

<イベント内容>
CDジャケットサイン会
※出演メンバーはloundraw、HIDEYA KOJIMAの2名。(T.B.Aは不在)

<対象商品>
9月4日(水)発売 『宇宙』
・『宇宙』 初回生産限定盤A(CD+DVD&トールデジパック)
・『宇宙』 初回生産限定盤B(CD+グッズ)
・『宇宙』 通常盤(CD)  BVCL-994  

<CHRONICLE「宇宙」発売記念スペシャルトークイベントご招待>
日時:2019年10月5日(土)13:30 集合
会場:東京都内某所 ※会場は当選者のみに連絡
当選数:抽選で15組30名

<対象商品>
■2019年9月4日(水)発売 CHRONICLE『宇宙』
初回生産限定盤A<CD+DVD>(BVCL 990~991)
初回生産限定盤B<CD+グッズ>(BVCL 992~993)
通常盤[初回仕様]<CDのみ>(BVCL 994)

・応募締切日:9月13日(金)当日消印有効

『宇宙』発売記念 店頭パネル展
内容:
一部店舗ではカメラのフラッシュなど強力な光を照射して撮影すると、それまで見えなかった絵が現れる、フラッシュパネルの展示を行う。

<フラッシュパネル展実施店舗>
・東京都
アニメイト 池袋本店
タワーレコード 渋谷店

・大阪府
タワーレコード 梅田NU茶屋町店

<パネル展実施店舗>
・北海道
玉光堂 イオンモール旭川駅前店
玉光堂 イオン江別店
玉光堂 イオン千歳店
玉光堂 カテプリ新さっぽろ店
玉光堂 パセオ店
玉光堂 四丁目店

・宮城県
タワーレコード 仙台パルコ店

・東京都)
タワーレコード 新宿店
タワーレコード 池袋店
タワーレコード 吉祥寺店
タワーレコード 秋葉原店

・神奈川県
タワーレコード 川崎店

・新潟県
タワーレコード 新潟店

・石川県
タワーレコード 金沢フォーラス店

・愛知県
タワーレコード 名古屋近鉄パッセ店

・兵庫県
タワーレコード 神戸店

・福岡県
タワーレコード 福岡パルコ店

<実施期間>
2019年9月3日(火)~2019年9月9日(月)
※実施期間は店舗によって前後する可能性あり

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