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菅田将暉とTOSHI-LOWに共通する人間的魅力 「今夜」弾き語りも披露した『ANN』を聞いて

リアルサウンド

19/10/21(月) 7:00

 10月14日深夜1時~3時に放送された『菅田将暉のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にBRAHMAN/OAUのTOSHI-LOWがゲストとして登場した。この週の『オールナイトニッポン』は「ミュージックウィーク」と冠して放送されており、毎日日替わりでミュージシャンが特別パーソナリティを務めるなどの企画が展開されていたが、そのトップバッターとなる月曜日はこの布陣での放送となった。

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 菅田将暉とTOSHI-LOW、二人の出会いは菅田が主演を務め大きく評価された2017年の映画『あゝ、荒野』にてBRAHMANが主題歌「今夜」を提供したことがきっかけ。『あゝ、荒野』後篇の公開日に行われた舞台挨拶には、岸善幸監督、菅田と並んでTOSHI-LOWも登場。その時が初対面だった二人だが、作品を観たTOSHI-LOWは「自分はあらゆる表現のなかでバンドが一番かっこいいと信じているけれど、この映画を観て役者ってなんてかっこいいんだろうと思った」と、菅田を絶賛。映画館の舞台上でTOSHI-LOWはひとり「今夜」を弾き語りにて披露したが、その際、今後は是非菅田にもこの曲をライブでカバーしてほしいと伝えた。菅田は、その後に開催された自身の1stライブツアーでしっかりとその約束を果たしたのだった。

 そこからしばらく公の場で彼らの親交を見ることはなかったが、2019年8月半ば、福島県猪苗代町で行なわれているフェス『オハラ☆ブレイク』にてなにやら菅田将暉が“ブラフ団”のステージにサプライズ登場し、TOSHI-LOWと「今夜」を歌ったことがSNS上でにわかに話題になった。

 この日の番組も、その際の話題からスタート。本当に何も予定されていたわけではなく、当日にTOSHI-LOWが「せっかく来てるんだから歌っちゃいなよ」と菅田を誘ったそうだが、この時、菅田が「あ、やります!」と即答したことで“好き度”が一段階上がった、とTOSHI-LOWは番組内で明かした。「いやいやだってそんな機会ないですもん!」と菅田も嬉しそうだ。「茨城(TOSHI-LOWは水戸出身)のことわざだと『先輩の言うことにはYES or はい』っていうのがあるからさ」とうそぶきつつ、菅田が飛び入りでステージに立つとなったことで事務所スタッフ間でもすぐさま電話で「菅田は今年の夏フェスはすべて断っておりますので、何卒、内密な感じで歌わせてください……(懇願)」といったやり取りがあったことを暴露。そこからは菅田の盟友でもある石崎ひゅーいにはじまり、さまざまなフェスでの裏話やバンドマンたちの失敗、粗相、武勇伝、などがTOSHI-LOWの巧みなトークで展開され、時間が進むにつれどんどん冴えわたっていった。“将暉”と菅田のことを呼び捨てにするTOSHI-LOWも、番組登場時には「やる気ねえんだわ」などと言っていたものの、とても上機嫌。TOSHI-LOWがなぜ「鬼」と呼ばれるのかの話も明かされつつ、携帯電話会社のCMで“鬼ちゃん”を務める菅田と鬼同士の夜中の宴で盛り上がる。

 リスナーも、開始前こそ「ロック界のなんだか厳つくて怖い兄さんがやってくる~!」と身構えていたものの、始まってみればなんのその。「でも優しいっすね。絡み方が優しい!」と菅田自身も、下ネタまでふんだんに含まれたTOSHI-LOWの話芸の中で楽しそうに爆笑し続ける2時間。番組後半にはBRAHMAN「今夜」と、菅田が大好きだとテレビ番組で話したこともある西岡恭蔵作「プカプカ」の2曲を、TOSHI-LOWが持ち込んだアコースティックギターでの弾き語りで、二人で歌い上げ、大団円にて番組は終了。……したかと思いきや、挙句の果てには続いて午前3時からの時間帯で放送される『ハマ・オカモトのオールナイトニッポン0』にも二人が乱入。普段とは明らかに異なる破天荒な展開に、リスナー勢も「さすがミュージックウィーク……」と唸ったことだろう。

 番組内でTOSHI-LOWは米津玄師提供曲「まちがいさがし」について以下のように触れた。

「『今夜』を歌わせようと思って将暉の歌を聴いて、『まちがいさがし』聴いてたら、なんか似てない? 言ってることが、って。正しい道だけを歩いていたのではないからこそ、外れたからこそ、出会えたんじゃねえか? とか。まっすぐ誰もが成功している……わけじゃないし、じゃなかったら変な話、ラジオなんかだって聴かないと思うんだよ。そうじゃなくて、何かあって出会いがあって、それがもしかしたらその後に自分を支える何かになるかもしれないって。そう思ったらなんか『まちがいさがし』聴いててぐっときちゃった」

 番組内では東日本大震災以降のTOSHI-LOWの盟友である細美武士の話も出ていたが、そもそも「今夜」はTOSHI-LOWが細美との友情や関係性を歌ったもの。すべての意味がこの日の菅田とTOSHI-LOWによる「今夜」弾き語りで回収されたといっても過言ではないはず。

 「いやあ、でもあの時に“はい”を選択してよかったなあ」と最後の最後に菅田将暉がつぶやいたひとことにも、この夜の唯一無二感があらわれていたことだろう。ラジオブースからTOSHI-LOWが出て番組がエンディングに向かうも、「なんか終わりたくないっすね、もう一回TOSHI-LOWさん呼びます?」と菅田が話したところ、ラスト30秒のタイミングで再びTOSHI-LOWがブース内に戻るという展開も。

 一見すると共通したタイプではないかもしれないが、周囲の人をいつのまにか巻き込んでしまう、人間的魅力を溢れんばかりに携えたTOSHI-LOWと菅田将暉。二人は何か根底で通ずる情熱で共鳴しているのだろうし、腹を割って本音で話せる、人間同士のリスペクトのようなものがあるのだろうということがよくわかる放送だった(そうでなければ、ここにいないバンドマン各位の話でここまでずっと放送をすることもできないだろう! すべては信頼があってのTOSHI-LOWの“暴露大会”なわけだ)。

 いつかまた、こうして公の電波の上でもまた二人の仲睦まじい声のやり取りを聞かせてもらいたいと切に願うばかりだった。こちらの放送はradikoタイムフリーにて10月21日いっぱいまでは聴取可能。聴き逃した方も是非聞いて一緒に笑ってほしい。(鈴木絵美里)

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