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ドレスコーズが新アルバムを“変奏”、もう一つの成長を遂げた「バイエル」

ナタリー

ドレスコーズ「《バイエル(変奏)》」神奈川・CLUB CITTA'公演の様子。(撮影:森好弘)

ドレスコーズのワンマンツアー「《バイエル(変奏)》」のファイナル公演が昨日6月29日に神奈川・CLUB CITTA'で開催された。

4月から各収録曲が“成長”するニューアルバム「バイエル」の配信を開始し、6月16日には完成版を収録したCDおよびアナログ盤をリリースしたドレスコーズ。同アルバムを携えて行われた今回のツアーでは、志磨遼平以外のメンバーを一般公募したバンドで各地を巡った。

これまでドレスコーズのワンマンではライブ内容に合わせた楽曲が開場時間のBGMとして使用されてきたが、今回は終始無音。会場は開演前から、どこか緊張感のある趣きを見せていた。そんな中アルバムのインスト曲「スコラ」が流れると、本ツアーの演奏メンバーである田代祐也(G)、原元由紀(B, Fagotto)、ミズグチハルキ(Dr, Per, Piano)、成澤美陽(Cello)が客席から登場。公募から選ばれたというバックグラウンドを生かしたサプライズを挟み、志磨もアコースティックギターを手にして舞台袖から現れた。

今回のライブはまずニューアルバム「バイエル」の楽曲を収録順にプレイ。各曲はチェロ、パーカッション、ファゴットなどさまざまな楽器の音色をふんだんに盛り込み、アルバムとは大きく異なるアレンジが施された。1曲目を飾った「大疫病の年に」はアコギとスレイベルのみをバックに、全員で合唱するスタイルで披露。「はなれている」では深いエコーがかけられた志磨の歌声や成澤の弾くチェロ、ミズグチの奏でる鉄琴を前面に押し出したサウンドで、幻想的なひとときが演出された。一方「ちがいをみとめる」では、田代による空間系のエフェクターを駆使したギターサウンドが炸裂。「しずかなせんそう」では志磨と田代の奏でるギターに合わせて原元、ミズグチ、成澤がボーカルを務めるシーンもあった。

前半ではベースやピアニカを演奏していた原元は、中盤の「相互扶助」からはファゴットに楽器を変更。木管楽器ならではの温かな音色でフロアを包み込んだ。続く「不要不急」はミズグチが奏でるピアノに、田代がレコードのプチノイズのような音を重ねることで、よりノスタルジックなムードが強調された。「ぼくをすきなきみ」以降は“ぼくたちのベーシック”や“かわらない世界”について歌われた「おわりに」、先生に未来について問いかけるロックチューン「人生II」と、過去の作品から「バイエル」のテーマとリンクするような楽曲が届けられていく。そして「僕らが暮らすこの街、変わってしまった僕らの暮らしに心を込めて歌います」という志磨の説明のもと、本編最後のナンバーに選ばれたのは「弦楽四重奏曲第9番ホ長調『東京』」。人々の“愛の日々“を歌った楽曲が、ライブ終盤を壮大かつロマンチックに彩った。

さらにアンコールに入ると、ドレスコーズは「星の王子さま(バイオリンのための)」のバイオリンパートをチェロ用にアレンジした「星の王子さま(チェロのための)」を演奏。ラストナンバー「ピーター・アイヴァース」では田代のギターと成澤のチェロの音色が絶妙に混ざり合い、力強くも厳かなサウンドで「《バイエル(変奏)》」をフィナーレに導いた。

ドレスコーズは7月3日(土)深夜放送のNHK総合「シブヤノオト」に出演。「《バイエル(変奏)》」のメンバーで「ピーター・アイヴァース」を披露する。このほか「《バイエル(変奏)》」ファイナル公演の模様が映像化されることも決まった。こちらの詳細は後日アナウンスされる。

ドレスコーズ「《バイエル(変奏)》」2021年6月29日 CLUB CITTA' セットリスト

01. 大疫病の年に
02. はなれている
03. ちがいをみとめる
04. 不良になる
05. ローレライ
06. しずかなせんそう
07. 相互扶助
08. 不要不急
09. ぼくをすきなきみ
10. おわりに
11. 人生II
12. 弦楽四重奏曲第9番ホ長調「東京」
<アンコール>
13. 星の王子さま(チェロのための)
14. ピーター・アイヴァース

NHK総合「シブヤノオト」

2021年7月3日(土)23:10~23:40

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